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「新基地頓挫」で喜ぶ者は誰?

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本日の話題

 (1)「新基地頓挫」で喜ぶものは誰?

(2)「マスコミにやられた」ー仲井真氏の本音

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■「新基地頓挫」で喜ぶものは誰?

「翁長新知事の登場で、辺野古への新基基地が頓挫したら誰が一番喜ぶか?」と複数の知人に聞いてみた。

ノンポリのTさん(33)は「戦争を嫌う沖縄県民でしょう」と答えた。

一方、保守系のIさん(41)は「中国に決まっている」と即座に答えた。

筆者の周辺には、「戦後日本の平和は日米安保のおかげ」、と主張する保守系の知人が多いが、その大部分はIさんと同じ意見だ。

正確な意味での「辺野古への新基地建設」が頓挫したのならご両人とも正解である。

そう、翁長氏に投票した県民も喜ぶだろうが、一番喜ぶのは中国だろう。

ところが、実際はどうか。

残念ながら、ご両人とも間違いである。 

当日記の読者ならすでにご承知のことだろうが、「辺野古移設」の頓挫を一番喜ぶのはアメリカ、いや米軍である。

そもそも最初に「普天間移設」を言い出したのは、アメリカではない。

18年前、沖縄の米軍基地負担軽減(菅官房長官のもう一つの肩書)を考えた当時の橋本竜太郎首相が、ダメモト覚悟でクリントン米大統領に切り出したのが発端だ。

したがって米軍側の本音を言えば辺野古の頓挫など痛くもかゆくもない。 

それどころか米軍側にとって基地移転による空白も避けられるし、太平洋側の海抜が低く津波被害が予想される辺野古に比べ、高台に位置する普天間基地は津浪の襲来の恐れがない。

津浪の際は近隣住民の緊急避難地区に指定されているくらいだ。

米軍にとっても普天間基地ほど安全な基地はないのだ。

米軍関係者は「普天間基地ほど騒音が少なく安全な米軍基地はない」と、密かに自慢しているくらいだ。

そう、普天間移設が頓挫して一番喜ぶのは、米軍である。

したがって「オール沖縄」で当選した翁長氏が、本気で「辺野古移設」を阻止してくれるのを望んでいる者は、「オール沖縄」が蛇蝎のように忌み嫌う米軍である。

実に皮肉な構図ではないか。

 

■「マスコミにやられた」・・・・仲井真氏の本音

仲井真氏の真の敵はマスコミだ、と何度も書いた。

仲井真氏本人は、昨年暮れの「よい正月が迎えられる」と発言して以来、悪意を持って自分に襲い掛かるマスコミのネガキャンを見て、マスコミにいくら誠心誠意説明を尽くしても、さらに彼らの悪意を加速させるだけと判断。

一つの覚悟を周囲に示した。

それが今年3月県議会で詰め掛けたマスコミの前で、「(沖縄タイムス、琉球新報は)特定の団体のコマーシャルペーパーと聞いているので購読しない」という有名な発言をした。 

当時はまだ知事選立候補の話はなかったが、仮に3期を狙い知事選に挑戦する場合になっても、新聞のネガキャンは想定の上、マスコミと戦う仲井真氏の覚悟の表明だと考えられた。

ところが総大将の仲井真氏がマスコミと戦う覚悟で立候補したにも関わらず選対本部の指揮官たちは総大将の意図とは裏腹に相手候補の翁長氏よりむしろマスコミを恐れ、マスコミのネガキャンに真っ向から対決する指揮官は1人もいなかった。

それどころかマスコミの懐柔策を図るなど見当違いの戦略に終始し、結局はマスコミの嘘、捏造報道を拱手傍観する体たらくだった。

筆者は選対本部には直接関わっていないので、当確が決まった瞬間の仲井真氏の言葉を聞く機会がなかった。

だが、取材した世界日報の記者によると、「マスコミにやられた」が最初の一言だったという。

不退転の覚悟で知事選に臨んだ仲井真氏だったが、水鳥の音に逃げ惑う平家軍のように自陣の指揮官がマスコミの前に平伏してしまっては、仲井真陣営の敗北は当初から決まっていたのだろう。

