季刊誌「かみつく」
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『沖縄に内なる民主主義はあるか』
著者:又吉康隆
定価:1735円(税・送料込み)
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昨日の判決の報告です。
午後1時過ぎ、緊張して耳をそばだてている満席の傍聴人をまえに、井上直哉裁判長が判決を言い渡した。
「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」
判決理由は述べず3人の裁判官は席を立ち、1年9ヶ月に渡る裁判はあっという間に終結した。
傍聴人の中には閉廷したことさえ気がつかない人もいたくらいのアッという間の出来事だった。
信じられないことだが、原告の敗訴である。
敗訴にも関わらず那覇青年会館で行われた報告会には約30名の支援者が集まり、法廷では述べられなかった判決理由等について弁護士の説明を熱心に聞き入った。
挨拶にたった原告の上原正稔さんは、支援者に感謝の言葉を述べた。
「100%勝訴を信じていたので、勝利のコメントは山ほど準備していたが、敗訴の言葉は何も準備していなかった。控訴も楽しくやっていく」と、落胆の様子は微塵も見せず、控訴に強い決意を示した。
手元に35頁にも及ぶ「判決理由書」がある。
「敗戦の将 兵をかたらず」といわれるが、これまで支援して頂いた読者のため又控訴した逆転勝訴を勝ち取るため、判決理由とその問題点を追って解説していく所存である。
本日は判決理由の中でも特に筆者が理不尽だと感じた点を述べる。
琉球新報は2007年、上原さんに掲載中止を告げたとき「社の方針に合わない」を理由とした。 ところが昨年2月、上原さんに提訴され、急遽掲載中止の理由を「二重掲載」と変更した。
ところが「二重掲載」とは新報側の「勘違い」であり、「同じ資料の引用」であることが証人尋問で明らかにされ、「二重掲載」は被告側の感違いであることが法廷で立証された。
驚いたことに新報側は、法廷で指摘されるまで「二重掲載」の勘違いに気がついていなかった。
この事実は当初の「社の方針に合わない」という言論封殺を意味する「掲載拒否理由」から、慌てて「二重掲載」という後付の「掲載拒否理由」に変更したため資料を精査できなかったことを物語っている。
問題の資料は上原氏の「沖縄ショウダウン」に引用されている。
これを「二重掲載」と勘違いしたのは琉球新報の方であり、新報の主張する「二重掲載」には瑕疵がある。
ところが判決理由では「二重掲載」についてこう述べている。
「・・・これらはいずれも原告が引用することを明示していなかったからであるから、被告において、過去に掲載されたものと同じ内容内容を再び掲載していると判断されてもやむを得ないものといえる」(判決理由書)
呆れて言葉を失う判決理由である。
被告側が「社の方針に合わない」という「拒否理由」に代わる「理由」を求めて、慌てて上原上原さんの旧著「沖縄ショウダウン」をパラパラめくり、引用された資料を「二重掲載」と勘違いした。 これを裁判官は「やむを得ない」と言うのだ。(怒)
裁判長は、新報が間違った主張をした「二重掲載」を擁護し、強引に勝訴にしたしか思えない判決理由である。
他にも突っ込みどころ満載の判決理由であるが、これは稿を改めて述べたい。
報告会が終わって徳永弁護士と一種の賭けをした。
「明日(21日)の沖縄2紙の紙面にデカデカと新報勝訴の記事が出るのを見るのは胸糞悪い」と筆者が言うと、徳永弁護士はこう述べた。
「いや、黙殺でしょう。 もし派手に報道したら、今後の控訴の経過も逐一報道せざるを得ない羽目に陥るので」
果たせるかな今朝の沖縄タイムスには、徳永弁護士の予想通り「新報勝訴」に関しては完全黙殺である。
琉球新報は未確認だが、沖縄タイムスに関しては徳永弁護士の勝である。
「新報勝訴」の代わりにこんなベタ記事が。
教科書無効確認
高裁が抗告棄却
育鵬社版ねぐり
【八重山】八重山地区の中学公民教科書問題をめぐり、石垣市と与那国町の中学生と保護者が、両市町を相手に育鵬社版教科書の無償給付を受けない地位にあることの確認を求めた仮処分を求めた仮処分申請で、福岡高裁那覇支部は20日までに申請を却下した那覇地裁決定を支持し、生徒らの即時抗告を却下する決定をした。 棄却は10月25日付け。
