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援護法のからくり、田中軍曹の神話2010-02-25の引用を偏した記事です。
☆
(2007年の)「11万人集会」が開かれた2年前、沖縄タイムス、琉球新報には数多くの沖縄戦の証言が、連日のように大見出しとなって躍った。
その中には数多くの「集団自決」の悲惨な証言もあったが、軍が自決を命じたという証言はただの一つも無かった。
沖縄戦に関する証言は、戦後65年を経過した現在でも沖縄のいたる所で聞くことができる。
ただそれを活字にして公表してもよいかと聞くと、証言者達のそれまでの熱弁が急にトーンダウンする。
活字にしたり個人名を公表すると個人に迷惑がかかるからと「今までの話はなかったことにしてくれ」としり込みをする人が多い。
これを地元メディアは「証言者は多くを語ろうとしなかった」と意味ありげな文言で報道する。
その沈黙は一体何を意味するのか。
語ることによって地域社会の親類、縁者に迷惑がかかるからである。
そして沈黙の理由は「援護金」の「不正受給」にからむ場合がほとんどである。
かなり以前のことだが、筆者のごく近しい80代の女性の話も、同じように相手に迷惑がかかるからという理由で、名前は伏して話を聞くことができた。
その女性の知人で戦争で日本軍に協力したとき目に負傷したため失明したと言う理由で「援護金」を受給している人がいた。
だが、実際はその人物は戦前から失明していた。
失明の原因は戦争とは何の関係も無いことはその集落では公然の秘密だと言う。
勿論その事実を具体的に公表してよいかというと、その年金受給者に迷惑が及ぶからと固く口止めされた。
知人の某大学の教授の話によると、終戦直後は地域の有力者が率先して負傷者や死亡者は沖縄戦に関係なく援護金の申請を奨励し、証人の必要な人はその有力者が何処からか集めて準備してくれたと言う。
そのように多くの村人を援護金対象者に仕立て上げた「功績」でその後、地域の有力者は村会議員や市会議員に出世した人物も多いと聞く。
この場合援護金に申請に奔走した有力者と「偽装申請者」は共犯関係にある。
お互いに秘密を共有しあっていたが、後になってその秘密を暴力団に嗅ぎ付けられ強請りたかりのドタバタ劇が各地で展開されたというが、本題から外れるのでここでは省略する。
ことほど左様に「援護法」に関する証言では数多くの証言者はいても、実名を公表できるものは自ずと限られてくる。
そんな中でルポライターの高橋秀美氏が援護法の「偽装申請者」に関する貴重な証言を聞き取りし、証言者の実名を記録したルポルタージュを発刊した。
しかもその証言者は金武町教育委員会町史編纂員といういわばこの種の戦記の証言蒐集には最も相応しい人物だけに実名を公表したうえでのその証言の信憑性は高く、地域住民に与える衝撃は大きい。
以下にその該当部分を抜粋引用する。
《 唯一の地上戦となった沖縄では、多くの住民が犠牲となった。
しかし、この金武町では、その実態がいまだ不明である。
理由は戦後施行された「戦傷病者、戦没者遺族等支援法」。
沖縄に限り一般住民でも、「戦闘協力者」と認定されれば
援護法の適用を受け、給付を受 けることができた。
「もらえるものはもらいなさい、という役所の指導があって病気や空襲で死んだ人たちの遺族も便乗して申請したんです。
申請書類には誰の命令で行動したか、を記入する欄があるんですがなぜかほとんどが"田中軍曹"でして調べてみるとそんな人は実在しないんです。
聞き取り調査をしても、本で読んだ話を自分の体験のように語るし何人かで集まってもらっても、『それ、言っちゃダメ』とかお互いに牽制しあう。結局丸くおさめるには『みんな日本軍にだまされて協力させられた』という話にするしかないわけです」(金武町教育委員会町史編纂室・奥間俊夫氏) 》(『からくり民主主義』(高橋秀美著 146頁~147頁)
なお『からくり民主主義』には、いま最もホットな話題である沖縄の米軍基地に関して、地元メディアを通じては決して知ることのできない県民の本音が面白おかしく聞き取りされており、沖縄タイムスや琉球新報が伝える「島ぐるみで基地撤去を叫ぶ」といった「民意」が真っ赤なウソであることがよくわかる。
奥間俊夫氏の証言で注目すべきは「結局丸くおさめるには『みんな日本軍にだまされて協力させられた』という話にするしかないわけです」というくだりである。
「援護金」を受給するために“田中軍曹”という架空の日本兵をでっち上げた金武町の場合は八方まるく納まった。
だが、渡嘉敷、座間味両村の場合は、架空の”田中軍曹”の代わりに実在の梅澤少佐と赤松大尉を「残虐非道な日本兵」に仕立て上げたことがその後の「集団自決における軍命の有無」という大きな問題を残したのである。
金武町の場合と座間味、渡嘉敷両村の場合を比べると、細かい事情は夫々異なっていても「残虐非道な日本兵」のために住民が犠牲になったという「神話」を住民と役場がでっち上げをし、そのために多くの地域住民が「援護金」の恩恵を受けたという点では共通の問題を抱えていることになる。
それにしても、このように沖縄県民の本音を伝える報道が地元メディアや県出身ジャーナリストでなく、高橋氏のような本土出身者の聞き取り調査の結果である所に沖縄戦の真実を語る難しさがある。
地元出身者が「援護法」における「田中軍曹」のような公然の秘密を活字で暴露したら、地元「有識者」の猛烈なバッシングを受け裏切り者といった罵声を浴びせられ地域に住めなくなることは目に見えている。
「田中軍曹」の秘密が本土ジャーナリストによって暴露された事実は、沖縄の言論界が依然として全体主義に取り込まれ「不都合な真実」は言論封殺するという証左でもある。
そう、「不都合な事実」を暴露して沖縄でバッシングを受けた本土出身有名人では思いつくだけでも、曽野綾子、小林よしのり等の諸氏がいるが、最近では沖縄出身者でも星雅彦氏や上原正稔氏のように果敢に沖縄タイムス、琉球新報のウソを断罪する人達も出てきている。
だがこれらの勇気ある識者達は沖縄の言論界から事実上の村八分状態にされているのが現状である。
その一方で、大江健三郎氏や筑紫哲也氏のようにことさら沖縄に同情心を示し、佐野眞一氏のいう「大文字言葉」で事実を捻じ曲げてまで沖縄に媚を売る有名人達のみが依然として歓迎されている。
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