 2014年11月19日 世界日報

普天間移設「現実的解決」遠のく―知事選 翁長氏当選

危険性除去の具体策追及へ

経済振興に陰り、革新不況の恐れ

 任期満了に伴う沖縄県知事選は16日、投開票され、新人で共産、社民、沖縄社会大衆党等が支持した前那覇市長の翁長雄志(おながたけし)氏(64)が36万820票を獲得、現職の仲井真弘多(なかいまひろかず)氏(74)=自民、次世代推薦=に約10万票の差をつけて初当選した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の危険性除去のための名護市辺野古移設が最大の争点となったが、「いかなる手段を講じても反対する」と公約を掲げ日米両政府と対決姿勢を表明した翁長氏の当選によって、辺野古移設計画の遅延が懸念されるとともに、日米両政府で合意した移設に伴う嘉手納基地以南の基地返還に支障がでてきたほか、普天間飛行場の「固定化」が懸念される。

(那覇支局・竹林春夫、豊田 剛)

 

 「マスコミにやられた」

 

 投票箱が閉められた午後8時、NHKと民放各社が翁長氏の当選確実の速報を出した時、仲井真知事の支持者は吐き捨てるようにつぶやいた。出口調査で無党派層のほとんどが翁長氏を支持したからだ。風は完全に翁長氏に吹いた。

 「普天間第二小学校移転が革新勢力の画策で実現しなかったように、今回も革新勢力によって、念願だった普天間飛行場返還が頓挫し、『固定化』が現実となる。宜野湾市民、とりわけ子供たちの生命の危険性がまた次世代まで続くのではないか」

 知事選の結果を知った宜野湾市民の男性(65)は語気を強めた。

 「せっかく移設が動きだして普天間飛行場の返還が目に見えてきたのに、残念でたまらない。辺野古地区の住民は代替施設を容認しているのに、地元の意見を無視して『新基地反対』を煽った地元マスコミにごまかされた」

 仲井真知事が辺野古沖埋め立てを公有水面埋立法に基づいて承認したのが昨年12月27日。1996年12月の日米両政府による「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」最終合意にもかかわらず17年間進展しなかった移設問題が解決に向けて動きだした日だ。

 8月には辺野古沖合で海底調査のためのボーリング掘削作業が開始され、9月の第2次安倍晋三改造内閣では、菅義偉官房長官が沖縄基地負担軽減担当大臣を兼務、移設作業が着実に進み、11月末までには掘削作業が終了する予定だった。

 「あらゆる手段を講じても沖縄には基地を建設させない」と当選後、公言した翁長氏は、仲井真知事の埋め立て承認も再検討して、取り消しか撤回する可能性を示唆した。翁長氏は、「選挙の結果にかかわらず、辺野古移設は推進する」(菅官房長官)政府に対して、「県民の総意として真っ向から対決する」と宣言。移設作業は今後、県の判断が求められる工事関連手続きの難航が予想され、工期の遅れや反対運動の激化が懸念される。

 「普天間問題の対決姿勢で沖縄を混乱に陥れるのは目に見えている。これこそ、共産党の安倍政権打倒の作戦だ」

 地元ジャーナリストは、翁長氏当選の背景に共産党の次なる狙いがあると分析する。「辺野古移設反対、新基地建設反対、消費税増税反対、集団的自衛権反対、原発反対、カジノ反対。自民党だった翁長さん、どうなったのと聞きたい。共産党の主張そのものだからだ」

 このジャーナリストによると、翁長氏は、革新系組織の人材不足に目をつけて、知事選では革新系組織が翁長氏を支持せざるを得ない環境を整えて、立候補に踏み切った。今回は、5万票といわれる公明票が自主投票で、「新基地建設反対」を掲げて支持政党なしの浮動票が集まれば翁長氏が断然有利。2年ほど前から「オスプレイ反対」「反辺野古移設」の「オール沖縄」を掲げて革新に政治姿勢を転換、知事選の準備をしてきた。

