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宮城晴美氏の回顧と宮城能彦著「沖縄道」

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慶良間島の集団自決の軍命論争には、数多くのユニークな人物が登場する。 あるものは真実と地域共同体の風圧の板ばさみに、そしてあるものは真実とイデオロギーの狭間で呻吟し嘘の証言をする。

集団自決の体験者として、母初枝氏は真実と援護法の板ばさみで悩み、母の意志を受けついた娘晴美氏はイデオロギーの風圧に負けて証言を翻した。

宮城晴美親娘(おやこ)こそ別の意味で集団自決の最大の被害者なのかもしれない。

次の文は宮城能彦沖縄大学教授著「沖縄道〜沖縄問題の本質を考えるために」の第3章の一部抜粋である。

ただしこの本は、なぜか沖縄の本屋ではほとんど見ることが無い。

5・集団自決と結果責任と人間の悲しさと

〜改めて『母の遺したもの』(初版)を読む

宮城晴美『母の遺したもの』は、軍命は無かったという訴えの根拠の一つとしてあげられ、一方で著者は被告側の証人として「軍命はあった」と証言している。 これはあまりにも悲しい書物である。特に後半は、宮城さんのお母さんが晩年「実は軍命はなかった」と隊長に告白して以降、次第に態度を硬化させた隊長が、軍命問題の最大の責任者は当時の役場職員であるとして反撃していく様子は、悲しすぎて読み進めていくことが辛い。お母さんが「軍命がなかったこと」を胸に秘め続けなければならなかった日々を思って胸が詰まり、同時に極悪人にされて残りの人生を辛く生きてきた隊長のことを思って胸が詰まる。 そして、隊長に反撃されて以降の、お母さんの苦しみ、戦争で苦しんだ人たちが数十年もたった後もさらに苦しみ続けなければならないこと、戦争で生き残った人が行き続けていくという営みの悲しさで涙があふれてしまってなかなか最後まで読み続けることができない。

 

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沖縄道―沖縄問題の本質を考えるために

 

著者宮城能彦沖縄大学教授によると、本文中の第3章5「集団自決と結果責任と人間の悲しさと〜改めて『母の遺したもの』(初版)を読む」は、沖縄の新聞に投稿して「ただの感想文ですよね」と没にされたものだという。

新聞社には編集権という伝家の宝刀があるため、担当記者が「だめ!」と判断したら誰もこれに逆らうことは出来ない。 

宮城教授自身も「ただの感想文」と言われ、「本当だからしかたが無い」と謙遜しているが、筆者の「感想」でいえば集団自決論争の渦に巻き込まれた宮城親娘の心情まで慮った秀逸な「感想文」だと思う。

これを没にするか否かはまさに価値観の問題である。

「ただの感想文」というが、それでは沖縄の新聞には「感想文」は掲載できないという不文律でもあるのか。

「反戦平和」さえ叫んでおれば、感想文であれ何であれ、左翼大学教授の駄文を連日のように読まされるのが沖縄の新聞ではなかったのか。

宮城教授は、著書「沖縄道」を読めば自明だが、右にも左にも属さず比較的中立的立場で意見を述べており、沖縄が自由に自分の意見の言える言論空間になることを望んでいる。

宮城教授がいくら自分は左右どちらのイデオロギーにも組しないと言っても、沖縄で新聞の論調に迎合した主張をしなければ右翼と看做される。 

そのせいなのか著書を出版するほどの宮城教授の文章を沖縄の新聞で見ることはほとんどない。

沖縄の新聞が宮城教授の投稿を没にした理由は「ただの感想文」だからではない。 

文章の主題は宮城親娘の心の葛藤であるが、それを述べるため結果的に、沖縄紙に「集団自決に軍命はなかった」と文中に明示したことがその理由である。「集団自決に軍命はなかった」という文言は沖縄紙に掲載を望むのなら決して明示してはいけないタブーである。

上記引用の短い文のなかにも「軍命はなかった」というタブーが三度も繰り返されているではないか。

繰り返すが新聞社に編集権があるのでこれだけで「言論封殺」と騒ぐことは出来ない。

だが「集団自決に軍命はなかった」と明示した部分を曖昧にした「感想文」を書いていたらきっと没にならずに済んだだろう。 

沖縄の知識人としては大先輩の星雅彦氏はこういっているではないか。

「私は七一年の「潮」に「集団自決を追って」という文章を物語風に書いたけれど、わざとぼかして書いた。ある程度の確信はあったが、あの私の逃げ口上的な表現に対しては、今でも忸怩たるものがある」(「うらそえ文藝」)

