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ケビン・メア氏を嵌めた罠

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【動画】⇒未来ビジョン『ケビン・メアが考える日米同盟』(2011.10.29)




■■ Japan On the Globe(725) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■

         Media Watch: 米国務省日本部長を嵌めた罠

 ワシントン在住の左翼活動家と、共同通信記者が仕組んだ罠とは。
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■1.「沖縄はごまかしの名人」

 事の発端は、共同通信が本年3月6日に配信した次の記事だった。[1]

__________
和の文化「ゆすりの手段に使う」 メア米日本部長が発言

 米国務省のメア日本部長(前駐沖縄総領事)が昨年末、米大学生らに国務省内で行った講義で、日本人は合意重視の和の文化を「ゆすりの手段に使う」「沖縄はごまかしの名人で怠惰」などと発言していたことが6日までに分かった。
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 同記事では、「沖縄の人々より、他県の人の方が、より多くゴーヤーを生産する。沖縄の人々は、怠惰でゴーヤーも育てられない」とメア氏が発言したと伝えている。これだけ聞くと、なんと低級な人物だと誰もが思ってしまう。

 メイ氏は8月に出版した『決断できない日本』の中で、言ってもいないことを言ったとして、共同通信に嵌められたと主張している。この著書はすでに10万部を突破するベストセラーとなっているが、今回はこの本によって、その経緯を追ってみたい。


■2.「地元の方々が安心できなければ(移設は)無理だ」

 まずメイ氏の人となりを見ておこう。1954年サウスカロライナ州に生まれ、苦学してジョージア大学の法科大学院で法学博士号を取得。学生時代に知り合った日本人女性と結婚した。

 1981年に国務省に入った後、キャリアの大半を日本関係の業務に費やした。最近では、05〜06年、駐日大使館安全保障部長、06〜09年、在沖縄総領事、09〜11年、国務省日本部長などである。

 日本駐在は19年におよび、これほど長期間、日本に滞在したアメリカの外交官は見当たらないという。まさに知日派外交官の筆頭とも呼べる存在だった。

 在沖縄総領事の時は、産経新聞のインタビューに答えて、次のように語っている。[2]

__________
 われわれも基地負担を軽減すべきだと考えており、日本にもチャンス。地元調整は日本政府が行うことだが、計画実行に向け地元の声を聞く必要があると認識している。・・・

 安全性や騒音に配慮し、地元の方々が安心できなければ(移設は)無理だ。その観点から調整する柔軟性はある。
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 まさに日本、特に沖縄の事情、感情を熟知し、配慮する知日派外交官ぶりが窺われる。こう発言した人物が、「沖縄はゆすり、たかりの名人」などという発言をしたとは、どうにも想像しがたい。


■3.ワシントンにいた左翼活動家

 共同通信が「メア発言」として報じたのは、昨年の12月3日に、米国ワシントンのアメリカン大学の学生ら14人が、東京と沖縄に約2週間の研修旅行に出発する直前にメア部長から受けた講義のことだった。

 それが3ヶ月も経ってから、日米間の安全保障に関する重要協議「2プラス2」(日本の外務大臣、防衛大臣とアメリカの国務長官、国防長官が参加する)の最終準備をするための会議が始まる直前に報道された点に、メア氏は「非常に意図的なものを感ずる」と述べている。

 メア氏が辞職後に調べてみると、この講義の裏に仕掛け人がいることが分かった。講義を依頼してきたのは、アメリカン大学の准教授だったが、その後ろにいたのが猿田佐世という日本人女性だった。

 そして、この猿田氏が学生たちの研修旅行を企画・募集したことは、アメリカン大学の公式ブログに明記されていた。この女性は、沖縄を始めとする反基地運動やその他の左翼的運動を積極的に行なっていた女性弁護士だった。土井たか子氏が代表を務める「憲法行脚の会」の事務局長でもある。

 猿田氏は自身のブログで日米関係は「ごくわずかな人によって対日政策が決定されている」「その5人だか10人だかによって、実際には日本の国内政治もほぼ動かされてきたということを考えると、本当に許しがたい」と語っている。[3,p73]

 そして「ワシントンで、何がどこまでできるか、どこまで食い込めるか、まったく分からないが、あいもかわらず、ジタバタしてみようと思う」と書いている。

 この「ジタバタ」のために猿田氏は4年ほど前から、ニューヨークやワシントンに留学していたようだ。そして「許しがたい」「ごくわずかの人」の中には、メア氏を入れていたようで、メア氏とも2,3回会ったという。

 しかしメア氏は彼女が左翼の活動家とはまったく知らなかったというから、自分の正体と真意を隠して、メア氏に接触し、どう「ジタバタ」できるか、機会を窺っていたのかも知れない。


