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続・無償給付へ提訴!敗訴覚悟のイデオロギー闘争

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■八重山日報社 9月14日

調査員意見は最優先か
意見言い合うだけの ” 協議 ”
県教委、重ねて一本化迫る

< 逆転不採択の現場 ▼3▼ >

竹富町の慶田盛教育長が育鵬社版を批判する。

慶田盛教育長 「教科書を現実に使用する学校の意向はどうか。
        この点は調査員の調査結果だ。なぜ調査員に
        推薦されていない図書が上がってきたのか、
        客観的な説明がない」

地区小中校長会、八重山地区PTA連合会が育鵬社版に否定的な要請
を行っていることを指摘。地域住民の声にも言及した。

慶田盛教育長 「地域住民の意見は沖縄タイムス、琉球新報に載って
        いる。育鵬社関係の教科書を採択した市教委をどう
        思うか。タイムスは56%、琉球新報は61.3%
        が反対している。半数以上が反対している。こう
        いう状況を踏まえても、考えないといけないところ 
        があるのではないか」

竹富町の石垣安信竹富町委員、与那国町の入慶田本委員長、石垣市の
仲本委員長からも、育鵬社版の選定や、協議会の運営方法に対する
批判が続出する。

石垣委員   「公民の教科書だけ、調査委員の推薦がなかったものが
       急に浮上して、育鵬社が採用された。協議会の規約が突然
       変更され、現場の経験のある職員が外されたことも疑問に
       思う」
入慶田本委員長 「竹富町が悪者扱いされているが、私はそうではないと
         思う。原因を煮詰めていただいて、協議してほしい」
仲本委員長  「現場の先生方、調査員が研究した図書が採択されていな
       い。教科書を実際に使用する学校現場の意見が十分に反映
       されているのか。PTAの要請にも十分に答えられたのか。
       住民の世論調査が新聞で出ているが、もろもろの世論調査
       が十分に反映されているのか。この事実は無視できないと
       考えている」

石垣市の嵩田美代子委員も、ほぼ同様の論旨を展開する。        
 
嵩田委員   「なんと言っても調査員が上げてこなかった教科書を協議
        会が採択したことが納得できない。玉津教育長は責任と
        権限という言葉をしきりに発するが、調査員が上げたも
        のを選ぶという前提のもとの責任ではないか」

嵩田委員と竹盛洋一委員長は協議会の構成メンバーも疑問視する。

竹盛委員長  「協議会のメンバー8人の中に教育委員が6人いる。協議
        会は教育委員会の諮問機関であり、構成からして非常に
        おかしい」
嵩田委員   「3市町教育委員メンバーが自分たちで諮問して、自分たち
        で答申を受けるという入口のところから、大変な迷路に
        入った。今一度、原点に立ち戻って協議しないと一本化
        は諮れない」

「調査員の推薦がない教科書が選ばれた」という批判に玉津教育長が反論する。

玉津教育長  「推薦なしの教科書を採択したという話があったが、第2回の
        協議会で、6人の委員が集まった中で私は『拘束性をを持た
        ない推薦制を考えておりますから、そのうちにシステムを
        提示します』と申し上げている。協議会が自分の責任と権限
        で選ぶということをはっきり申し上げ、何ら反論がなかった」

育鵬社版を擁護する委員がさらに反論に出た。

徳松委員   「調査員の報告を尊重しなさいというが、報告書が、あるグル
        ープの反対意見とほとんど同じだとA新聞は書いてある。私は
        実際に分厚い調査報告を見た。八重山の調査員はマイナスの
        意見ばかりで、どういうことか首をかしげていた。ある種の
        誘導があったのかと思うふしがある。調査員といえども、
        それぞれ主義主張がある。その中でしか調査できない」

