2012年12月16日10時06分
【北京・工藤哲】中国メディアの報道や政府高官の発言で、対日強硬姿勢の明示が相次いでいる。楊潔※(よう・けつち)外相は14日付の共産党機関紙「人民日報」で、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る問題で日本と断固争う考えを表明。中国の国連代表部は大陸棚拡張案を国連に提出した。中国機が行った初めての領空侵犯も中国メディアは連日正当だと報じ、領空警備を強化する方針も伝えた。日本の衆院選の結果次第で強まるとの予測がある対中強硬論をけん制する狙いのようだ。(※は竹かんむりに褫のつくり)人民日報が掲載した楊外相の外交方針論文は、悪化した日中関係を「適切に処理する」としつつ「日本政府による釣魚島国有化などの問題では断固闘争を行う」と述べた。
中国外務省は14日、国連代表部が中国沿岸から200カイリ超の海域の大陸棚延伸を国連大陸棚限界委員会に申請したと発表。尖閣諸島東方の海底にある沖縄トラフを「中国の大陸棚延伸の終点」と主張した。申請が認められれば天然資源開発に本腰を入れる可能性が高く日本の強い反発を招くのは必至だ。
また、15日付の北京紙「北京青年報」は、日本の領空を初侵犯した小型機が所属する国家海洋局の担当者が、15年までに航続距離4500キロ以上の固定翼機を増やし、航空パトロール能力を2倍にすると語ったと伝えた。
他の中国紙も、日本をけん制する論評を相次いで掲載。国際情報紙「環球時報」は14日付社説で「日本の自衛隊機が継続して中国海監機の飛行を遮るなら両国軍の戦闘機が対峙(たいじ)する日が必ず訪れることに日本は気づかねばならない」と指摘した。 ☆