■4.悪意に満ちた曲解

 そんな企みがあるとは露知らず、メア氏は学生たちに講義を行った。その主張点は次のようなものだった。[3,p59]

__________
 ・・・日本政府は毎年、名護市、辺野古地区を含めた北部地域に100億円もの補助金を出しています。・・・

 私の主張のポイントは、地元の政治家たちが「コンセンサス社会」であることを逆手にとって、補助金を手にしているにもかかわらず、「基地移転」に関して何も実行できていないことです。

この16年間の体験からいうと、彼らが「基地移転」に反対する最大の理由がここにあります。辺野古への基地移転が成立してしまっては自治体に対して補助金が減ってしまったり、なくなる可能性すらあります。・・・

 本来ならば、補助金は「基地移転」にともなう痛みの軽減に使われるべきものでしょう。それが逆に「補助金システム」そのものが「基地移転」を阻害している最大の要因になってしまっている。
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 この「補助金システムの弊害」を「沖縄はごまかしの名人」と報じたとすれば、悪意に満ちた曲解と言うしかない。

 ゴーヤーの話も「補助金システムの弊害」の一例として挙げたものである。[3,p60]

__________
 私の説明は、学生からの「補助金の影響」についての質問に答えたものです。わかりやすい例としてゴーヤーを挙げました。・・・

なぜなら、サトウキビ栽培には補助金が出る。地元名産のはずのゴーヤーも沖縄では栽培量が足りず、ときには宮崎などから取り寄せていると沖縄の知人から聞きました。

台湾や東南アジアと比べて価格競争力がない沖縄でサトウキビを栽培するのは、補助金がついているからでしょう。これも補助金というシステムの悪影響ではないでしょうか。
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 こういう文脈なら、ゴーヤーの話が出てきた理由も理解できる。これを「沖縄の人々は、怠惰でゴーヤーも育てられない」と報道したのでは、なぜ突然、ゴーヤーの話が出てくるのか理解できない。


■5.米学生たちの「平和を 基地はなくせ」横断幕

 メア氏の講義を聞いた学生たちは非常に積極的で、質問も多く、いい学生たちという印象だったという。帰り際には「勉強になりました。長い時間をとってくれてありがとう」と感謝していたという。

 その後、学生たちは12月16日から、約13日間、東京および沖縄を訪問した。東京に着いてから、そのうちの何人かは冒頭の問題記事を書いた共同通信の石山記者の家に泊まっている。後で述べるように、猿田氏と石山記者は連携をしているので、これも猿田氏の紹介であろう。

 学生たちは18日から27日まで沖縄に滞在していたが、彼らは辺野古のキャンプ・シュワブ基地のフェンスに「AMERICAN UNIVERSITY OKINAWA 2010 PEACE NO BASES! (アメリカン大学 沖
縄2010 平和を 基地はなくせ)との横断幕を掲げた。この横断幕は猿田氏が作ったと、彼らのブログに記されている。

 学生たちは東京に戻ってからも、また石山記者の自宅に泊り、夕食をご馳走になったと、ブログで記述している。学生たちと石山記者の間で、どのような会話が交わされたのか、想像するのは難しくない。


■6.「直接取材をしたというアリバイづくり」?

 年が開けて1月31日、猿田氏からメア氏宛に、「共同通信の石山の安全保障に関するインタビューを受けて欲しい」とEメールで依頼があった。猿田氏は「私は石山さんのもとでインターン(研修)をしている」との事だった。

 国務省からは「今の時期は取材に応じないように」との指示があったので、メア氏は断ったが、猿田氏から「石山がどうしても会いたいと言っている」と再度の要請をしてきた。そこまで熱心に言われるならと、メア氏は「オフレコで日米関係の背景説明だけなら」と応じた。

 2月9日、ワシントンでメイ氏は石山記者と猿田氏とともにカジュアルな夕食を共にした。

__________
 初対面の石山記者の印象は日米安保については勉強不足、何を聞きたいのかなんのために来たのかも分からず、私には時間の無駄のような気がしました。[3,p70]
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 不思議なことに、石山記者はアメリカン大学の学生たちへのブリーフィングの話をまったく持ち出さなかったと言う。普通なら、まず会話のとっかかりとして、「あなたのお話を聞いた学生たちは、私の家にも来ました」くらいは言いそうなものだ。

「あとから考えれば、私に直接取材をしたというアリバイづくりだったのかもしれません」とメイ氏が疑うのも当然だろう。


■7.2ヶ月半後に作られた「発言録」

 石山記者が書いた記事では、彼がワシントンにいた2月中旬に学生たちが集まってメイ氏の「発言録」を作ったという。その中には「沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ」という一節も登場する。

