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沖縄戦「集団自決」の謎と真実
秦 郁彦
PHP研究所
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■消えた「軍官民共生共死」のキーワード■
琉球新報に掲載された宮城晴美氏の「検証『集団自決』」と題する論文には「軍官民共生共死」という軍命令の根拠とするキーワードがひと言もないことを指摘した。
「軍官民の共生共死」は、確かに沖縄タイムスや左翼学者の論文に頻出する言葉ではあるが、宮城氏の論文に出てこなくとも特に不思議ではないという意見もあるだろう。
だがこの言葉は宮城氏の師匠である安仁屋沖国大名誉教授から受け継いだ日本軍批判のキーワードであり、「集団自訴訟」に提出した宮城氏の陳述書にも繰り返し使用されている。
■宮城晴美氏の法廷陳述書■
<・・・座間味島の「集団自決」は日本軍の命令によるものと言わざるをえないと考えられます。その理由は次のとおりです。
?「軍官民共生共死の一体化」方針
沖縄の日本軍(第32軍司令官牛島満中将)は、1944年(昭和19年)11月18日に「報道宣伝防諜等に関する県民指導要綱」(乙33)を策定し、「軍官民共生共死の一体化」の方針を打ち出し、軍官民一体の総動員作戦を展開していました。
?座間味島での「軍官民共生共死の一体化」(陣地構築、食糧増産など)
本書に書きましたように、1944年(昭和19年)9月に座間味島に駐留を開始した日本軍も、この方針のもとに、住居の提供、陣地の構築、物資の運搬、食糧の供出・生産、炊事その他の雑役等に村民(男女青年団など)を駆り出し、村民の住居に兵士を同居させ、さらには村民の一部を軍の防衛隊に編入しました。生活になくてはならない漁船も船員ごと接収しました。
村は日本軍の「軍官民共生共死の一体化」の総動員体制に組み込まれたのですが、軍は村役場の会議室と地元の青年団が建設した青年会館に作戦本部を置き、村の行政組織を軍の指揮下に組み込み、村長、助役(=兵事主任、防衛隊長)などを通じて、村民に対して動員命令を下していました。>大阪地裁・宮城晴美「陳述書」
「軍命令の虚構性は明らか」とする原告側に対し、被告側は沖縄などに残る文献を根拠に「軍命令はあった」と主張。「住民は『軍官民共生共死の一体化』方針で軍に総動員され、捕虜になることを許されずに玉砕を強いられた」と軍の関与を指摘する。
(大江健三郎氏が9日出廷 沖縄集団自決訴訟)
つまり梅澤戦隊長、赤松戦隊長の自決命令はなくとも第32軍の方針は「軍官民の共生共死の一体化」であり、事実上住民は自決を命じられていたというのが左翼勢力の主張だ。
実際はどうだったのか。
沖縄防衛のために新設された第32軍の牛島満司令官は「軍官民共生共死の一体化」どころか、
「非戦闘員は玉砕させず安全地帯に待機させる大方針だった」ことを明らかにしたのが、現代史家・秦郁彦氏が米公文書館から発掘した、英文訳の「南西諸島警備要領」である。
これまで第32軍の高級参謀八原博道大佐が昭和48年に著した『沖縄決戦』(読売新聞社)で、この書類の存在は知られていたが、現物が見つからず「軍が自己弁護のため作り出した虚構」だと左翼勢力に反駁されていた。
牛島司令官が指揮下の全部隊へ示達した極秘のこの公文書は、原文は見つかっていないが、米軍が押収し英訳していた資料が発掘されている。(「沖縄戦「集団自決」の謎と真実」)
これら米軍が押収した第32軍の書類の英訳文は、第32軍が住民の安全に努力していたことを示す決定的証拠である。
従って左翼勢力が金科玉条にしていた「軍官民の共生共死」はもはや主張の根拠が根底から崩れ去ってしまったことになる。
師匠の安仁屋政昭沖国大名誉教授が指導した宮城晴美氏が裁判の陳述書にも繰り返し強調してかいた「軍官民の共生共死」を、琉球新報の論文から削除するのもむべなつかなである。
■崩れ去った大江氏の「タテの構造」■
隊長命令や軍の命令が証明できないと知るや、被告側は一気に作戦を変える。
「隊長命令の有無は問題でない」と主張し、大江健三郎氏が法廷で展開したのが「タテの構造云々」の詭弁である。
「タテの構造」論の要諦は「軍官民の共生共死」と連動している。
法廷証言の後、大江氏は朝日新聞で弁解文を書いているが、その中にも「軍官民の共生共死」が日本軍批判のキーワードとして出てくる。
<日本軍、第三二軍が県民に担わせていた「軍官民共生共死」の方針、列島の守備隊というタテの構造の強制力、そして米軍が島民に虐殺、強姦を加えるという、広く信じられた情報、俘虜となることへの禁忌の思想、それに加えて軍から島民に与えられた手榴弾とそれにともなう、さらに具体的な命令、そうしたものの積み重なりの上に、米軍の上陸、攻撃が直接のきっかけとなって、それまでの日々の準備が一挙に現実のものとなったのだ、という考えにいたって、それを書いたのです。> (3)タテの軍構造に責任 (12月12日朝刊総合4面)
第32軍が作成した「南西諸島警備要領」の発掘により、大江氏の「タテの構造云々」も木っ端微塵に粉砕され、「軍官民の共生共死」同様に、以後この言葉を使用することは出来ないはずだ。
にもかかわらず、最高裁判断の後、またぞろ「軍官民の共生共死」という死語が、ゾンビのように復活し始めている。
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「パンドラの箱掲載拒否訴訟」支援団体
三善会事務局よりのお知らせ
狼魔人日記ブログ主殿並びに読者の皆様へ
パンドラの箱掲載阻止訴訟」をご支援下さり、誠に有難う御座います。
また、多くの支援金を送金下さり、感謝に耐えません。
昨日日(5月16日)の報告会は、事務局と担当弁護士の連絡に行き違いがあり、裁判の日程のお知らせが間に合わなかった事をお詫び申し上げます。
また、大雨の中をお運び頂きながらも、弁護士の到着が遅れ、ご挨拶が出来なかった支援者の方には重ねてお詫び申し上げます。事務局でも弁護士が搭乗された便が50分余りも遅れたため、不測の事態があったのではないかとまで心配していた次第です。
到着後弁護士に伺えば、豪雨の為着陸が許可されず、那覇市の上空を旋回飛行し待機していたとの事です(17機あったとのこと)。・・空港ロビーでのアナウスが無かった事は不親切だと思います・・
先週までに被告琉球新報側の反論が出されていなかったため、書類のみの提出で欠席かと思われましたが、本日の連絡で、本日被告の弁護士が出席するとの事を確認、裁判所に原告側の意見陳述を申し込、了承されました。
本日16日の口頭弁論では原告の上原正稔さんが法廷に立ち意見陳述をする予定です。
平日ではあり、皆様の出席は困難かと思いますが、都合のつく方は傍聴して頂ければ幸いです。
記
第1回 口頭弁論 5月17日午前10開廷 那覇地裁(何号法廷かは明日発表されます)
1階入り口の案内に
民事裁判 原告 上原正稔 被告 琉球新報社 の傍聴希望を告げれば法廷が何処か教えてくれます。
三善会 会長 當山正範
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