                  ★

さて、宮城晴美氏について回顧しようと思ったら、昨日は富村順一氏の回顧に脱線してしまった。

再度宮城晴美氏に言及しようと思うのだが、宮城氏については数え切れないほど書いてきたので当然重複を避けることは出来ない。

「軍命あり派」の証言者には前言を翻した「転向者」が多い。

が、そのなかでも最強の転向者に分類される宮城氏については、最強の「転向者」宮城晴美 【付記】ゴーマニズム宣言に登場!に加筆編集したものを以下に再掲する。

         ☆

■最強の「転向者」宮城晴美■

これまでシリーズで、集団自決に関する多くの「転向者」について書いてきた。   「転向者物語」はこの通り。

「転向者」ー林教授の「強弁物語」!『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』より

続・「転向者」− 二足の草鞋を履く男

続々・出てくる「転向者」達ー大城将保・宮城晴美・宮村幸延

だが、最大の「転向者」ともいえる宮城晴美氏についてはあまり大きなスペースを割いていない。

というのは宮城晴美氏については過去に夥しい数のエントリーをしてあるし、それに彼女は「転向者」の中でも別格の「転向者」だと考えており、彼女については改めて特集でも組むべきと考えていたからである。

「転向者」とは集団自決論争で、当初は「軍命はなかった」と主張していながら、「裁判」を契機に「軍命はあった」と前言を翻した識者たちのことである。

「転向者」の名は、ざっと思いつくだけでも、林博史関東学院大学教授や大城将保氏といった歴史研究者の名が浮かぶが、特徴的なのは、その著書や論文がいずれも係争中の「裁判」の“原告側”証拠として法廷に提出されていることである。

その中でも宮城晴美氏が最強、最大の「転向者」といわれる理由は、晴美氏の実母・初枝氏が娘に託した遺言とも言うべき『母の遺したもの』に書かれた「集団自決の真相」を、法廷証言のわずか一か月前になって、いとも簡単に踏みにじったことにある。

初枝氏は1945年3月25日の夜、梅澤隊長を本部壕にに訪ね、自決用の弾薬を求めて談判した村の指導者の中の唯一人の生存者であった。

生き証人である母の証言を、戦後生まれの娘が「隊長命令はあった」と簡単に翻すわけだから、「転向者」のなかでも「最強の転向者」と称されて当然であろう。

                  ◇

改めて「最強の転向者」として特集を組もうと考えていたその宮城晴美氏が、「集団自決」の論文を書いた。

6月19日から24日に渡り四回連載で、『検証「集団自決」−ジェンダーの視点から』と題する論文を発表したのだ。

 

宮城氏の論文発表には次のような伏線がある。

これまで「集団自決」の沖縄に於ける論調は沖縄タイムスを中心にした「軍命あり論」の横並びに一致団結しているように思われていた。

だが、5月11日発売の『うらそえ文藝』がその一枚板と思われたその論調に大きな風穴を開けた。

早い時期に先駆的な慶良間島の現地聞き取り調査をしていた星雅彦氏とドキュメンタリー作家の上原正稔氏が「隊長命令はなかった」「沖縄タイムスは誤った報道を謝罪すべき」と主張して沖縄紙に真っ向から異論を唱えたのだ。

それから約一か月、黙殺を続ける沖縄メディアに業を煮やした星、上原両氏は沖縄県庁で共同記者会見を開く。

地元紙が依然として黙殺を続ける中、産経新聞と世界日報が両氏の沖縄メディアへの告発ともいえる『うらそえ文藝』の論調を大々的に報じた。

『うらそえ文藝』の挑戦に対して、沖縄ニ紙がこれまで沈黙を守ってきた理由は、社説やコラムでまともに反撃したら勝ち目がないと判断したからに相違ない。

そして宮城晴美氏に「ジェンダーの視点云々」の論文で反論させるという姑息な手法で「世論」の動向を伺った。

それが、今回の宮城氏の奇妙な論文の正体である。

読者には理解し難い「転向者」の中でも、県内では知名度のある宮城晴美氏に、反論(らしきもの)ものを書いてもらい様子を伺ったというのが、今回の長ったらしい論文だといえる。

