トランプ氏が中国の半導体工場への輸出を禁止した影響で、中国の半導体産業が打撃を受けています。半導体製造装置の導入が不可能となったため、60億ドル規模の工場が機能を停止させる事態となりました。G20での貿易合意が困難であるとの見通しが強まる中で、中国側の思わぬ弱みが明らかになっています。
60億ドルの半導体工場、立ち往生-中国の野心にトランプ政権が待った
2018年11月26日 12:22 JST
トランプ米大統領によるテクノロジー輸出規制強化の影響が、中国南東部の海沿いに位置する福建省晋江市で如実に表れている。
国産技術でテクノロジー大国になるとの中国の目標に沿って、福建省晋華集成電路(JHICC)は60億ドル(約6790億円)規模の半導体工場を建設。だがトランプ政権が同工場への輸出を禁止したことで、米サプライヤー企業から派遣されていたコンサルタントは去り、工場は静まりかえっている。同社の夢は引き裂かれ、そこで働く人々は戸惑うばかりだ。
1カ月足らず前、JHICCは地元当局からの財政支援を受けたこのプロジェクトを全速力で進めていた。ウエハー換算で月6万枚程度の本格生産開始までの期限が数カ月以内に迫っていたためだ。同事業はスマートフォンに使われる半導体メモリー生産で中国を競争力のある生産国とするための重要なステップだ。
だが米国では司法省が米国製テクノロジーをJHICCが盗んだと主張し、商務省は同社が必要としている半導体製造装置の購入に対して扉を閉ざした。欧米のサプライヤー各社が晋江市を素通りするようになり、拡張工事は中断した。
JHICCは習近平国家主席から半導体製造で未来の国内3大王者の1社だとたたえられたが、今は不確実性が覆うばかりだ。「次どうなるか確かなことは誰にも分からない。地元の当局者でさえそうだ。われわれを今救うことができるのは習主席とトランプ大統領だけだ」とエンジニアの1人がブルームバーグ・ニュースに匿名を条件に打ち明けた。
JHICCは電子メールでのコメント要請に応じなかった。電話取材を試みたが、同社のウェブサイトを参照するよう求められた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-26/PIS30U6JIJUQ01