



政府は3日、東アジアと中東を結ぶインド洋のシーレーン(海上交通路)防衛など安全保障分野での協力強化のため、米国、インドとの3カ国定期協議の場を構築する方針を固めた。日印両国はすでに外務・防衛の次官級対話を行っているが、両国ともに軍事面で協力関係を持つ米国を加えた3カ国の枠組みに進展させ、インド洋への進出を強める中国を牽制する狙いだ。 日印両国は平成20年10月、当時の麻生太郎首相とシン首相が「日印安全保障協力共同宣言」に署名。外相、防衛相間の対話や海上自衛隊とインド海軍の交流など、安全保障面での連携を深め、昨年7月には外務・防衛の次官級定期協議が始まった。 ただ、「インド海軍と海自が連携するにも米国の側面支援は不可欠」(政府関係者)になるのが実情だ。日本は過去2回、日本近海で行われた米印海軍の共同演習に参加したことがある。今回は定期的な枠組みを構築することによって3カ国の連携をさらに進展させたい考えだ。
政府はすでに米印側にこうした意向を非公式に伝えており、まずは3カ国の事務レベルで、早期に「航行の安全」をテーマに協議を始めることを念頭に入れている。 日本政府は対中国を念頭にアジア太平洋地域での安保協力を強化するため、すでに米国とオーストラリアに韓国を加えた4カ国の安保対話の枠組み構築を目指す方針を固めている。
民主党は昨年夏の参院選マニフェスト(政権公約)で、豪州、韓国に加え、インドとの防衛協力促進を明記した。 中国は近年、インドを取り囲むようにミャンマーなどのインド洋沿岸国の港湾施設建設に多大な援助をしてきた。「真珠の首飾り」と呼ばれる戦略で、石油輸入の約8割を中東・アフリカに頼る中国が、情勢が不安定なマラッカ海峡を経ずにインド洋から直接陸路で輸入できるルートを開拓するためだ。米印両国はこうした動きを中国の海洋進出の一環ととらえて、警戒を強めている。 ☆
麻生政権の頃よく話題になった地政学用語で「不安定の弧」というのがある。
「不安定の弧」(arc of instability)とは、9.11以降のQDR(米国国防総省が四年に一回発表している「国防戦略見直し」のこと Quadrennial Defense Review)で登場した言葉で、紛争多発地帯のアフリカやバルカン半島から中東を通って、東南アジア、朝鮮半島までのことを意味する。 アフリカ諸国の紛争や中東紛争は遠い国の出来事で極東の口日本には縁遠い存在だと思われがちだが、昨年の尖閣沖中国船衝突事件や続いて起きた北朝鮮の砲撃事件を見ると、東アジアの海も鳩山前首相が妄想する「友愛の海」とは程遠い「不安定の弧」の東の端に日本が位置することがわかる。
不安定の弧

米大手証券ゴールドマン・サックスが、有望な投資先として紹介した「BRICs」や「ネクスト・イレブン」lには、「不安定の弧」の中の国々が名を連ねている。 『自由と繁栄の弧』とは、2007年に出版された麻生太郎元首相の演説集の題名にもなっている麻生基首相の提言であり、同じ価値観の国々と外交としての「自由と繁栄の弧」の構想や、対米、対中関係などの外交政策が示されている。 つまり「不安定の弧」にある諸国との連帯を通じて「繁栄の弧」を提案したのが麻生元首相の「自由と繁栄の弧」である > 日印両国は平成20年10月、当時の麻生太郎首相とシン首相が「日印安全保障協力共同宣言」に署名。 自民党政府の行った外国の合意は、反故にしても良いと傲慢不遜だった民主党政府も1年半にも及ぶ学習の結果、やっと安全保障が何であることがわかってきたようだ。 あれほど「漢字が読めない」とか「ホテルのバーで飲むのがいけない」と、マスコミも一緒になって批判した麻生元首相ではなかったのか。 その麻生元首相のの置き土産を、ソッと実行しようとしているのは「普天間移設」の大失敗で外交・安全保障問題にはド素人であることを自覚したからなのだろう。 何はともあれ国益に貢献する米印との3カ国定期協議構築には大賛成である。 まさか、ここでも「中国への配慮」などと、寝言を言い出さないことを祈りたい。
参考【動画】⇒ 日本が海洋国家としてやれること【不安定の弧】



