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沖縄戦「集団自決」の真相 梅澤裕元座間味島隊長の遺言 / 鴨野守/著 / アートヴィレッジ
定価:1296円+税 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
鴨野/守
昭和30年富山県生まれ。金沢大学教育学部卒業。ジャーナリスト。教育問題、戦争、人物評伝を主に手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。
年の暮れが押し迫った30日、突然パソコンが故障し、起動できずに狼狽しましたが、悪戦苦闘、何とか応急的に起動させ、元旦のアップにこぎつけました。やれやれ。
一昨年の宮古島市長選、浦添市長選に続き、「オール沖縄」月支援する重要選挙は連戦連敗、「オール沖縄」を名乗るのが憚れる事態に陥っっていた。
昨年も「オール沖縄」の連敗は続いた。
2月の名護市長選、3月の石垣市長選、4月の沖縄市長選と「オール沖縄」は負けが続き、さらに4月には翁長知事がすい臓がんの手術を受け、11月の知事選までは持たないとの噂も浮上していた。
そのまま沖縄の政治状況が順調にいけば4年前に翁長知事が構築した「オール沖縄」体制は、翁長知事の病死とともに空中分解し、保守系候補が四年ぶりに県知事の座を奪回すると見られていた。
ところが事実は小説よりも奇であった。
知事選3ヵ月前という実に絶妙のタイミング(8月8日)で、翁長知事が病死したのだ。
保革を問わず、県民にとっては青天の霹靂だった。
任期満了に伴う11月の知事選の候補者として翁長知事が再選を狙うと考えられていたからだ。
知事が死亡する二日前(8月6日)の沖縄タイムスは、知事選候補は翁長氏以外は考えられないと報道していたくらいだ。
翁長氏の「急死」により、前倒しになった知事選の「オール沖縄」陣営候補者として、降ってわいたように登場したのが玉城デニー氏だった。
それまでのデニー氏は、知事選候補としては一度もメディアに登場せず、いや噂にさえなっていなかった。
そのデニー氏が翁長知事の後継者と指名された。
翁長氏の遺言が録音されているというのだ。
つまり遺言が「音源」データに録音されていたというのだ。
「遺言」にはデニー氏とかねひでグループ会長の呉屋氏の名が「後継者」として挙がっていたという。呉屋氏は直ちに固辞したがデニー氏は意欲を見せ、結局「後継者」はデニー氏一人にしぼられた。 しかし、音源は、同音源を持ち込んだ新里県議会議長が確認した以外に確認したものはなく、その後も開示はしないという。
知事選候補を決定する重要な「遺言」を当事者のデニー氏自身が確認せぬまま立候補が決まるとは、前代未聞、奇々怪々な話だ。
本来なら沖縄の選挙報道を牛耳る沖縄2紙が「音源」を確認すべきだった。
だが、沖縄2紙に確認するような気配はない。 それどころか「音源」(遺言)は存在しなかったという噂も浮上したくらいだ。
沖縄2紙は、「音源」疑惑に加担して音源の存在を曖昧にしたまま、デニー氏を起死回生の県知事候補にする魂胆だった可能性さえある。
結局、デニー氏が「オール沖縄」側の知事選候補として立候補するが、その際の選挙戦略は唯一つに限定された。
唯一の選挙戦略はこうだ。
徹頭徹尾デニーカラーを消して、翁長知事の遺志の「後継者」を前面に打ち出す戦略だった。
翁長知事をの「亡霊」を徹底的に利用する戦略、つま弔い合戦だ。
この戦略は見事に的中した。
「オール沖縄」側の支持者が連戦連敗喫していた危機一髪の逆転満塁ホームランだった。
だが「オール沖縄」の絶頂期は、デニー氏の知事当選の瞬間だけだった。
デニーカラーを消した新知事の政策は、翁長氏が失敗した政策を後追いするだけでは、成功するはずはい。
知事の席を手中にした後のデニー氏は、翁長氏が書いた台本通りの訪米行脚や政府との「協議」を繰り返し、平行線を繰り返した。現在「県国係争委」への審査請求の最中である。