真面目に争えば争点は、ある事実の有無という極めてシンプルな事実認定の論議だ。

それを「靖国賛美者」とか、「ジェンダーの視点」とか、恣意的意見が入り込む土俵に持ち込んで争点を曖昧にした。

この辺に、琉球新報や宮城晴美氏の焦りが垣間見れる。

ネット上でよく見られる論争(らしきもの)で、左翼がよく使う手法に「○○著の『○○』を読め!それで論破されている」といったカキコをよく見る。

宮城晴美氏の今回の論文に限れば、あえてこれに倣って次の言葉で充分反論できる代物である。

「一々反論するほどのモノではない。自著を読め!それで論破されている」と。

で、その自著とは、第22回沖縄タイムス出版文化賞を受賞し、係争中の裁判証拠物件にもなっている旧版『母の遺したもの』である。

ここで敢えて「旧版」としたのは、沖縄タイムスも絶賛した『母の遺したもの』は、裁判証言の直後「新版」と冠して前言を翻した結論の同名の書を出版しているからである。

今宮城晴美氏にとって、「旧版」は読者の目に触れて欲しくない焚書すべき忌まわしい本であり、

「新版」は母が告白した真実を踏みにじった恥ずべき本として歴史にその名を刻まれる醜悪な本である。

一方、宮城氏の今回の論文は何を意図しているのか。

自著でもって自論が完全に論破されるという世にも不思議な論文を掲載するほど琉球新報も『うらそえ文藝』に衝撃を受け、そして血迷ってしまったのだ。 

自著で自分の論文を論破した噴飯物の論文!!

それで終わってしまってはブログネタにもならないので、

次稿ではお付き合いして、多少は突っ込みを入れてみたい。

続く

関連エントリー:

自著を否定する宮城晴美氏  証言者の葛藤

 

【付記】ゴーマニズム宣言に登場!

読者のコメントで『SAPIO』最新号の小林よしのり「ゴーマニズム宣言」で当日記のことを褒めて書いてあると聞いていたが、先ほど同誌を購入して読んだところである。

記事は「アイヌ論」から、沖縄の全体主義に触れ、小林氏に沖縄で協力した二人の沖縄県人に対するバッシングについて、次のように書いている。

?高里さんは『誇りある沖縄へ』の座談会では、わしを呼んだことで兄弟の縁も切れ、実家の仏壇の前にもいけなくなったとも語っている。

?沖縄大学の宮城能彦教授はわしの『沖縄論』の案内役を努めたために、それまでかかわっていたプロジェクトにいられなくなってしまった。

?「沖縄タイムス」「琉球新報」の二紙が作り出す論調に真っ向から逆らう人間は沖縄では排除される。

だから異論を持つひとは「怖い」と思うのだ。

だが沖縄在住の識者にも、最近この全体主義に戦いを挑む勇気のある人が現れ始めた。

「狼魔人日記」というブログは、まずその筆頭と言える。

?そのブログで知ったが、「うらそえ文藝」という雑誌で、沖縄在住の二人の識者が、ついに集団自決の真実について語り始めたという。

集団自決に「軍命はない」と沖縄の人間が言うのは勇気がいる!

だが全体主義に屈しない沖縄人がいるということは、沖縄に対する敬意と、希望を再認識させてくれて、嬉しい。(『SAPIO』「ゴーマニズム宣言」より引用)

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【沖縄と日本の明日を考える講演会】のご案内

自虐史観を憂うる弁護士の南出喜久治氏を招いて、占領憲法の正体とは何か、

本土復帰40年を迎えた沖縄と日本の法的位置づけ、地位協定の意味などについて講演していただくことになりました。

【日 時】平成24年7月7日(土)午後6時開場

     午後6時30分開演、8時終了       

【会 場】カルチャーリゾート・フェストーネ

     宜野湾市真志喜3−28−1  電話 098 (898) 1212

【演 題】 「占領憲法下における日本と沖縄」

【講 師】  南出 喜久治氏(弁護士)

【会 費】1,000円

【主 催】沖縄総合戦略研究所

【連絡先】担当:にしこり) 電話:090-9780-7272

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琉球新報の言論封殺に戦いを挑んでいる上原さんの訴訟へのカンパ協力は支援団体の三善会へお願いしております。

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