 しかし、12月3日の講義から、すでに2ヶ月半も経っているこの時期に、なぜ今更ながら「発言録」を作成したのか、ここにも意図的なものが感じられる。

 2月14日になって、石山記者から初めて、学生たちのまとめた「発言録」に関する事実確認とコメントを求める取材依頼がEメールで寄せられた。

 メイ氏は、翌朝すぐに、「発言録」は「事実ではないし、正確でもないし、完全でもない。所謂(いわゆる)『発言録』は学生達が書いたもので私が言った事ではない。第三者からの伝聞だけをもとに記事を書く事自体が極めてアンプロフェッショナルだ。だからこれ以上のコメントはしない」旨を返信した。

 2ヶ月半以上も経ってから作成された「発言録」のみを証拠として、しかも本人がこれだけ断固として否定しているのを無視して、石山記者は、翌々週の3月6日に冒頭の記事を配信し、まんまと大騒動を引き起こした。

 石山記者は5月28日、沖縄国際大学で講演し、「(米軍の)抑止力は架空の議論であり、常に幻想だ」という反米軍基地の立場を鮮明にしている。

 こうした経緯を見れば、石山記者は正確な事実報道を心がけるジャーナリストというよりも、自らの思想信条のためにマスコミを利用する人間だということが、メア氏の著者から見えてくる。

 メア氏の著書は10万部も突破しているが、その中でこれだけ克明に手口を明かされているのだから、石山記者に異論があるなら、堂々と反論すべきだろう。


■8.「大使! それは大間違いです」

 メア氏にとって不幸だったのは、この時期の駐日大使が学者肌のジョン・ルース氏だったことだ。大使はパニックに陥った。メア氏は大使に「『発言録』は事実じゃないと、なぜ言わなかったのか」と問い詰めた。

「いや、否定すると騒ぎが長く続くから。そういう議論はしない方がいい」と大使は答えた。日米間の「2プラス2」協議の直前だったので、メイ氏の首切りで事態を沈静化しようとしたのである。

__________
 大使! それは大間違いです。この問題は沖縄では長引きますよ。事実でないとはっきり言わないと「事実である」と日本国民みんなが思い込む。そして、沖縄の政策は私が決めていると思い込んでいるから、次にはその政策自体おかしいと主張してきますよ。[3,p80]
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 事態は、メア氏の懸念通りに推移した。外務大臣や首相まで、「事実ならば遺憾だ」と言い出した。米国は、メイ氏に一切の釈明を許さず、3月10日に日本部長から更迭して沈静化を図ろうとした。

 その翌日、メイ氏は国務省を辞め、一民間人になって記者会見をして汚名を雪ごうとした。そこに起こったのが東日本大震災だった。

(続く、文責:伊勢雅臣)

■リンク■

a. JOG(537) 何を目指すか、沖縄タイムス
 反日意識を煽り、米軍の撤退を要求する、その先にあるものは?http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h20/jog537.html

             ☆

メア氏はいわゆる「ゆすりたかり発言」を全面的に否定しており、それを最初に配信した共同通信の石山永一郎記者に訂正を求めている現状であるが、メア氏が辞任をせざるを得なくなった直接の動機は沖縄タイムス、琉球新報の「発狂報道」である。

メア氏を更迭に追い込んだの原因は、沖縄2紙が共同記事に油を注いで連日にわたる「発狂報道」により「メア更迭」の「世論」を扇動したからに他ならない。 

「普天間移設」に絡んで沖縄を腫れ物扱うような態度で接していた日米両政府の暗黙の了解で、不本意ながら詰め腹を切らされたのが「メア氏更迭」の真相である。

これは当日記の読者なら先刻承知の事実である。

30人もの内外の「識者」を動員してメア氏に対して集団リンチを加えた「発狂新聞」にしては「メア氏告訴」の記事が小さいのは、メア氏が攻撃の矛先を共同通信から沖縄タイムスに変えて、告訴されついでにメア氏のほうから沖縄タイムスを名誉毀損で告訴するのを恐れたからだろう。

「メア発言」については、早い時期から次の項目にまとめてあるので一読ください。

★メア発言(23)

23件も書いているの時間のない方は、次の3件を読めば「メア発言」の真相は概ね理解できるはず。

罠にかかったケビン・メア氏、大バッシングの真相 続・罠にかかったケビン・メア氏、学生たちは何処を訪問して、誰と面談したか 「女弁護士の罠」が米ウェブサイトに掲載!

メア氏は「ゆすりたかり」といった侮蔑的発言は否定しているが、表現の当否はさて置き、沖縄の首長がが保革を問わず大なり小なり「ゆすりたかり」を行って来たのは事実である。

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