「あらゆる手段を使って辺野古に新基地を造らせない」。このことを公約に当選した沖縄県の玉城デニー知事は、就任から約1カ月の間に、普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を阻止するため、政府側と協議するとともに、米国を訪問して要請をするなど次々と手を打っている。ただ、日米両政府の合意を覆すだけの材料は持ち合わせていない。政府側との歩み寄りも厳しい情勢だ。(那覇支局・豊田 剛)
訪米に与野党から疑問も/在米沖縄県人会頼み、限界露呈岩屋毅防衛相は10日、就任後初めて沖縄県を訪れ、県庁で玉城知事と会談した。報道陣にすべて公開された中で、玉城氏は改めて辺野古移設の断念を要求した。
「沖縄県は日米安保体制の必要性は理解している」。玉城氏は冒頭こう切り出し、米軍の事件、事故や日米地位協定の改定などに言及。自身が知事選で過去最多得票を得たことは辺野古反対の「民意」だと強調し、政府の辺野古移設計画を「20年来の固定観念」だと批判した。
これに対し岩屋氏は、「(辺野古移設で)飛行経路が海上になるので、安全性も向上する」と指摘。その上で、1996年の普天間飛行場返還合意から現在に至るまで「その間の一部始終を拝見した。それだけに、何としても普天間の返還を成し遂げたい気持ちでいっぱいだ」と述べるとともに、辺野古移設の必要性を、抑止力維持と負担軽減の観点から説明した。懇切丁寧な説明からは、政府と県による不毛な対立に終止符を打ちたい考えがにじみ出ていた。
玉城氏と岩屋氏の会談に先立つ9日には、杉田和博官房副長官と謝花喜一郎副知事による集中協議が始まった。内容はすべて非公開で、次回の予定も公表されていない。11月末までの間に数回、協議を行う予定だ。しかし、翁長雄志前知事の下での集中協議が行われたが、政府と県の歩み寄りはなかった。
玉城氏は防衛相との会談が終わるとすぐ、米国に向かった。12日は、ニューヨーク大学で講演。その後、国連ニューヨーク本部を訪れた。14日にはワシントンに移動し、国務省・国防省の高官、連邦議会議員、安全保障に詳しい有識者、在米沖縄出身者らと意見交換を行う。ただ、出発直前まで政府高官との面談が確約できず、スケジュールが決まらないまま訪米を断行したことで、県庁内には懸念の声が出ていた。
自民党沖縄県連の幹部は、「交渉する相手は米国ではなく日本政府であり、知事が日米合意を覆すことはできない」と冷ややかだ。県政与党の一部からも、「『政府と胸襟を開いて話し合う』と言った矢先の訪米は、理解されにくいのではないか」と批判の声が上がった。こうした批判を承知の上か、玉城氏は訪米出発前、「中間選挙後ということもあって、今回は政府の要人や議員に会うことよりも、米国の県系人らに沖縄の声を届けたい」とのコメントだった。
玉城氏が日米両政府への要請を急ぐのは、辺野古の海上作業が再開し、土砂投入が時間の問題となっているからだ。ニューヨーク大の講演では在米沖縄出身者らを前に「沖縄県民に残された時間はあまりない」と焦燥感を募らせていた。
県は今年8月、辺野古公有水面埋め立ての承認を「撤回」した。政府はこの対抗措置として行政不服審査法に基づき国土交通相に審査請求。それによって、撤回処分の一時的な効力停止が認められた。これにより今月1日、海上作業が再開された。
政府は集中協議の間も工事を中断する考えはなく、来月にも土砂投入に踏み切る考えを示している。県はこれに対し、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ることを決めた。
玉城氏を支持する県議は「辺野古断念の覚悟をもっと政府に示すべきだ」と厳しい。10月16日の県議会での所信表明で、基地問題の言及が少なかったことで革新支援者から玉城知事に対する不満が少なからずあるという。
故翁長前知事は就任してから4カ月間、政府から事実上の「門前払い」をされていた。これに対し、「対話重視」を掲げる玉城氏は政府にとって与しやすい相手に映っているようだ。県が日米両政府に対して有効なカードを持ち合わせていない中、玉城氏の苦戦は続く見通しである。
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>「交渉する相手は米国ではなく日本政府であり、知事が日米合意を覆すことはできない」と冷ややかだ。
>県政与党の一部からも、「『政府と胸襟を開いて話し合う』と言った矢先の訪米は、理解されにくいのではないか」と批判の声が上がった。
>こうした批判を承知の上か、玉城氏は訪米出発前、「中間選挙後ということもあって、今回は政府の要人や議員に会うことよりも、米国の県系人らに沖縄の声を届けたい」とのコメントだった。
大金を浪費して訪米し、僅か140人の在米県民を相手に講演をして、一体何が「民意」なのか。
国連本部の事務官にも面会したらしいが、日米安保に関わる問題を持ち込まれても迷惑だろう。
デニー知事が就任一ヶ月余で訪米する理由は与野党問わず疑問が噴出している。
米政府の責任者があってくれるはずはない。
一体誰に会うのか未定のまま訪米しても、米政府では窓口職員レベルぐらいしか会ってくれないだろう。
そして答えは決まっている。
翁長知事の場合と同じく「上司に伝えておく」くらいだ。
米政府関係者以外の人物に面談しても、「安全保障問題は日米両政府の管轄」などと迷惑がられるのが関の山。
ちなみに翁長知事の場合ハワイ州知事から同じ紋切り型の答えを引き出している。
デニー知事の唐突とも思える訪米行脚は、来春に実施予定されている「県民投票」のためのパフォーマンス以外には考えられない。
政治パフォーマンスに県税を使うのはもう勘弁してほしい。
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