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表現の自由は人権を凌駕する!最高裁判断

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日本国憲法の第3章「国民の権利及び義務」には次のような条文がある。
 
第21条〔表現の自由〕
1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

沖縄のドキュメンタリー作家上原正稔さんが琉球新報を相手取って提訴した「パンドラの箱掲載拒否訴訟」は、著作権法違反の他に、国民の権利である表現の自由を琉球新報に踏みにじられたことに対し損害賠償を請求している。

日本国憲法は国民の表現の自由を保障すると同時に国民の人権を保障している。 ところが最近の司法判断を見るとマスメディアが表現の自由を盾に個人の人権を蹂躙しても、その罪を問わないという傾向が感じられる。

「全体主義の島」といわれる沖縄では、沖縄2紙がタッグを組んで異論を唱えるものには人権蹂躙とも思える論陣を張ってはばからない。


 4月26日の沖縄タイムスには同日から始まった連載特集「日本はどこへ 普天間基地」の第一回が掲載されている。 執筆者署名が「琉球新報=内間健」と琉球新報記者になってるが、これはもちろん誤植ではない。 

この連載企画が沖縄タイムス・琉球新報・共同通信社の三社共同企画の表示を見れば読者も納得するだろう。

沖縄では沖縄タイムスと琉球新報という同じ論調の2紙がほぼ独占的シェアーを占めているが、このように共同企画で全く同じ記事を両紙の読者が読むとなると、イデオロギーが絡む特集記事ではほとんどの県民が全く同じ記事を読まされることになる。 

これでは小林よしのり氏に「沖縄は全体主義の島」と批判されても返す言葉がない。

毎日掲載されるこの共同企画記事に一々反応する余裕は無いのでここではさておくが、沖縄2紙のような地方紙が共同通信と契約を結び、配信されるニュースをそっくりそのまま掲載することは周知のことである。

従って今回のような3社共同という例外的な企画でなくとも、沖縄2紙が全く同じ文面の記事を掲載することは特に珍しいことではない。

 

一昨日、この通信社と地方紙の関係に関して興味深い最高裁判断が出た。

朝日新聞によるとこうだ。


共同通信記事掲載の地方紙、名誉毀損訴訟で逆転勝訴

朝日新聞 2011年4月29日4時1分
    
. 東京女子医大病院(東京都新宿区)に勤務していた医師が、共同通信社配信の誤った記事をそのまま掲載されて名誉を傷つけられたとして地方紙3社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は28日、医師側の上告を棄却する判決を言い渡した。地方紙側の逆転勝訴が確定した。

 第一小法廷は「通信社と加盟社の間で取材から掲載までの一連の過程に一体性がある場合、その記事が真実だと信じる相当の理由が通信社にあれば、加盟社も責任を負わない」と判断した。地方新聞社は加盟社として共同通信社の経営に参画していることなどから一体性があると結論づけた。

 医師は2001年に当時12歳の女児が同病院での心臓手術後に死亡した事件で業務上過失致死罪に問われたが、一、二審とも無罪判決を受けて確定している。

 問題の記事は、共同通信社が02年7月に配信した医療ミスに関する記事。医師は名誉毀損(きそん)にあたるとして、ネット上に記事を掲載した同社と、紙面に掲載した上毛新聞社(前橋市)、静岡新聞社(静岡市)、秋田魁新報社(秋田市)に賠償を求めていた。

 一審・東京地裁は07年9月、共同通信社については、大学側の調査報告書などに基づいて報じたことなどを理由に賠償責任はないとした。一方で、地方紙3社に対しては「通信社の配信という理由だけで、記事が真実だと信じる理由があったとはいえない」として、計385万円の賠償責任を認めた。

 二審・東京高裁は09年7月、一審に続いて共同通信社の責任を否定。さらに、配信記事に名誉毀損が成立しなければ、掲載した地方紙も賠償責任を負わないと判断したため、医師側が上告していた。共同通信社に対する上告はすでに受理しない決定が出ており、同社の勝訴が確定している。

 この日の判決を受け、共同通信社の河原仁志・編集局次長は「記事を配信した通信社に責任がなければ、掲載した新聞社も責任を負わないとする妥当な判断が最高裁でも維持され、高く評価できる」との談話を出した。

 通信社からの配信記事をめぐっては、いわゆる「ロス疑惑」の名誉毀損訴訟で、最高裁第三小法廷が02年1月、「私人犯罪やスキャンダル報道」の分野に限り、「信頼ある通信社の記事という理由だけでは、掲載社の賠償責任は免れない」との判断を示している。(山本亮介)
.