綿引穣裁判長は「本来無償給付を受けるべきではない育鵬社版が無償給付をされることで、著しい損害または脅迫の危険が生じている」とする生徒らの主張に「具体的にどのような著しい不利益が生じるのか想定しがたい」として、那覇地裁の決定を妥当とした。
生徒らは今月8月10日の那覇地裁の却下決定を不服とし、即時抗告していた。
>生徒らは今月8月10日の那覇地裁の却下決定を不服とし、即時抗告していた。
へぇ、高裁に抗告しているとは知らなかったが、こちらの裁判官はマトモだね。
高裁で抗告棄却されたのでは、12月28日の地裁判決も決まりだね。
【おまけ】
「ユウトピアの民」でよいのか 政治部 石川有希子「平和な幸福な堯舜(ぎょうしゅん)のやうな人民に文明々々と怒鳴つて、自由だの権利だのを教へて煩悶の種を造らせるのはどうかと思ひます」
100以上年前、永井荷風は「新帰朝者日記」に記した。中国の伝説上の五聖帝、堯や舜の名を挙げているが、中国に対する論評ではない。当時の日本人が、何もせずとも平和でいられる理想郷にいるがごとく、自由や権利の基盤を考えていないと見て、皮肉を浴びせたのである。「要するに日本人は幸福なユウトピアの民なんですよ」と。
この慨嘆は、文学者でもある石原慎太郎・前東京都知事にも響くのではないだろうか。
今年4月に石原氏が、東京都による尖閣諸島購入の意向を表明したことが、9月の国による同諸島の購入につながった。
2005年5月にも、石原氏は東京都小笠原村にある日本最南端の沖ノ鳥島を都知事として初視察し、上陸して国旗を掲げ、「沖ノ鳥島 日本国」と刻まれた碑にキスした。排他的経済水域(EEZ)の起点となる沖ノ鳥島を、中国はEEZの基点とならない「岩」だと主張する。石原氏は「島だよ、ちっちゃな島だ。日本の領土だ。文句あるか」と語った。
「国がやらないなら都がやる」という一連の行動には賛否がある。ただ、その背景には、領土を守る意志が政府には乏しいという危機感があった。今年9月4日、当時の長島昭久首相補佐官が政府による尖閣諸島の購入について報告すると、石原氏は「これで俺も肩の荷が下りたよ」と安堵(あんど)の表情を見せたという。それから二か月も経たないうちに、石原氏は新党結成と国政復帰を表明して都知事を辞めた。
領土を巡る問題では、海底資源など経済面の権益ばかりに目が行きがちだ。しかし、中国の安全保障面の意図も正確に理解し、対応しなければ危うい。沖ノ鳥島や尖閣諸島は、日本の国防上、非常に重要な意味を持っているからだ。
中国は、中国沿岸部から九州―沖縄―台湾―フィリピン―ボルネオ島までを結ぶ海域を第1列島線、伊豆諸島―小笠原諸島―グアム・サイパン―パプアニューギニアまでを結ぶ海域を第2列島線とする2段階の防衛ラインを持つとされる(地図参照)。
台湾有事の際、第1列島線の内側は「近海防御」の対象となり、米国の空母や原子力潜水艦の侵入を阻み、米海軍の増援を阻止する「遠海防衛」のためには、第1列島線から第2列島線までの海域が前方防御海域となる。
尖閣諸島は第1列島線の内部に、沖ノ鳥島は第1列島線と第2列島線のちょうど中間地点に位置する。
中国が尖閣諸島を自国の領土だと強硬に主張するのは、尖閣諸島を基点とした日本のEEZに活動を制約され、西太平洋に進出する出口をふさがれることへの懸念からだ。沖ノ鳥島を「岩」と主張するのも、前方防御海域を日本のEEZに阻まれまいとする意図の表れだ。
読売新聞政治部の新著「基礎からわかる 日本の領土・海洋問題」(中公新書ラクレ)は、領土を巡る様々な問題が顕在化した今、包括的な視点を示すべく、緊急出版したものだ。国際社会での日本の立ち位置を網羅的に把握できるよう、北方領土や竹島など日本に直接的にかかわる問題のほか、中国の海洋戦略や関係国との領土・領海問題も詳述している。
領土は国家の主権そのものだ。堯、舜の理想を引き継いだはずのかの国の振る舞いは、必ずしも平和的ではない。その隣国を前に、いつまでも「幸福なユウトピアの民」でいいかどうか、日本人自身が考える時が来ている。
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