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教育委員会制度は、戦前、国が教育に過剰に介入したという考えから、戦後アメリカから導入された制度であり、「レイマン・コントロール」(素人制度)を考え方の基本にしている。
裁判員制度が導入されたのも、検事、判事、弁護士等法律の専門家に任せるのではなく一般の素人の意見を尊重するという「レイマンコントロール」の理由からである。
教育委員会制度は教育の専門家ではなく一般教養と幅広い視野をもった素人こそが、教育についてよりよい決定をすることが出来るという理念に基づいている。 裁判員制度における素人の意見と同様に、教育現場を知らないことは、逆に従来の惰性に縛られない自由な発想ができる可能性があるからである。
昨夜のNHK沖縄の番組は、教育委員会の重要ポイントである「レイマンコントロール」は完全に無視し「教育現場で専門知識のある教員」が教科書選定をすべきと力説する新城俊昭沖大教授の意見を長々と紹介していたが、とんでもない大間違いである。
新城教授は、識者の立場でテレビに登場しながら、教育委員会制度の理念について無知を晒している。
再三述べるが沖縄のメディアに登場する識者は、このように無知を晒しながら、同時に無恥を晒す恥知らずが多い。
まず、教科書を採択する権限は、関連法規によって教育委員会に与えられている。
関連法規の「地教行法」は、その第23条の6番目でで、教育委員会の職務権限を、「教科書その他の教材の取り扱いに関すること」と明記している。
教育委員会は市区町村ごとに設置されるが、「無償措置法」では、複数の教育委員会にまたがる共同採択地区では、各教育委員会の代表からなる「採択協議会」を設置し、同一種類の教科書を選ぶことになっている。したがって傘下の各市町村教育委は同一の教科書を使用しなければならない。
沖縄県の八重山採択地区を構成する自治体は、石垣市(4万9千人)、竹富町(4千人)、与那国町(1600人)の一市二町である。
人口で見ると、石垣市が9割を占めているが、協議会委員は3自治体から同数の委員が選ばれる。このような明らかな悪平等も教科書採択における混乱の一因となっている。
■GHQの想定外は日教組の跋扈
法律は教育委員に教科書の採択権限を与えているのであるが、GHQは戦後日本の教育界を牛耳ることになる日教組のことは想定していなかった。
アメリカが理想とした教育を政治から解放する目的のレイマンコントロールで、日本政治家はすっかり腰が引けてしまった。
教育に関心を持つことは政治家の重要使命の一つであるが、少しでも教育関連の意見を述べると「教育への政治介入」と批判されるのを恐れた。 その隙を突いて、日教組が急成長し逆に日教組の政治活動が教育を支配するようになったことは周知のことである。
政治家が羹に懲りた状況のとき日教組が支配する教育界には現場の教師が教科書を事実上決定するという悪しき慣行が長く続いた。
教育委員は、教科書を一度も見なくても、調査員(教員)が採択し日教組事務局が提案した採択教科書を追認するだけでその役目が務まるという実態も見られた。
■文部省の教育改革
日教組が独占する教科書採択の悪弊を是正しレーマンコントロールの精神を教科書採択に反映させるため、平成2年、当時の文部省は、「教科書採択のあり方の改善について」という通知を出し、「教職員の投票によって採択教科書が決定される等採択権者の責任が不明確になることのないよう、採択手続の適正化を図る」ことを求めた。
石垣市の玉津教育長の教育改革は、まさに平成2年の文部省通知をに従った極めて合法的な改革であった。
玉津教育長が8月22日に公表した沖縄県教育庁義務教育課の平成17年の3月の通知も、「『一種絞り込み』を是正する事」と明記していた。 この通知が平成2年の文部省通知を受けてものであることは自明である。
八重山採択地区協議会の昨年の採択の実態をみると、調査員報告書の書式で「採択調査員」、「採択教科書名」、「採択理由」などの用語が使われ、調査員は一社に絞り込みの答申を出し、それ以外の教科書が採択される余地は全くなかった。
文部省通知に違反した教科書採択が八重山採択地区では長年放置されていたのである。
■玉津改革vs「ペンギン王国」の残党
16年間続いた極左政権の残滓が連綿と続いていたという証左である。
6月27日、八重山採択地区協議会は、調査員による教科書の「順位づけ」を廃止するとともに、採択協議会の委員の構成を変更する規約改正を行った。
従来の委員は、3市町の教育長(3名)、担当課長(3名)、事務局より担当職員(1名)、会長の属す事務局から補助職員 (1名)、保護者代表(1名)の計9名から成っていた。
採択協議会の委員は、教科書採択について教育委員と同等の決定権を有する地位にある。その委員に事務方の担当課長や担当職員、補助職員まで入れていたとは「ペンギン王国」の負の遺産ということが出来る。
改革後の新しい委員の構成は、3市町の教育長(3名)、3市町の教育委員(3名)、八重山地区PTA連合会代表(1名)、学識経験者(1名)の計8名。事務方の職員を外して教育委員を入れ、学識経験者を加えた。極めて常識的な改善であり、他県のどこにでも見られる構成となった。
ところが、玉津改革により旧悪が次々露見することを恐れた沖教祖は、県教委に働きかけ玉津改革を強引に潰す行為に打って出る。
8月になって、県教委の不当介入事件が起こった。
8月3日県教委は、「協議会メンバーに校長・三市町教委指導主事を新たに追加すること」を求めた。
その狙いは、協議会委員の中の教員出身者の比率を高めて、「つくる会系」の教科書の採択を阻止するためである。
極悪複合体の一味である県教委は、ついに、特定教科書を採択させないために反対グループが盛んに宣伝してきた戦術を公権力の名をかたって推進したのである。
採択協議会は、県教委の介入を全面的に拒否した。
八重山地区採択協議会は、8月23日、規約通り8人のメンバーからなる会議を開き、非公開、無記名投票によって教科書を採択した。
8月27日付の八重山日報によれば、今回の歴史・公民教科書調査員が提出した報告書に、自由社と育鵬社について、これらの教科書に反対する特定団体のパンプレットから引き写した文章が多数あることが発覚したという。調査の名にあたいしないもので、あってはならない事態である。おそらく反対派の言うとおり書けという圧力のもとで書かされたのであろう。
NHK番組に識者として登場した大城沖大教授がつい最近まで沖教組の会員で熱心な平和活動家だったと述べた。
氏が番組で力説した「調査員の意見を尊重せよ」という耳に聞こえの良いフレーズの実態が、沖教組主導で法令違反もものともせず、特定のイデオロギーに染まった教科書を採択させるべく狂奔する前政権の残党のスローガンであるといえばわかりやすい。
よくメディアに登場する元教員が「教育の場に政治を持ち込むのはよくない」などと述べているが、教育現場に政治を持ち込んで教育をだめにした元凶が他ならぬ現場の教員であることは自明である。
今回の玉津教育長の教育改革で「現場を知る教員」の「悪事」が暴き出されつつある。
乞うご期待である。
【おまけ】
前にも紹介した「オトシタレの読んだか?ブログ」さんが、同じテーマで書かれているので参考までにリンクしておく。
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