                              ☆

結局司法は、医師の名誉毀損による人権侵害と報道の自由を秤にかけ、報道の自由を守るためには人権侵害は我慢しろ、と判断したことになる。

先ず、報道の自由を守るために共同通信が「真実と思って」配信した。

その記事を、さらに「真実と思って」報道した地方紙は、たとえそれが誤報であっても名誉毀損等の罪を問えないのである。

ここまで書くと聡明かつ明敏な読者は、即座に先日の「集団自決訴訟」に対する最高裁判断を想いだすであろう。

報道の自由と人権損害に絡む最近の最高裁判断を、報道の自由を重く見る傾向にあると考えるの筆者だけだろうか。

もうひとつ報道の自由に絡む類似の司法判断があるので紹介する。

 プリンスホテルの賠償減額 日教組使用拒否訴訟 東京高裁
2010.11.25 18:16
 グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会の会場使用などを拒否した問題で、日教組や組合員がプリンス側に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が25日、東京高裁であった。園尾隆司裁判長はプリンス側に約2億9千万円の支払いと謝罪広告掲載を命じた1審東京地裁判決を変更、賠償額を約1億2千万円に減額した。広告掲載請求は退けた。

 園尾裁判長は1審同様、「プリンス側が裁判所の仮処分に従わずに施設使用を拒否したことは不法行為にあたる」と認定。一方、組合員については「施設使用の契約関係になく、不法行為が成立するとはいえない」として請求を退けた。

 訴えていたのは、日教組と77の単位組合、1889人の組合員。1審判決後に5組合と11人が訴えを取り下げたが、園尾裁判長はこのうち日教組と50組合への請求を認めた。1審が賠償責任を認めた取締役12人のうち8人への請求は退けた。

 判決によると、日教組は平成19年5月、グランドプリンスホテル新高輪と使用申し込み契約を結んだが、プリンス側は同年11月に契約を解除。日教組は会場の使用を求めて仮処分申請し、東京高裁が会場使用を認める決定を出したが、プリンス側は応じなかった。この問題をめぐっては、警視庁が旅館業法違反の疑いで、プリンスホテルの幹部らを書類送検したが、東京地検は不起訴(起訴猶予)処分とし、日教組が検察審査会に審査を申し立て、受理されている。

 判決を受けてプリンス側は「周辺住民などに迷惑をかけたくないという当社の苦渋の決断が一定の理解を得た」とコメント。日教組側は「教職員の教育研究活動の重要性を考慮した判決」としている。

                 ★

 この事件は日教組の全国集会が例年右翼団体などの騒動に巻き込まれるので、宿泊客に迷惑がかかるとして、プリンスホテル側が会場使用を拒否したことに対し、日教組側が提訴したものである。

問題は、日教組が裁判所に抗告した仮処分をホテル側が無視したこともあり、必ずしも単純ではなく、日教組が、憲法の保障する「集会・結社の自由」を盾に起こした裁判かどうかについては異論もあろうが、少なくと新聞各紙は「表現の自由」に関わる裁判と捕らえていることが当時の報道からうかがえる。



次に、この訴訟に関して、「集会の自由」を強調する当時の各紙の社説を紹介する。

朝日新聞平成20年2月2日付「社説:教研集会拒否―ホテルが法を無視とは」、

山陽新聞平成20年2月3日付「社説:ホテル使用拒否 「集会の自由」は守らねば」、

西日本新聞平成20年2月3日付「社説:理解できないホテル判断 教研集会拒否」、

信濃毎日新聞平成20年2月3日付「社説:集会拒否 憲法の精神に反する」、

北海道新聞平成20年2月3日付「社説:会場提供拒否 無視された集会の自由(2月3日)」など。

各紙の社説が正しい認識をしているとは思わないが、ここでその一部を例として抜粋引用しておく。


■毎日新聞平成20年2月2日付「社説」

<会場使用拒否 言論の自由にかかわる問題だ

 自由に集会し、自由に意見を交わす場が騒ぎと警備に囲まれ、会場確保のために裁判所の判断を仰がなければならないというのは、本来あってはならないことだ。しかし、集会や言論の自由という最低限の基本的権利はそれで守られる。それを越え、どうであれ会場(機会)は与えないという事態は到底看過できぬ権利侵害といわざるをえない。

 それが日教組の集会であれ、逆に反日教組の集会であれ、保障されるべきは同じである。今回の「全体会取りやめ」は今後、日教組にとどまらず、集会や言論、表現の会場使用をめぐる問題に「前例」として重くのしかかるおそれがある。そうしないための問題認識や気構えが必要だ。>

 

少なくとも新聞各紙がこの訴訟を日教組側の「集会や言論、表現の自由を求める裁判」と位置づけている。

ところで憲法が保障する上原生稔さんの表現の自由を、見事に踏みにじった琉球新報は、この問題について当時どのような社説を書いていたか。

何と、憲法21条で保障された「表現の自由を守れ」と高らかに謳っているではないか。

これには思わずコーヒー、いや、渋茶を吹いてしまった。

琉球新報平成20年2月3日付【社説】

会場使用拒否 ホテルは社会的責任自覚を

<集会の自由・表現の自由は憲法の認める、最も大切な基本的人権の1つだ。今回のホテル側の態度は、こうした権利をも奪うものと批判されかねない。>(琉球新報・社説)

 

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