2015年3月28日
記者会見で「沖縄防衛局の申し立ては不適法で却下されるべきだ」と述べる翁長雄志知事=27日午後5時45分ごろ、県庁
県は27日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画に関し、翁長雄志知事による沖縄防衛局への海底作業の停止指示に対し、防衛局が出した執行停止申立書への意見書を林芳正農相に提出した。翁長知事は同日夕、県庁で記者会見し、防衛局が農相に提出した知事の指示効力停止を求める申立書に対し「不適法であり、却下されるべきだ」と反論した。農相は県の意見書を踏まえ、30日にも防衛省側の執行停止申立書を認めるかどうか判断する。
県は27日、水産庁に意見書をファクスで送り、原本も送付した。農相は防衛局側の申し立てを認め、知事の指示効力が停止する可能性が高いとみられており、その場合、防衛局は辺野古沖での作業を継続できるが、県側はさらなる対抗策を検討する構え。
農相は27日の記者会見で「意見書の内容も十分検討し、判断する」と述べた。一方、菅義偉官房長官は同日の会見で辺野古の海底ボーリング調査を「粛々と進めていく」と語った。
防衛局が行政不服審査法に基づき、農相に提出した申立書に関し、知事は意見書で「この申立制度は国民に広く行政庁に対する不服申し立ての道を開くことを目的としている。国自体が不服申し立てを行うことが予定されていない」と指摘。「申し立て自体が成立し得ないことから、それを認めて執行停止に至ることは認められない」と強調した。
さらに「仮に申し立て自体が適法だったとしても、明らかに執行停止の要件を欠如するものであるから、速やかに棄却されるべきだ」と主張した。
防衛局が辺野古沿岸部で設置した大型ブロックがサンゴ礁を損傷していることに関しては「(県の許可区域外での)岩礁破砕に該当し得ることが明白だ」と指摘。選挙で辺野古移設反対の民意が示されても、政府が移設に向けた作業を強行する状況に関しては「辺野古移設を『唯一の解決策』とする政府の決め付けは悲しい」と訴えた。
その上で「日米関係が悪化するから県の指示に従わず、作業を続行させていいというのであれば、それは主権を持つ独立国家の行動ではない」と批判した。
☆
防衛局側は、知事が一時停止の期限とした30日まで海上作業を停止する考えはない。
沖縄タイムスの見出しから受ける感想は理論的反論というより「沖縄の痛み 切々と」など、感情に訴える反論との印象を受ける。
知事の意見書を読んだ防衛局の感想を沖縄タイムスから文字お起こしするとこうなる。
≪(翁長知事の)意見書を読んだ防衛省の関係者は「てっきり岩礁破砕許可の取り消しくらいぶち上げてると思った。 拍子抜けだ」と語り、意見書自体を「及び腰」と表現する。 防衛省は、昨年8月の岩礁破砕許可を得る時点で、浮標を伴うアンカー設置は許可の対象外と県から確認を取ったと指摘している。政府関係者の1人は「今回の意見書で県はその点を釈明していないのは負い目を感じている証拠だ」と見透かすように語る。 その上で「県は結局、8トンはよくて、45トンは駄目だという主張の根拠になる法的な基準やガイドラインを何ら示していない」と指摘。 「論理的ではなく感情的な見解だ。 自信がないのか本気でやる気がないのかのどちらかだ」と切り捨てた。≫
>今回の意見書で県はその点を釈明していないのは負い目を感じている証拠だ」と見透かすように語る。
この点は当日記でも県側の「泣き所」と指摘したが、東子さんが例える「駐車違反の表示のない場所に駐車したら、後で此処は駐車違反と言われる」と同じ理屈であり、不服審査請求では、県の指示は無効とする可能性が高い。
>知事は意見書で「この申立制度は国民に広く行政庁に対する不服申し立ての道を開くことを目的としている。国自体が不服申し立てを行うことが予定されていない」と指摘。「申し立て自体が成立し得ないことから、それを認めて執行停止に至ることは認められない」と強調した。
さらに制度そのものにいちゃもんを付けているが、現行法で認められた制度そのものを批判しても始まらないし、同じような事例が八重山教科書問題でもあった筈。
これも東子さんのコメントで対応する。
「辺野古:農相、30日に沖縄県指示の是非判断へ 2015年3月27日」
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=109079
>沖縄県
>沖縄防衛局への作業停止指示の正当性を主張する意見書を林芳正農相に提出した。
>翁長雄志知事
>防衛局が翁長氏の指示の効力を止めるため農相に提出した執行停止申立書は「不適法であり、却下されるべきだ」と主張。
防衛局の不服申し立てに翁長知事は「申立制度は、国民に広く行政庁に対する不服申し立ての道を開くことを目的としている。国自体が不服申し立てを行うことが予定されていない」などと指摘し、執行停止の申し立ては成立しないと訴えた。
八重山教科書問題で、県教委(公的機関)に不服申し立て期間がありましたけど……。
>農相は県の意見書を精査し、30日にも申し立てについて判断する。
>執行停止を決定する可能性が高い。
>知事の指示の効力が停止されれば、防衛局は辺野古沿岸部埋め立てに向けた作業を継続できることになり、県は対抗策を模索する。
「執行停止を決定する可能性が高い」って。
「最大決断」無効のお告げ(涙)
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23日の翁長知事が「作業停止指示」を出したときは、「指示に従わなければ、岩礁破砕の有無にかかわらず許可を取り消す考えを示し「腹を決めた」などと強気の発言だったが、防衛省側の本気度が分かるにつれ、弱気の虫が出てきて、「政府の冷たさ 国民に訴え」などと感情に訴える作戦に変わったようだ。
辺野古作業 停止指示 知事「腹を決めた 沖縄タイムス 2015年3月24日 05:30
翁長知事は県庁内で会見し「漁業調整規則違反の懸念が払拭(ふっしょく)できない」と強調。指示に従わなければ、岩礁破砕の有無にかかわらず許可を取り消す考えを示し「腹を決めている」と語った。
「オール沖縄」の支援を受けて知事になった翁長氏。 支援団体としては、就任三ヶ月経過しても行動を起さない県知事に対し、隠然たる圧力を加えた。
翁長知事としてもそろそろ何らかの行動を迫られた。
そこで本筋の「埋め立て承認停止・撤回」ではなく、サンゴ破砕による「作業停止」などと枝葉の部分でガス抜きを試みた翁長知事が、想定外の国側の本気度に弱腰になった・・・これが「作業停止指示」から本日に至る一連の国と県のやり取りに対する筆者の感想である。
⇒争うべきは、「埋め立て承認」本体の「撤回」の是非
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