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沖縄2紙は反権威のようで実は『権威』そのもの

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自分のイデオロギーや政治的主張とは関係なく真実の報道に徹し、社会の木鐸となるのが新聞記者の本分だとしたら、沖縄にも新聞記者らしい記者が登場した。

石垣島の小さな新聞八重山日報の仲新城編集長のことだ。

仲新城氏が一皮剥けて本物の記者に変身したのは、八重山教科書問題で八重山地区が全国の注目を浴びた2011年前後のことだと記憶する。

八重山教科書採択協議会の玉津会長が、従来の沖教組による独裁的教科書採択方式を、法令に基づく採択方式に変更した。

玉津会長の教科書採択の改革に対し、琉球新報と沖縄タイムスの両氏は、玉津氏があたかもルールを無視して独裁的教科書採択を強行したかのように玉津批判の大キャンペーンを張った。

沖縄2大紙の人権侵害とも取れる玉津氏攻撃に対し、現場取材に徹し真実の報道で対抗したのが八重山日報であった。

だがその当時の仲新城氏は真実の報道で沖縄2大紙を間接的に批判することはあっても、琉球新報や沖縄タイムスの紙名を記して直接的に批判することはなかった。

同じ地域の新聞社としての仲間意識から同業者を名指しで批判することはしないという暗黙の了解が仲新城氏にも及んでいたと考えられる。

八重山教科書問題と同じ時期に係争中であったドキュメンタリー作家上原正稔氏が琉球新報を提訴した「パンドラ訴訟」に関し、筆者は八重山日報に沖縄2紙を批判する小論を寄稿した。

文中琉球新報と沖縄タイムスを名指しで批判したが、仲新城氏は琉球新報はR紙、沖縄タイムスはO紙と仮名にするように要求したくらい同業者に対する仲間意識が強かった。

参考⇒ドキュメンタリー作家上原正稔の挑戦2 第6回口頭弁論傍聴記  江崎 孝

 

ところが最近の仲新城氏は沖縄2大紙を実名を挙げて激しく批判の批判の矢を放っている。

その当時とは別人のような見事な変身振りである。

仲新城氏の変身の成果は近著翁長知事と沖縄メディア [ 仲新城誠 ] | カタログショップで遺憾なく発揮されているが、とりあえず下記インタビュー記事で変身の片鱗を味わっていただきたい。

産経新聞 2015.12.19 08:17

【八重山日報・仲新城誠編集長インタビュー】
「沖縄2紙は反権威のようで実は『権威』そのもの」「中国の国営放送そっくり」

 石垣島を拠点とする日刊紙、八重山日報の編集長を務めています。部数は6千部と、琉球新報、沖縄タイムスの沖縄県の2大紙とは比べるべくもありませんが、2紙では報じられない八重山の実情の報道に努めています。

 沖縄では、この2大紙のシェアが圧倒的です。本土であれば産経、読売、朝日、毎日とさまざまな新聞があり、読者にとっては、自分の考えを論理的に裏付け、活字で表現してくれる多様な選択肢がある。しかし、沖縄には2紙が唱える「反米軍基地」「反自衛隊」という一つの論調しか存在しません。

 選択肢が存在しないため、県民はその論調が正しいと信じ込まされている。2大紙は翁長雄志知事とタッグを組み、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する運動の事実上の「核」になっています。反権威のようで、実は「権威」そのものなのです。

 本土でも、2大紙が発信する「県民は基地のない島を望んでいるのに、日米両政府に弾圧されている」という「虚構の沖縄」の姿が流布されているように思います。

先日、東京で武蔵野市議会を取材しました。市議会が9月に辺野古移設に反対する意見書を可決したことに対し、沖縄県民たちから意見書の取り下げを求める請願が提出され、その審査があったのです。

 しかし、請願の採択に反対する市議の意見を聴いていると、「やはり、通り一遍の沖縄への理解しかないのか」と感じずにはいられませんでした。「基地の島で不条理な圧力に苦しんでいる沖縄」という、一種の被害者史観です。中国の脅威にさらされる尖閣諸島(沖縄県石垣市)についても、ほとんど質問がなかったのは残念でした。

 尖閣を抱える石垣、八重山の住民には「自分たちが国防の最前線に立っている」という危機感があります。中国公船の領海侵入が常態化し、漁業者が追跡されたり、威嚇されたりすることも日常茶飯事。八重山日報では毎日、中国公船の動向を1面に掲載しています。

 しかし、2大紙はそうした国境の島の危機感をほとんど報じてくれません。それどころか、漁船が中国公船を挑発していると言わんばかりの記事や、中国が唱える「尖閣棚上げ論」に同調するような社説が掲載されている。中国の国営放送とそっくりです。

翁長知事は9月にジュネーブで開かれた国連人権理事会で演説し、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と訴えました。自己決定権という言葉は、反基地活動家が「沖縄独立」の文脈で使う言葉です。県民の安全に責任を持つ知事であるにもかかわらず、中国に対して尖閣周辺での挑発をやめるよう訴えることもしませんでした。

 そして演説直前に開かれたシンポジウムでは、琉球新報の編集局長がパネリストとして、翁長知事と並んで辺野古移設反対を訴えていました。取材中だった沖縄タイムスの記者もスピーチを始めました。これでは記者なのか、反基地活動家なのか分かりません。

 私自身、以前はそうした2大紙に疑問を感じつつ、積極的に声を上げることはなかった。「そう感じる自分がおかしいのだ」と思い込まされていたのです。

 転機はやはり、尖閣問題でした。現実に遭遇したことで、反基地、反自衛隊を唱える2大紙の主張は何ら処方箋にならないと分かったからです。

 私と同じような疑問を持つ県民は少なからず存在します。文字通りのサイレントマジョリティー(静かな多数派)です。

石垣市もかつては「革新の牙城」と言われてきた土地柄でしたが、この10年で大きく転換しました。保守系市長の誕生が一つの契機となり、柔軟な考えの若手市議が続々と誕生し、状況は雪崩のように変化しました。

 サイレントマジョリティーは確実に存在し、石垣では声を上げ始めている。かつて「革新の闘士」だった人ですら「自衛隊配備も仕方ない」と話すようになりました。一つのきっかけで変わる。沖縄本島でも同じように声が上がり始めれば、状況は劇的に変わる可能性があります。

 まずは、沖縄県民が毎日読まされている新聞の欺(ぎ)瞞(まん)性に気づくことが重要です。私自身も記者なので、記事の裏に込められている情報操作、県民を特定の方向に誘導しようとする意図が分かる。そういう隠された意図に気付いてほしいと思い、自分なりに情報発信に努めているところです。(千葉倫之)

 なかしんじょう・まこと 昭和48年、沖縄県石垣市出身。平成11年、石垣島を拠点とする日刊紙「八重山日報」に入社し、22年から同紙編集長。著書に月刊「正論」での連載をまとめた「翁長知事と沖縄メディア」(産経新聞出版)、「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(同)など。

 

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