八重山日報 1918年6月26日
台湾人戦没者の慰霊祭で、自ら揮毫した石碑を除幕する台湾の李登輝元総統(中央)=24日午後、糸満市
【糸満市】台湾の李登輝元総統(95)は24日午後、糸満市の平和祈念公園内にある台湾之塔前で執り行われた「第6回台湾出身戦没者慰霊顕彰祭」に出席した。顕彰祭では、台湾之塔の隣に新たに建てられた李元総統の揮毫(きごう)碑の除幕式が行われ、李元総統は「平和・自由・民主主義が後世にまで継続するよう願ってやまない」と語った。
☆
6月24日、台湾の李登輝元総統ご夫妻が、平和祈念公園内の台湾之塔前行われる「台湾出身戦没者慰霊顕彰祭」と台湾之塔の隣に新たに建てられた李元総統の揮毫碑の除幕式に参加した。
慰霊祭では李氏が揮毫した「為国作見證(公のために尽くす)」と記された石碑が拍約200人の参加者の拍手と共に除幕された。
24日の「台湾出身戦没者慰霊顕彰祭」に参加した沖縄県の政治家は、稲嶺恵一元県知事、国場幸三郎衆院議員、島尻安伊子元参院議員、比嘉なつみ前衆院議員、上原糸満市長、中山石垣市長、又吉正義県議、新垣新県議、大山孝夫那覇市議など。(筆者の見落としガ有ればご指摘下さい)
筆者は「顕彰祭」の前日の6月23日、糸満市のサザンビーチホテルで催された「李登輝歓迎晩餐会に参加した。
糸満市界隈はここしばらく疎遠にしていた。
この近辺の道路のインフラの発展は目覚しい。
李登輝元総統の歓迎晩餐会が開けるような立派なホテルがあるとは、恥ずかしながら、今回初めて知った。
当山さんの車に便乗させてもらわなかったら1人では迷子になってしまうほど地域の変貌は激しかった。
当日は約400名の出席者で賑わい、食事の前に李元総統の講話があった。
李氏は高齢のため段差のある登壇には、付き添いの手を借りたが、その発言は到底95歳とは思えぬ矍鑠たるものだった。
その声は気概に溢れ中国の圧力など全く気にしていない。
「覇権国家中国」「民主主義」「自由」など現在の中国が嫌うキーワードを羅列。 東シナ海や南シナ海の平和のためには日台協力が不可欠と強調し、中国の覇権主義を批判した。
李氏がここまで踏み込んで中国の覇権的な動きを日本での講演で指摘したのは異例だ。
李氏はまた、習近平が最も嫌う「民主主義と自由」を共有する日本と台湾が、「中国の覇権的な膨張を押さえ込みつつ、平和的な発展を促すため協力関係をより一層強化すべきだ」と強調した。
そして「朝鮮半島の情勢とアジアの平和は日本の関与なくして実現することはかなり難しい」と述べ、日本に対し強いリーダーシップを発揮するよう求めた。
翌日、台湾出身の戦没者慰霊祭に出席する李氏は、講演の途中で声を詰まらせながら「われわれの生きる平和で安定した環境は決して当然のごとく与えられたものではない」とも述べた。
台湾の塔の隣に建立された新たな碑に李氏が揮毫した「為国作見證(公のために尽くす)」という揮毫文が李氏の胸を去来したのでろう。
当初、今回の「顕彰祭」および揮毫碑の除幕式には、李氏が95歳というご高齢のため、参加は困難といわれていた。
だが最終的には李氏の強い希望により、ご夫妻の参加が実現した。
私どもは、李氏の毅然とした言動に接し、最近の日本人が忘れていた「古武士の姿」が二重写しに見えた。
⇒よろしかったら人気blogランキングへクリックお願いします。