基地受け入れに伴う再編交付金に頼らないまちづくりを訴え、受け入れられた。1996年に移設問題が浮上して以来、5度目の市長選。対立軸が鮮明になる初めての選挙で、移設反対派が勝利した。
稲嶺進(いなみね・すすむ) 1945年7月生まれ。名護市三原出身。琉球大卒。72年に名護市役所入り。総務部長、収入役などを歴任。2004年から08年まで市教育長を務めた。10年1月の市長選に初当選。
▽名護市長選開票結果
当 19839稲嶺 進 無現
15684末松 文信 無新
(選管最終)
☆
前回の名護市長選で(島袋vs稲嶺一騎打ち)のとき、民主党ブームという逆風のなかで、約1500票余の僅差による惜敗だった島袋氏に対し、今回4152表の大差がついたことは、残念である。
前回の民主党政権は崩壊したが、最大の争点である「辺野古移設」で二転三転した末松候補に保守系有権者も辟易し、最後は信用できないと見限ったのだろう。
有権者は大義なき候補者に対し「保守無罪」の免罪符を与えなかったわけである。
今朝の沖縄タイムスは「稲嶺氏が大勝」「辺野古移設にノー」など狂喜乱舞の大見出しで埋められているが、こんなベタ記事も。
選対の島袋さん
敗因一切語らず
敗軍の兵を語らずというが、おそらくは胸中、「自分が立候補していたら勝っていた」とでも考えていたのだろう。
昨年の参院選沖縄地区での敗因を学習せず、当初、県外を主張した自民党県連を強引に「辺野古誘致」に方針変更させた。
方針変更の見返り(バーター取引)として「末松支援」の密約を交わした自民党本部(石破幹事長)と沖縄県連(照屋幹事長)の責任は限りなく重い。
菅官房長官が、どちらが勝っても「粛々と辺野古移設を遂行する」と述べた時点で、筆者は名護市長選への興味が半減したのは事実である。
外交・安全保障案件は国の選管事項であるからだ。
仮に稲嶺市長が無駄な抵抗をして工期が遅れることがあっても、その分だけ「普天間の固定化」が続くだけの話。
それに元々「普天間移設」は沖縄側から言い出した話し。
「普天間基地」が固定化しても痛くも痒くもない。
それどころか、移設に伴う経費や空白期間を考えれば、固定化は日米両政府にとっては最近の財政事情から言っても望ましいのではないか。
普天間基地で民間人に被害を及ぼす事故が起きた場合は、「稲嶺名護市長が反対したから」と言い訳することもできるから。
末松候補は最大の争点を二転三転する醜態を演じ、有権者の信を失った。
末松氏大敗の意味は、信なき者は立つべからず、である。
いくら保守の安倍政権下でも、「保守」は免罪符にはならないということを身をもって証明した。
「保守無罪」は通用しない、ということである。
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