市教委の石垣委員は「協議会に教育委員が入っているのはおかしい」という批判に
反論する。

石垣委員   「なぜ協議会の総会で(委員を入れ替える)提案があったときに
        議論しなかったのか。総会で通ったんですよ」

委員全員が発言したが、お互いが意見を言い合っただけで、中身のある議論に
発展しない。ここで竹盛委員長が提案する。

竹盛委員長   「きょう、この13人の教育委員がいらっしゃる中で(教科書)
         決めてほしい。ここで採択してはどうか」

ここで玉津教育長は、義家弘介参院議員が文科省幹部から取った文書を読み上げる。
文書によると、この場を教科書採択に向けた協議の場とするなら、3市町教委の
合意が必要だ、玉津教育長は、義家氏の名前を伏せた。
ここで狩俣義務教育課長が発言する。 

狩俣課長    「(文書は)私たちが確認しているところと若干異なるところ
         もあり、確認が必要だ」

狩俣課長はさらに、育鵬社版を選定した採択協議会の答申について説明する。

狩俣課長    「採択協議会で出されたのは答申だ、答申はあくまで答申。
         各教育委員会を拘束しない。文科省からも、弁護士、行
         政法専門の大学教授にも確認している」

狩俣義務教育課長は、この場での採択協議入りを改めて迫る。

狩俣課長    「各教育委員会が異なる採択をした場合は、協議しないこと
         は許されない。残るのは協議の形態。委員長だけに一任し
         てやるか、委員長と教育長でやるか。だいたい、こういった
         ところだと思う。答申と異なる採択であっても一本化して
         いればいい。そのことを確認してほしい」

この場で協議しないという選択肢はないと断言する県教委。育鵬社版を擁護する
少数派の委員たちは追い詰められていく。

■八重山日報 9月15日

 ” 多数決 ”の是非で紛糾
石垣、与那国は拒否
「決定この場で」迫る県教委

< 逆転不採択の現場 ▼4▼ >

ー竹盛委員長が、教科書の一本化へさらに議事を進める。

竹盛委員長
「教育委員は基本的に合議で話をしようというのが基本だが、合議は難しい。ここで採択について決める、教科書を1つに絞ることを皆さんに諮ッていいか」

ー玉津教育長が反対する。

玉津教育長
「協議会は、あらかじめルールを定めて協議するのが無償措置法の基本だ。最低条件は、各教委が合意することだ」

ーここで狩俣義務教育課長が玉津教育長に反論。協議は、県教委の事実上の「主導」が鮮明になってくる。

狩俣課長
「協議は、あらかじめルールを決める必要はない。ここでルールを決めて話し合えばいい」

ー狩俣課長は、教科書採択に向けた具体的な協議の方法を提案する。

狩俣課長
「いろんな協議の仕方がある。教育委員長だけでやる方法、教育委員全員でやる方法。他教行法で教科書は教育長の専権事項ではなく、教育委員に専決権があるので、どうしても協議には教育委員会が入っていないといけないというという判断を持っている。教育長だけの協議は考えていない」

ー教育長だけの協議だと、2対1で育鵬社版の採択が決まる。教育委員全員での協議、教育長と教育委員長の協議では、いずれも育鵬社版に反対する意見が多数だ。
狩俣課長は、なおも協議入りを迫る。

狩俣課長
「教育委員会で協議した結果、協議しないことにしました、ということは有り得ない。そこは誤解がないようお願いしたい」

竹盛委員長
「ここは多数決で、協議の場とすることを決めたい」

ー崎原教育長が反対する。

崎原教育長
「法的拘束力もないのに、多数決で決めてどうするのか。世間受けを狙っているのか」

玉津教育長
「(3市町教育委員会に)分けてください。採択を変えるか変えないか確認して戻ってくる」

ーここで玉津教育長は、3市町が育鵬社を採択したあとで、竹富町だけは副読本として東京書籍を購入することを提案するが、竹富町の委員から「沖縄の教育を揺るがす問題だ。受け入れるわけにはいかない」(大田委員)と断られる。
議長役は仲本委員長に交代した。

仲本委員長
「堂々めぐりをしている状況だ。この場を協議の場として確認し、教科書を一本化したい、採択は挙手でお願いしたい」

ーいきなり多数決を持ち出す仲本委員長。崎原教育長、玉津教育長が抗議する。

崎原教育長
「これは拘束力があるのか」
玉津教育長
「法的根拠は何か」

ーここで、狩俣課長が両教育長をけん制する。

狩俣課長
「協議は、しっかり最後までやってもらわないといけない。席を立つようなことがないようにお願いしたい。協議の仕方を決めてほしい。3つの教育委員会に分かれるなら、どういう形で協議するのか対案を出してほしい」

