



天皇陛下から名古屋場所優勝のお祝いの書簡が届き会見に臨む横綱・白鵬。右は村山弘義・日本相撲協会理事長代行=東京・両国国技館で2010年8月3日、石井諭撮影 (写真省略) 天皇陛下は3日午前、日本相撲協会の村山弘義・理事長代行に対し、名古屋場所で全勝優勝を果たし、昭和以降、歴代3位の連勝記録を達成した横綱・白鵬関の活躍をねぎらう書簡を渡した。天皇陛下が力士に対してねぎらいの書簡を送るのは異例。 【白鵬が泣いた】大相撲名古屋場所:土俵外、波乱の15日間 白鵬が悔し涙
宮内庁によると、天皇陛下の言葉を川島裕侍従長名で書簡にしたもので、両国国技館(東京都墨田区)で宮内庁側から村山理事長代行に手渡された。書簡は「困難な状況にありながら、連日精励奮闘して幕内全勝優勝を果たしたのみならず、大鵬関の連勝記録を超え、歴代3位の連勝記録を達成した横綱白鵬関に、おねぎらいとお祝いをお伝えになるとともに、今後とも元気に活躍するよう願っておられる」などと記されているという。【真鍋光之】 ◇白鵬関は「光栄」 横綱・白鵬関と日本相撲協会の村山弘義・理事長代行らが3日午前、東京・両国国技館で記者会見。紋付きはかま姿の白鵬関は「陛下からのお言葉をいただき、これ以上のものはないと思っております。心から喜んでおります。光栄でございます」と話した。 さらに「賜杯がなく、うれしさ、悲しさ、寂しい気持ちから涙を流した」と7月25日の名古屋場所千秋楽表彰式を振り返った。 村山理事長代行も「誠にありがたいお言葉に感激しております。心を新たにして大相撲の発展に精進と努力をしてまいりたい」と述べた。 野球賭博問題の影響で、協会は名古屋場所での天皇賜杯授与などを自粛していた。【武藤佳正】 ◇ 全勝優勝を飾ったにもかかわらず、天皇杯を手にすることが出来なかったことに悔し涙を流した横綱。 蒙古出身ながら日本人より日本人らしさを見せた横綱白鳳に天皇陛下がねぎらいの書簡を送られたとのこと。 陛下の行き届いたご配慮に心が温まる話である。 が、ここで一つの疑問が生じてくる。 名古屋場所で優勝者力士への天皇賜杯授与を中止させたのは一体誰の判断だったのか。 また判断した者は陛下に中止の旨報告し、了解を得ていたのか。 まさか「陛下が中止に反対するはずはない」と勝手に忖度し、陛下への報告も了解もないまま、勝手に天皇賜杯授与を中止したとしたら、由々しき問題である。 昨年の12月、中国の習近平国家副主席が来日の際、「陛下が断るはずはない」と勝手に忖度し、ルール破りの天皇陛下会見を強行した小沢一郎の不遜さを思い出す。 首相就任でも他の国事行為でも決まったものを陛下が断るはずはない。 だからといて陛下ご本人に報告もなければ了解もないのに「反対するはずはない」と忖度した行為だったとしたら今回の相撲協会や、調査委員会の行為は傲慢不遜の誹りを避けることは出来ない。 陛下は、愛子様が大ファンだという琴光喜への厳しすぎる処分についても、また天皇賜杯授与の中止についてもご不満があったのではないか。 だが、たとへご不満があっても一言もご発言できないお立場にある。 今回の白鳳への異例のねぎらいの書簡は、天皇賜杯授与の中止、それに厳しすぎる琴光喜に対する陛下のささやかなご不満の表れではないか。 ・・・・と、畏れながらも、それこそ勝手に忖度するものである。



