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当日記の目的のひとつに、沖縄メディアが紹介することのない各種講演会等の告知があります。
ところが最近、従来とは多少趣を異にするコンサートの告知を継続的に行っています。。
出演者は中国人の美人ヴァイオリニストだと書いたところ、ハニトラにでもひっかったのではとご心配くださる読者もいるくらいなので、当日記が通常と趣の異なるイベントを支援する意味を説明しておきます。
演奏者の山本レイさんは北京出身で中国名を國麗という北京音楽大学卆のヴァイオリニストで、北京にいるお父さんは指揮者で弟さんはチェリストという音楽一家に生まれました。
弟さんとともに東京で音楽活動中、偶々東京でコックをしていた沖縄出身の山本さんと結婚し山本レイという「沖縄嫁」になりました。 1年前からご主人とともに沖縄に居住地を移し、その後も沖縄を拠点に音楽活動を計画しており、今回が沖縄では初めてのコンサートになります。
ご主人が経営する食堂が那覇市の農蓮市場の中にあり、食堂の奥の一室をヴァイオリンのレッスンルームに使用していたため、偶然近所に住む上原正稔さんがその音を聞きつけレイさんの腕前にすっかりほれ込んでしまった。
これが全ての発端です。
だが、それが何ゆえコンサートの支援までするようになったのか。
ご主人が飲食関係の仕事のため沖縄では音楽、特にクラシック関係の知己のいないレイさんを見た上原さんは、その卓越した演奏を1人でも多くの県民に披露したいと考え、自分の講演会にレイさんを同伴し、サプライズで友情演奏をしてもらいました。 そこで話が発展し7月7日のコンサート開催となった次第です。
当日記とコンサートの関わりについては多少重複しますが次に記しておきます。
*
■世にも不思議な物語
縁は異なもの不思議なもの。 その不思議な縁に導かれ、とある日曜日の午後。
宜野湾市の某結婚式会館で行われた上原正稔さんの講演会で、1人の音楽家と知り合うことになる。
会場に着いたときフロントに掲示された表示札には目的の集会の他に某家の結婚式の予定が掲示されていた。
エレベーターで目的のフロアについて会場に向かった。 そのとき筆者の耳に飛び込んできた鮮烈な楽の音に一瞬足を止めた。
結婚式の余興のため、招待客の誰かがヴァイオリンの練習をしていると思った。
だがその音の主は、並みののヴァイオリンの弾き手ではないことは一瞬にしてわかった。 低音部のG線の開放弦から一気に高音部のE線に駆け上がっていく難曲チゴイネルワイゼンの導入部を、いとも軽々と弾いているではないか。 しかも音の切れがよく極めて正確な音程で弾きこなしている。
姿の見えない演奏者の卓越した技量にしばし息を呑んだ。
この音はヴァイオリンの上手な中学生や高校生程度の演奏ではない。 それどころか、この音の主は、地元のオーケストラ等でトップで弾いていて、時々リサイタルなどをする地元のヴァイオリニストたちより遥かに優れたた技術を持っている。
確かにチゴイネルワイゼンは、ヴァイオリン曲の中でも難曲だと言われている。
作曲したサラサーテ自身が優れたヴァイオリニストだったので、自分の持てるあらゆるヴァイオリンの技巧を盛り込んでいるからだ。
だが、最近の早期教育の成果で沖縄でもこの難曲を弾く中学生も出ては来ている。
事実、筆者も中学生が弾くチゴイネルワイゼンを何度か聞いたことがあるが、いくら上手といっても所詮は中学生。 相手が難曲チゴイネルワイゼンともなると何とか譜面をなぞるのが精一杯で、曲の持つジプシー独特の情念の表現には程遠い演奏であった。 だが、これは沖縄の弦楽の事情を考えれば、仕方のないことである。
その日結婚式会場で耳にしたチゴイネルワイゼンはプロの、それもかなり実力のあるヴァイオリニストの野太い音であった。 結婚式の親族に偶々プロのヴァイオリニストがいて、お祝いに演奏を披露するのだろう、と1人で納得して講演会の会場に入った。
■ドキュメンタリー作家と天女
講演会は40名程度の人が集まっていた。
主役の上原さんの講演が始まる前、講演者の上原さんが1人の大柄な女性を紹介した。
その女性は、友人の中国人ヴァイオリニスト山本レイさんと紹介され、、友情出演でヴァイオリン独奏を披露すると言う。
言うまでもなく、先ほどの音の主は結婚式の余興ではなく、上原さんの「講演会」で演奏するために別室で練習していたのである。
予期せぬ出来事に私も含めて参加者は一瞬唖然としたが、音楽の好き嫌いはともかく、タダで生演奏を聞くことに異論があるはずもなく、拍手で彼女を歓迎し演奏を聴く運びとなった。
ただ気になったのはピアノもない普通の会議室で、無伴奏のチゴイネルワイゼンを弾くことは、多少きついのではないかと案じられた。
だが、演奏が始まった瞬間、そんな懸念も吹き飛ばすような迫力のある生の音に聴衆は圧倒された。 終わっても拍手が鳴り止まず、予定外のアンコールにG線上のアリアを披露するほどであった。
その日の集会の主人公である上原さんの講演が予期せぬ山本レイさんの熱演によりすっかり影が薄くなってしまった。
