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流失議事録、調査員推薦でも衝突

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■八重山日報 10月21日

「歴史観」めぐり対立
[教科書問題・流出議事録]
調査員推薦でも衝突
 中学校教科書を選定した8月23日の八重山採択地区協議会(会
長・玉津博克石垣市教育委員長)の議事録が「流出」し、委員間の
やり取りが明らかになった。歴史、公民教科書で「正しい歴史観」
や「調査員(教員)の推薦の有無」をめぐって、委員同士が激しく
衝突した様子がうかがえる。 (2面関連)

♢「正しい歴史観」
 委員「正しい歴史観を教えていきましょうということです」
玉津会長「正しい歴史観とか、本当の歴史はというのは、それを
言ってはいけないと思います」

 沖縄戦で、日本軍が県民に加害行為をしたと明記した帝国書院版
などと、米軍の猛攻で県民が集団自決に追いやられたとする育鵬社
版。事実上双方を念頭に、どちらが八重山の教科書にふさわしいの
か、委員が応酬した。

崎原用能副会長(与那国町教育長)「歴史を勉強するのは難しい問
題。裁判所で闘争するものでもない。裁判官は歴史の専門家でもな
い。子どもたちへ先生の主観を教えてはいけない」
委員「事実をとらえた教科書を選びたい」
崎原副会長「摩文仁から飛んだ婦人の皆さんは、恐らく渡嘉敷や慶
良間で集団自殺した人間よりも多い」

 ここで「正しい歴史観」をめぐり、玉津会長と育鵬社版に反対す
る委員が衝突。冒頭のやり取りが起きる。委員はさらに反論した。

委員「子どもたちへ正しい事実に基づいた歴史観を植え付けてい
く、育てていくことによって、ひいては大人になったときに正しい
歴史観につながっていく」
崎原副会長「あったことは教えてもいいけれど、これが時事だよと
先生が言うべきではない」
慶田盛安三副会長(竹富町教育長)「集団自決に関しては大きな問
題ですから、これを忘れてはいけない。07年の11万6千人が集
まった県民大会。41市町村で行われた意見の採択など、こういう
ふうなことを考えてみても…」

集団自決に対する軍命の有無をめぐり、水掛け論のような意見交換
が続いた。
 社会科の教科書選定に先立ち、玉津会長は「できるだけ教科書名
を、名前を言わないでの推薦をお願いします」と提案。意見交換は
具体的な教科書名を出さずに進んだ。
 無記名投票の結果は、帝国書院版4票、育鵬社版3票、東京書籍
版1票だった。

♢調査員の推薦
 公民教科書をめぐっては2委員が「公民と道徳との横断的な内容」
「思考力、判断力、表現の育成」という観点で選んだーと述べたほ
かは発言がなかった。無記名投票の結果は、育鵬社版5票、東京書
籍版3票だった。
 数学教科書の選定に入ろうとしたとき、委員の1人が「決まった
公民のことですが…」と異論を提出。玉津会長は「議論を蒸し返す
ことになる」と難色を示すが、そのまま、調査員の推薦をめぐる議
論が始まった。

委員「(調査員の報告書で、育鵬社版は)あまりにもマイナス面が
大きく書かれているのに、出てくるのがおかしい」
崎原副会長「調査員の資料の文書と、私に送られてくる抗議文の内
容がまったく同じなんです。これを、私は公平な判断とは見ていな
い」

 崎原副会長は、調査員の報告書が、他の資料の引き写しではない
かと指摘した。これに他の委員が猛反発した。

委員「調査員に失礼です。どういうふうに調査員から漏れたのか、
外部からどのように指導されたのか分かりませんけど、調査員も
一生懸命研究してきたことに対して、非難した言葉は撤回してほし
い」

調査員の推薦をめぐる議論は、さらに白熱した。

玉津会長「調査員の順位付け、あるいは拘束性を持たせる、こうい
うことは絶対廃止するということで、協議会を始めたわけです」
委員「順位付けはいいと言っているでしょう」
玉津会長「順位付けについては、良いとは誰も言っていませんよ」
崎原副会長「1種絞り込みはやらないということで、投票していま
すから」
委員「あまりにもマイナス面が多いから…」
崎原副会長「内容を見てください。すばらしく指導要領に全部あっ
ていますよ」

最後は玉津会長が「最初に(議論が)終わっていることですので、
蒸し返すことになる」と交通整理し、数学の投票に移った。       

         ☆

■沖縄紙の言論封殺が生んだ慶田盛教育長の事実誤認

新聞のデタラメ報道を鵜呑みにした慶田盛副会長が「11万6000人」というウソの数字を持ち出しているのはさて置いても、慶田盛氏は他にも教科書選定委員としては致命的ともいえる間違った発言をしている。

目取真俊氏が公開した8月23日の「非公開会議録」によると、八重山日報はあえて触れていないが、問題の慶田盛竹富教育長が沖縄戦の集団自決に関して、大きな事実誤認をしていることが暴露されている。

同会議録の中で慶田盛氏は、集団自決の軍命に関し、裁判で軍命があったと決まったと再三主張しているが、裁判で決まったのは原告側の名誉毀損と出版差し止め請求などの棄却であり、軍命があったと決まったわけではない。