ーさらに狩俣課長は続ける。

狩俣教育長
「協議の方法は、この場で多数決で決めていただかないといけない。ちゃぶ台を返さないで決めていただきたい」

ー多数決での決着を容認する発言だった。ここで3市町教育員会は、協議入りするかどうかを話し合うために、別々に協議を開くことになり、休憩に入る。協議が再開し、3教育委員長が報告する。

入慶田本委員長
「(与那国町は)合意を前提に全員で決める」

仲本委員長
「(石垣市は)採択の意見は曲げない。協議の形態についてはまとまらなかった」

竹盛委員長
「(竹富町は)委員13人全員で(協議)という結果が出ている。全員で決めることでよろしいですね」

ーここで、教科書採択に向けた協議入りに異議は出なかった。しかし条件として、与那国町教委は全会一致、市教委は育鵬社版を採択するという意見は曲げないということを明言した。この条件が無視されたことがのちに「協議は無効」だとする主張の根拠になる。

竹盛委員長
「協議会の答申は育鵬社、竹富町は東京書籍。この2つについて、挙手して決めたい、よろしいですか」

ーいきなり多数決に持っていこうとする議事運営に対し、狩俣課長が止めに入る。

狩俣課長
「答申は生きているので、まず、答申の是非について確認した上で、もし答申通りいかないものであれば、2番手(の教科書)はどうするのか議論してほしい」

ーここで崎原教育長が「多数決」に異議を唱える。

崎原教育長
「与那国町は多数決でないと条件を言っている。ぼくたちは3人しかいないので、多数決したら負ける。だから合議にしてくださいとお願いしている」

竹盛委員長
「多数決は採択協議でもやられたことだ。今の状況では合議は無理だ」
ー「多数決」を認めるかどうかをめぐり、協議は紛糾してくる。

崎原教育長
「(与那国町教委の)人間が少ないと分かりながら、多数決に持っていこうとするのはどういう魂胆か。全体で多数決を取ると負ける。民主主義ではない」

玉津教育長
「石垣市も、採択は曲げないと言っている。私たちは多数決は受けない」

ー慶田盛教育長が反論する。

慶田盛教育長
「石垣だって多数決だった」

玉津教育長
「それは、そういう規約を作ってやっているからだ」

ーあらかじめ決められた規約などにもと基づき、多数決を取った採択協議会や市教委と、何のルールもないところから始まったこの日の協議をを同一視できないと玉津教育長は訴える。

            ☆

■八重山日報社 9月16日

「協議には拘束力」県教委明言
育鵬社の採択疑問視
玉津氏「多数決はいけない」

< 逆転不採択の現場 ▼5▼ >

ーここで竹盛委員長が、県教委に指導助言を仰ぐ。

狩俣課長
「全体で協議することは決まったので一歩前進。あと3段ぐらい階段
を上ってもらわないといけない」

ー協議の進行を求める狩俣課長。さらに、育鵬社版の採択を疑問視す
るような発言が飛び出す。

狩俣課長
「お願いしたいことは、文科相の通知には『地域において広く関係者
の理解を求める』とある。皆さんは絶対的な権限があって参加してい
るのではない。関係者の意向をくみ取って自分自身の意見を出してい
ただくということだ。学校現場、保護者、地域の意向はこうだ、とそ
れぞれ話をしてほしい」

ー校長会やPTA、地域住民から育鵬社版の採択に反対する意見が上が
っていることを念頭に置いた発言だ、宮良学教育事務所長は、さらに
踏み込む。

宮良教育事務所長
「校長会は調査員の意思を尊重してくれと言った。八P連も『つく
る会』系の教科書採択には反対。教育は保護者、学校、地域の信頼
があって始めて成り立つ。校長会、八P連の主張をどう各委員が判断
したのか、そこを聞きたい」