 「翁長氏の当選は、沖縄の歴史を大きく変える。基地のない沖縄になる」と翁長陣営は辺野古反対の翁長氏に期待を寄せる。

 しかし、照屋守之自民党県連幹事長は、「翁長氏は普天間飛行場を具体的にいつどのように返還すべきか県民に示す必要がある」と翁長氏を追及する構えだ。「辺野古移設反対だけで代替案がなければ、米国は普天間の固定化を県民が承認したと解釈するだろう」と県連幹部は語る。

 翁長氏の当選による懸念は、基地問題だけにとどまらない。仲井真県政が「沖縄21世紀ビジョン」を打ち出して実現した2020年完成予定の第2那覇空港建設計画も実現するかどうか不透明になる。翁長氏を支持した共産、社民、社大党が新空港建設に反対しており、翁長県政に対して政府が支援するか不安定要素があるからだ。

 さらに、安倍首相と仲井真知事で約束した7年間の一括交付金約3000億円も、次年度はともかく、その後も続く保証はない。予算は単年度で、翌年度の予算の保証は何もないからだ。安倍首相と翁長氏が直接交渉して獲得しない限り、一括交付金も吹っ飛んでしまいかねない。

 沖縄を訪れた国会議員によると、今度の総選挙で安倍政権が過半数を確保すると、政府と対決する翁長県政に対して、辺野古移設を容認した仲井真県政のように対応する保証はない。場合によっては、翁長県政で「経済振興に陰りが出て、革新不況に埋没する可能性がある」という。

 「普天間問題に決着をつける」「経済繁栄の流れを止めてはならない」と主張して「豊かな沖縄」を目指した仲井真知事に対して、県民は「辺野古移設反対」を掲げて日米政府と対決する翁長氏を選択した。

 「沖縄県民は誰でも基地に反対。日本政府と協力して日本人として現実的な段階的統合縮小を実現していくのが保守中道。『沖縄のことは沖縄で決める』と県民心理を揺さぶり『琉球民族』意識を高揚させ、即時閉鎖・撤去を主張して日米両政府と対決するのが革新。今回の知事選で、県民は革新を選択した。今後起こるであろう沖縄の混乱に対して県民はある種の覚悟がいるのではないか」。ある保守系政治家は、翁長政権下の沖縄をこう展望した。

 「日本の中の沖縄県」として過去16年間保守中道政治を積み重ねて発展してきた沖縄県。次の4年間、どのような革新政治の沖縄県になるのか。12月10日に翁長雄志新知事が誕生する。

2014年11月19日 世界日報

【美ら風】荒らされた選挙掲示板

 16日に投開票された沖縄県知事選は、保革4氏が立候補し、米軍普天間飛行場移設問題が最大の争点となったことから、これまでになかった激しい選挙戦が展開された。

 10月30日の告示前から各候補のノボリや横断幕、ポスターが県内のあちらこちらで見られた。那覇市では知事選に加え、市長選、県議補選、市議補選が重なったため、主要交差点では数十本のノボリが乱立。電柱はポスター合戦の様相を見せた。

 告示後は、相手陣営への攻撃が激しくなり、相手陣営を批判するポスターが目立った。フェイスブックなどソーシャルメディアでは、選挙ポスターへの落書きや破損に関するメールが相次いだ。

 現職知事の仲井真弘多(なかいまひろかず)氏の顔にはスプレーで赤い「×」マークが書かれ、下地幹郎氏と喜納昌吉(きなしょうきち)氏の顔は黒く塗りつぶされていた。今回当選した翁長雄志(おながたけし)氏のポスターだけは、何も手がつけられていなかった。沖縄市と名護市では仲井真氏のポスターだけが破られていた。県選挙管理委員会によると、少なくとも7市町30カ所で落書き・破損が確認されたという。

 「限られた範囲内での選挙運動を行う各候補者の選挙運動手段を不当に妨害する悪質で卑劣極まる行為であり、断じて許されるものではありません」と県選管は異例の声明を発表した。選挙ポスターの落書きや破損行為は、公選法違反や器物損壊の罪に問われる。

 仲井真氏の支持者は「翁長陣営がやったのではないか。あからさまな選挙妨害」と非難。これに対し、翁長氏陣営は「仲井真陣営の自作自演では」と推測した。知事選は終わったが、選挙運動をめぐる争いのしこりは尾を引きそうだ。(T)

 

 

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