慶田盛氏の明らかな事実誤認である。

沖縄2紙は「集団自決訴訟」で原告の元隊長側が敗訴したことを、あたかも軍命を裁判が認めたかのような印象操作記事で連日読者を誤誘導した。

結果的に慶田盛氏は異論は認めぬ沖縄2紙の言論封殺により、「集団自決訴訟」の判決を間違って理解したことになる。

一般の読者ならともかく、慶田盛氏のような教科書を選ぶべき立場の人物が、初歩の事実誤認をするということは、それだけ沖縄の新聞がデタラメ記事を垂れ流して、異論は認めぬ言論封殺を実行してしてきたことの証左でもある。

現在係争中の「パンドラの箱掲載拒否訴訟」も、これまで沖縄紙が行ってきた言論封殺に対し、ドキュメンタリー作家の上原正稔さんが果敢に挑戦した「言論封殺との戦い」ということが出来る。

しばし脱線するが上原さんの琉球新報を相手取った言論封殺の訴訟の第4回口頭弁論が11月8日午前11時より、那覇地裁で行われる。

徒手空拳で巨大組織に戦いを挑んでいる上原さんは、現在沖縄全メディアの村八分状況にあり、闘争資金が不足しております。

緊急に皆様のご支援を必要としています。

八重山教科書問題も集団自決問題も全ては沖縄2紙の「言論封殺」が根底では深く繋がっている。

上原正稔を支援する三善会にカンパご協力をお願いします。

           ☆

■八重山日報 10月21日

東京Gazette
教科書問題で空想
もしマルザーだったら
智恵交換して解決可能に

 これがもし、円卓だったら?そんな素人考えが、八重山教科書問
題についての文科省との会談を傍聴しながら、ふと胸をよぎった。
(3面関連)
 18日午前10時から衆議院第一議員会館の地下1階にある第6会
議室で持たれた会談。政府へ要請すべく上京した仲山忠亨、大浜敏
夫、上原邦夫、藤井幸子の4氏と、それを援護する赤嶺政賢、山内
徳信の両衆院議員、高嶋伸欣・琉大名誉教授、「子どもと教科書全
国ネット21」の俵義文・事務局長が出席した。
 8氏の矢面に立つが文科省初等中等教育局の森晃憲・教科書課長。
お付きの男性職員が一人いたが、まだキャンパスと職場の区別
がついていないような若者で、表情も虚ろ、発言一つあったわけで
もないから員数外だろう。尤も今回の会談の文科省のレベル(緊張
度)をあからさまに示す存在としては、員数に数えねばならないが。
 森課長を対面(といめん)に、こちらの8人は横1列に並んで糾
問する、いわば旧来の団交の様式である。
 これがもし、出席者みんなが同等、融和の象徴である円卓ないし
円卓もどき(たとえば椅子でマルザー=円座をしつらえる)、ある
いは会議室常備の長形のテーブルでコの字型、などであったなら…。
”敵”とマルザーなんてとんでもないだろうか?友は身近におけ、敵
はもっと身近におけ、の”孫子の兵法”に倣おうというよりは、”団交
の対面様式は対決する勇ましさを演出するにはよくても案外"敵”に
は楽なのだ。
 今回のケースで言えば、8人がほぼ一方向から、モノラル(!)
で発し、森課長はせいぜい10度くらい左右に首を振ればすむ。
 これがマルザーなら、森課長は最大180度、顔を振り、ステレ
オ(?)で聞くことになる。結構、苦行だろう。
 今回の”団交”を傍聴していると、8氏が、失礼ながら同じ愚痴を
(表現に多少違いがあっても)ほぼ異口同音に、森課長にぶつけて
いただけのように思えてならなかった。
 森課長に、アンタたちは無知だ、無知すぎる。(こんな乱暴な言
い方ではないが、要はそういう発言である)と責められて、おっ
しゃる通りです。中川大臣に発言を撤回させます、なんて答が返っ
てくる、わけがありませす?
 再び、これがもしマルザー(円卓)だったら…。
 大臣にも副大臣にも事務次官にも面会できず、権限レベルの疑わ
しい課長クラスを会談にあてがわれる無念さは、察して余りあるが、
逆に言えば、課長ゆえに相手を軽んじる気持ち、諦めが働かな
かっただろうか。
 課長相手でも実現可能な要求は出せなかったか?こちら側の発言
者を限定し、要求を絞り込んで追及していくという、団交なら団交
の流儀があっただろうし、マルザーなら、鳩首を糾合して智恵を交
換する方法が取えたかも、と思わずにおられない。
 私の聞き違いでなければいいが、森課長は9月8日の協議会を文科
省は認められないと言ったわけではない、と発言しませんでしたか
ね?
官僚特有のあいまい表現かもしれないが、ならば、9月8日の決定を
教育現場は粛々と進めればいいのでは。
 そもそも大臣の放言に法的効力はあるんだろうか。その顔を窺っ
てあわてるのは変です。
 にしても、公民なんて、私たちの時代にはなかった教科なので、
その必要性を大いに疑っているのだけれど。 (浦崎浩實)

浦崎さんの寄稿を「東京ガゼット」として随時掲載します。

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