ー玉津教育長が反論する。

玉津教育長
「教科書15種目のうち、2種目が調査員が推薦しなかった教科書が
選定された。残り13種目は、何らかの形で教員の専門性に基づく
調査報告書と複数推薦制を参考にした結論が出ている。教員、校長
先生の思いも、十分選定に生かされている。何ら問題はない」

狩俣課長
「今の考え方は誤認がある」

ー玉津教育長に再反論する狩俣課長。こうした県教委の姿勢の背景に、
協議はさらに、育鵬社版に反対する委員に有利な情勢となっていく。
仲本委員長は、再び新聞の世論調査を持ち出す。

仲本委員長
「沖縄タイムスの世論調査で育鵬社反対が56.2%。市、与那国町
の教員が調査員推薦ではない教科書を採用したのに反対は61.3%。
地域の実態も十分反映して尊重してほしい」

ー崎原、玉津両教育長が反論する。

崎原教育長
「マスメディアを含めて不採択運動に走っている。世論、世論という
が、世論作りをしているのは誰か。新聞が正論だと思ったら大変な間
違いを犯す」

玉津教育長
「公務員にとって大事なのは法律だ。世論ではない。世論は参考と
して聞くが、私たちは法に基づいてやることを確認しましょう」

ー協議はここで、「多数決」の是非に再び戻る。崎原教育長が、
多数決に反対する意見を述べる。

崎原教育長
「合議制でやるなら協議に参加するが、委員が少ないと分かりながら
多数決を押し付けるなら、脱法行為だ」

大田委員
「市教委、協議会でも最終的には多数決だ」

崎原教育長
「あれは、あれでいい。(傍聴人から大きな笑いが)条件が一緒
だった。われわれは3人しかいない。条件が違う」

ー崎原教育長の発言に大きな笑い声を上げる傍聴人。育鵬社版の不
採択を求める団体のメンバーたちが会場に詰め掛ける。玉津教育長
を罵倒する私語が多い。笑い声だけではなく、時おり拍手すること
もあり、傍聴マナーに問題がある。

玉津教育長
「合議制を希望している人がいる場合は多数決はできない」

ー入慶田本委員長が「できないということがあるか」と声を張り
上げる。

玉津教育長
「3市町教委は独立した機関だ、その独立した組織が決めた結論
を変える場合は、決めた本人たちが決める」

慶田盛教育長
「何のためにこの会議を持っているのか」

崎原教育長
「条件が違うので、採決を取る意思決定方法はやめてください。
そうでないと、与那国に帰って協議事項を否決する(多数決なら)
拘束力がないからだ」

ー多数決をめぐる議論がさらに白熱する。

玉津教育長
「協議会では、多数決という規約を決めてきた。きょうは合議で
やるか、多数決でやるかを、多数決で決めてはいけない。何でこ
れを、みんなで集まったから変えようという話になるのか」

大田委員
「始めに確認してスタートしている」

慶田盛教育長
「採決の意見は曲げないと出席しているのに、どんな合議ができ
るのか」

ー狩俣課長が発言する。

狩俣課長
「採択が異なれば協議をしなければならない。そこを確認してく
ださい」

竹盛委員長
「多数決で諮るか、諮らないか決めたい」

大田委員
「多数決で諮ってください」

崎原教育長
「多数決を取るなら私は退席する。ルール違反だ」

玉津教育長
「私も退席する」

狩俣課長
「退席という選択はできるだけ避けてほしい」

崎原教育長
「人間の少ないほうが不利だ」

狩俣課長
「皆さんは協議する義務がある。そこから逃げないでください」

崎原教育長
「ここで決めたことには拘束力は何もない」

ー狩俣課長が明言する。

狩俣課長
「ここで話したことは拘束力がありますよ。先ほどの段階で、全
体で協議することを確認したので、それを踏まえて、無償化措置
法13条4項で、そこで決めたことに拘束力がある。答申は拘束
力はない。もう一度確認する。この違いは大事だ」

ー育鵬社を選定した協議会の答申には拘束力はないが、この日の
協議には拘束力があるー。
県教委は、答申に従わなかった竹富町教委の意向を支持する姿勢を
明確にした。

つづく

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