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集団自決、最高裁判断の意味

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上原正稔さんが琉球新報を提訴した「パンドラの箱掲載拒否訴訟」と、先日最高裁判断が出た「集団自決訴訟」は、「集団自決」が事実上最大の争点となるため問題の核心は同じであると書いた。

これに対し複数の知人から「最高裁で確定したことを、今さらぶり返しても勝ち目がないではないか」といった内容の電話を頂いた。

念のため最高裁で確定した事実とは何かと聞き返したところ、ほとんどが「軍の関与が確定したのだから軍が強制したのも確定した」として、結局「集団自決は軍の命令で行われた」ということが確定したというのである。 新聞の見出しに見事に誤誘導された典型的な認識である。

最高裁判断が出た翌日4月23日の沖縄タイムスを見ると、「軍の関与=命令」と誤認させるような記事が満載で、多くの被告側関係者が喜びのコメントを発している。

座間味村の集団自決の体験者の宮城恒彦(77)氏などは「これ(関与)は『命令』そものだった」(沖縄タイムス)と強調しているが、もちろん間違いであり、最高裁が「関与=命令」と確定したけではない。

沖縄タイムスとしては最高裁の判断はどうでもよく、読者が「軍命があった」と誤解してくれれば目的は達しているのである。

沖縄2紙に掲載される集団自決関連の識者の論考は、どれを読んでもデタラメを羅列した噴飯物ばかりなので、まじめに読むことはない。

それでも、あまりデタラメが続くと読者に見放されると思ったのか、数多くのデタラメな論考に混じって、時折まともなものも散見される。

5月2日付沖縄タイムスには2回連続企画の「大江・岩波訴訟 下された最高裁判断」の二回目で、石山久男前歴史教育者協議会委員長の「歴史研究と言論の自由」と題する論考を掲載している。

一部抜粋引用する。(太字強調は引用者)

<最高裁判決は、狭い意味での体調命令の存在を認定しなかったものの、それは隊長命令がなかったことを意味するものではないことを明言している。 つまり、その点については、自由な歴史研究と言論表現を通じて明らかにすべきとしたのである。
したがって、最高裁決定によって強制集団死における軍命の存在が明確になったということはできないし、最高裁決定を直接的な根拠にして教科書既述の変更を求めるべきではない。 またそうすべきではない。>(沖縄タイムス2011年5月2日)

 「狭い意味での隊長命令」とか「強制集団死」とか左翼応援団的文言が随所に見えはしても、最高裁判断を意識的に曲解させようとする他の識者に比べ、比較的まともな判断をしているではないか。

 最高裁判断は、軍の命令や強制があったと確定したのではない。石山氏の文章をそっくり借用すれば、「軍命の有無については、自由な歴史研究と言論表現を通じて明らかにすべき」と確定したのである。

つまり筆者の知人が冒頭で述べたような「最高裁で確定したことを、今さらぶり返しても勝ち目がないではないか」という心配が、全く無意味であるということがわかる。

前回の「集団自決訴訟」が結局、軍命の有無の判断にまで踏み込まず、言論の自由を優先した判断をしたことは、今回の「パンドラの箱訴訟」の重要性を図らずも裏づけしたことになる。

最高裁も認める言論の自由により歴史の解明を試みた上原さんの原稿を一方的に抹殺した琉球新報の罪が限りなく重いことは、裁判を通じて県民の前に明らかにされるはずである。

前回のエントリーで、現代史家・秦郁彦氏が木っ端微塵に粉砕した「日本軍のいない島では、集団自決は起きなかった」という林博史関東学院大学教授の言説は、他の証言者たちがお題目のように口にする言葉だが、証言者の象徴ともなっている金城重明氏は沖縄で行われた出張法廷で証言をした後、同じ文言を呪文のように繰り返している。

「軍隊なしには集団自決は絶対に起こらない。日本軍が駐留した島でしか集団自決は起こっていない」(時事通信)

この「日本軍が駐留した島でしか集団自決は起こっていない」というお題目のような言説を、秦郁彦さんと同様に、上原正稔さんも次のように一蹴している。

<野田隊長の第二戦隊が駐在する阿嘉島では集団自決は全く発生していないことを指摘する者はいない。
軍人のいない前島では集団自決は発生していないが、同じく軍人のいない久場島では住民の集団自決が発生していることを知る者はほとんどいない。

軍人がいたから集団自決が発生したのではない。集団自決は実は、戦後の援護法が深く関わっているのだ。
詳細は裁判の中で明らかにされるだろうが、集団自決した者、つまり殺された者の遺族(殺した者)は戦後、今に至るまで莫大な援護金を取得しているが、そのためには軍命令があったと厚生省に嘘の報告をする必要があった。               

これを隠すために赤松、梅澤両氏に集団自決を命令したとする汚名を着せる必要があったのだ。この簡単な事実を無視して、つまり、臭いものにフタをして赤松、梅澤両氏を極悪人に仕立てて、援護金を取り続けている者に癒やし、すなわち救いはあるのだろうか。

また、その事実を無視し続ける琉球新報、沖縄タイムスを始めとするマスコミは許されるだろうか。

今、マスコミだけでなく、沖縄そのものの良心が問われている。>(上原正稔)

              

                    記

「パンドラの箱掲載拒否訴訟」那覇地裁第1回口頭弁論報告会

 日時:5月16日(月)正午〜午後2時まで

 会場:奥武山護国神社社務所大会議室(2F)

 会費:1000円(昼食弁当代込み)

 報告者:上原正稔・徳永信一弁護士

 参加頂ける方は、準備の関係上、下記の事務局まで一報下さい

 事務局:090−9780−7272 ニシコリまで 

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記号 17010   番号 10347971
三善会(サンゼンカイ)
沖縄県宜野湾市真栄原1−11−1−702 

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