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菅首相は26日、仏ドービル・サミット昼食会で、次のように発言した。
「地震・津波対策を含めた最高水準の原子力安全を目指す。(事故情報を)最大限の透明性をもって全て提供する」と。
各国首脳でも、日本の福島原発事故に対する官邸と東電のドタバタ劇を知る首脳にとっては、ブラックジョークに聞こえただろう。菅首相が日本を後にする直前まで「言った。言わない」で責任のなすりあいをした原因はなんだったのか。
斑目原子力安全委員会委員長の「(再臨界の)可能性はゼロではない」という発言を、「原子力に強い」菅首相が「再臨界の危険性がある」と誤認し、大騒ぎしたことに端を発する。
その後、海水注入の必要性を悟った官邸側は、これを内閣支持率復活の逆転打に利用すべく、次のような情報をマスコミに流すことになる。
「東電が廃炉をおそれて海水注入を拒否したので、原発に詳しい菅首相が怒鳴って実施させた」という、当初の政府発表がそれ。
ところが東電側は首相の指示で海水注入を止めたと反論、さらに首相は「注入も中断も報告を受けていないので中断を指示するはずはない」という強弁にいたる。
結局、官邸側が発表した「菅首相の指示で海水注入を再会させた」という嘘がばれることになるが、官邸には同時に「これで、菅首相が海水注入中断を指示して事態を悪化させたという疑惑が払拭された」と考えた。
政府は震災当日、原子力対策特別措置法に基づき「原子力緊急事態宣言」を発令しているが、これは菅首相に、原子力事業者に指示・命令できる強い権限を与える宣言であり、当然、すべての情報を把握する責任を伴う。 したがって東電側が首相の指示に逆らって勝手に海水注入を中断するとは考えにくい。
そもそも、震災翌日の3月12日夕、菅首相が「海水注入で再臨界となるのではないのか。詰めろ!」と大騒ぎし、これを原子力安全委員会の班目春樹委員長も「可能性はゼロではない」と追認していたことは事実なのである。
結局東電本店に設置された事故対策統合本部の東電幹部らは現場の吉田所長の悲壮な命令違反を知らなかったことになる。
東電は2002年に原子炉内の構造物のひび割れなどを隠し、06年には原発のデータ改ざんも判明しており、同社の信頼を傷つける。
官邸には原発の専門家は常駐していなかったのか、また菅首相の不確かな知識による暴走に苦言を呈する人物はいなかったのか。
谷垣禎一総裁は26日の会見で「事実説明の迷走に開いた口がふさがらない。世界で情報隠蔽への疑惑が広がる」と政府を激しく非難した。
世界の物笑いは現実となっている。
もう、いい加減にしてもらいたい。
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