音楽といえばロックが好きで、クラシックには縁遠いと思われていた上原さんと山本レイさんとのそもそもの馴れ初めは、そのときは全くの謎であった。
冒頭に述べたように上原さんは那覇市の農蓮市場の一角に長年居を構えているのであるが、昨年の12月壁一つの隔たりしかないお隣に、沖縄そばをメインにした食堂がオープンした。
シャッターを下ろし廃業に追い込まれる店舗が多い農蓮市場界隈に新しい食堂ができたのは驚きだった。
だが、何よりの驚きは壁一つの隣から聞こえてくる妙なるヴァイオリンの音色であった。
最初はお隣の店主がクラシック音楽マニアで朝からCDでも流しているものと思っていたが、やがてそれがヴァイオリンの練習している生の音だと知るや、上原さんのとった行動は素早かった。
これまで音楽と言えばロックしか親しみのなかった上原さんが、朝から響き渡るヴァイオリンの音を騒音と捉え、隣に怒鳴り込んだとなると、この物語は一瞬にしてよくある「ピアノ騒音事件」ならぬ「ヴァイオリン騒音事件」て終わってしまうところであった。
■そーきソバとチゴイネルワイゼン
ところが上原さんは姿の見えない音の主に、「地上に舞い降りた天女の姿」を勝手に想像しながら隣の食堂を訪問した。
店主が恐縮して答える。
「すみません、うるさいですか」
「いや、うるさいどころか、あまりにもすばらしい音色なので、どなたかと思って」
「実は私の妻が奥の部屋を練習場に使っているもので」
驚いたことに、妙なる音の主はソーキソバ屋のカミさんだというのである。
店主の呼ぶ声に奥から出てきた音の主を見て上原は再度驚きの声を出した。 沖縄食堂のカミさんとはイメージのまるで異なる長身の美女が楽器を片手に現れたのだ。
まさに上原さんが勝手に想像していた天女そのものであった。
ところがこの天女、客が立て込んでくると、ヴァイオリンを置いて、ご主人自慢のそーソバを客に運ぶ手伝いをしているではないか・・・。
これが山本レイさんと上原さんの未知との遭遇であった。
そこですっかり天女のとりこになってしまった上原さん、自分の実力を披露する場所が沖縄にはない、と嘆く山本レイさんの話を聞いて自分の主催する集会に彼女を連れ出して即興の演奏を披露させた。 これがが冒頭の某結婚式場での集会の顛末である。
■異色のコンサート
講演会の後、上原正稔さん、山本レイさんを囲んで懇親会を開いたが、その席で山本レイさんが、上原さんの「表現の自由を守る活動」を支援していくと言う話しが持ち上がった。
そこから音楽の縁が飛び火し、偶然、その昔アマチュアのクラシック音楽活動をしていた筆者から、昔の音楽仲間に音楽の輪が広がって、沖縄ではトップクラスのピアニストである武田光史さんへと繋がって行く。
そして山本レイ・武田光史という沖縄では最強のコンビが誕生することになる。
山本・武田のコンビが演奏では最強のコンビと言えるが、長身の山本さんと豆タンク(失礼)のような上原さんが並んで歩く姿はこの世のものとは思えぬ奇妙なコンビである。
このような異色の組み合わせが、7月7日のコンサートへと繋がっていくのである。
*
いうまでもないことだが、ここに登場する上原さんとは、琉球新報を相手どって「パンドラの箱掲載拒否訴訟」を提訴しているドキュメンタリー作家上原正稔さんのこと。
来月は7月5日に「パンドラの箱掲載拒否訴訟」の第2回口頭弁論があります。
上原さんの訴訟活動を支援する「表現の自由を守る会」は、山本レイ・コンサートを共催しています。
上原さんを支援する下記コンサートにご参加下さることにより、上原さんの訴訟活動をご支援下さいますようお願い申し上げます。
■「表現の自由を守る会」共催のコンサートのお知らせ■
山本レイ
ヴァイオリン コンサート
★ヴァイオリン独奏 山本レイ ピアノ伴奏 武田光史
★日時 7月7日 開場 午後6:30 開演 午後7:00
★場所 パレット市民劇場 http://www.city.naha.okinawa.jp/gekijo/40pdf/1107.pdf
★料金 3000円(当日3500円) 全自由席
■ プログラム
どなたでも一度は耳にした事のあるヴァイリンの名曲ばかりを選曲してありますので、お誘いあわせの是非生演奏による世界の名曲をお楽しみ下さい。
サラサーテ
チゴイネルワイゼン
メンデルスゾーン
ヴァイオリン協奏曲ホ短調?楽章
その他世界のヴァイオリン名曲
■ 主催 山本レイ音楽事務所 ■共催 表現の自由を守る会
※チケットは下記の場所で取り扱っています。
★リウボウサービスカウンター8階商品券・プレイガイド
沖縄県那覇市久茂地1丁目1−1
電話:098−867−8242
リウボウ電話:867−1171
★三越プレイガイド
沖縄県那覇市牧志2-2-30
TEL 098(862)5111
★コーヒーハウス ぽえむ開南店
電話: 098-866-9777
住所・ 沖縄県 那覇市松尾2-22-27
★喫茶 フィガロ
沖縄県豊見城市字名嘉地60
電話:098−850−3115
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