だが結果は見え透いている。 翁長氏の演じた台本によると門前払いの却下のはずだ。
一方辺野古では、反基地活動家の怒号も空しく、土砂埋め立ては粛々と進行し、だれも止めることはできない。
「あらゆる手法で辺野古阻止」という翁長氏の遺言も、そろそろ打つ手がなくなってきた様相だ。
そこでデニー知事固有の最後の手段として登場したのが2月に予定の県民投票だ。
だが県民投票は欠陥だらけの内容のため、実施を拒否する市町村が続出した。
12月末現在で約8自治体が反対の意を表明しており、宮古島市や宜野湾市は、市議会の予算案否決を受けて、市長が県民投票の実施を公式に拒否した。
特に県民投票の当事者である宜野湾市の松川市長の実施拒否は他の市町村の影響が大きいと考えられている。
県は各市長に是正勧告をして年明けに撤回を期待しているが、両市長が県民投票の不実施を撤回すること考えられない。
地方自治法によると、各自治体が県の是正勧告や是正要求を無視しても罰則規定はない。 したがって県は不作為の訴訟を起こす気もないし、「市民ら」による住民訴訟も勝訴の見込みはない。
県民大会の欠陥として指摘されているのが「辺野古移設」の原点である「普天間基地の返還(移設)」だ。
辺野古移設と普天間移設は表裏一体であり、分けて論じることはできない問題である。
この不可分であるはずの普天間移設を置き去りにして、辺野古基地をめぐる埋め立ての賛否のみで民意を問う県民投票が欠陥と指摘されているのだ。
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実は3年前の最高裁判決でも「辺野古移設」と「普天間移設」を分けて問う民意に疑問を呈していた。
■最高裁が否定した「県民投票」の二者択一
翁長前知事が行った「取り消し」をめぐる県と国の法廷闘争で、福岡高裁判決(最高裁で同判決が確定=2016年12月)は、翁長前知事の埋め立て承認取り消しを違法とした。
さらに判決は普天間飛行場の被害を除去するには辺野古の埋め立てを行うしかなく、それにより県全体として基地負担が軽減されるとした。
この裁判で県は「辺野古反対が民意」と主張したが、判決はこれを退け、次のように指摘した。「本件埋立事業によって設置される予定の本件新施設等は、・・・・沖縄県の基地負担の軽減に資するものであり、そうである以上本件新施設等の建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間飛行場その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとはいえないし、両者が二者択一の関係にあることを前提とした民意がいかなるものであるかは証拠上明らかではない」
判決は「反辺野古は県民総意」の主張を根底からひっくり返した。
この判決に対する沖縄タイムスの反論は概ねこうだ。
「判決は沖縄には①「基地負担軽減を求める民意」②「辺野古新基地反対の民意」があるが、その民意が二者択一の①なのか②なのか、明らかではないとしているとし、①および②であることを明確に示すために県民投票を行うべきだとした(沖縄タイムス18年4月27日付「論壇」)。
だが今回、実施される県民投票は②の「辺野古新基地反対の民意」しか問われていない。
①の「普天間返還についての民意」(基地負担軽減)は問われていないのだ。
つまり判決が指摘した「両者が二者択一の関係にあることを前提とした民意がいかなるものであるか」は今回の県民投票では問われていない。
県民の意見が画一的ではなく多様な民意があると考えれば、「やむを得ない」「どちらとも言えない」との選択肢も設けるべきだが(世論調査でこの選択肢を設けるケースが少なくない)、この点についても県民投票は拒否した。
最後に繰り返そう。
法的拘束力も無く「オール沖縄」の政治的パフォーマンスにすぎない「県民投票」に、県民の血税を投入するのは税金泥棒だ。