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緊迫深める南シナ ベトナムが実弾演習
2011.6.13 20:23
【シンガポール=青木伸行】ベトナム海軍は13日、中部クアンナム省沖合の南シナ海で、実弾演習を実施した。ベトナムの石油探査活動を、中国側が実力行使により妨害していることへの事実上の対抗措置。中国の新たな海底油田掘削機を設置する動きに抗議しているフィリピンも、28日から米海軍との共同軍事演習を実施する予定で、南シナ海は緊迫の度を深めている。
実弾演習は、クアンナム省ホイアンの沖合約40キロのホンオン島周辺で、午前と夜の2回にわたり実施された。現場は南沙(スプラトリー)諸島から1千キロ、西沙(パラセル)諸島から250キロ離れている。演習の規模や想定などは不明。
これに先立ち、首都ハノイとホーチミン市では12日、それぞれ中国大使館、総領事館前で対中抗議デモが繰り広げられ、市民数百人が「中国の侵略」を非難した。デモは5日に続き2週間連続で、政府容認の「管制デモ」とみられる。
ベトナムの排他的経済水域(EEZ)内では、中国船が先月26日、ベトナム国営石油ガス公社の探査船の調査ケーブルを切断し、今月9日にもケーブルに突っ込むなど、目に余る妨害活動を続けている。
ベトナムはここにきて、厳しい対中批判を展開するばかりか、実弾演習にも踏み切り対決姿勢を強めている。これは、現場が自国のEEZ内であり、しかも漁船ではなく、政府保有の探査船が、活動中に妨害されたという事態の性質によるところが、極めて大きいとみられる。
両国には古代から、中国の侵攻と支配、それに対する抵抗が繰り返されてきた歴史がある。中国は、インドシナ戦争(第一次)でホー・チミンのベトナム民主共和国を、ベトナム戦争では北ベトナムを支援したものの、カンボジア紛争ではポル・ポト政権の後ろ盾となり、中越戦争(1979年)で一戦をまみえた。
また、西沙諸島では74年、中国軍が南ベトナム軍の艦船1隻を撃沈し、88年には南沙諸島で軍事衝突が起こっている。両国は1400キロにおよぶ陸上と、トンキン湾の国境線引きでは2000年に合意しており、南沙、西沙両諸島の領有権問題が、伝統的な安全保障問題として残された格好だ。
中国と領有権を争う東南アジア諸国連合(ASEAN)の関係国には、国際法を無視した中国の強引な行動への怒りが高まっており、対抗姿勢を強めていくものとみられる。
☆
南シナ海で中国が引き起こしている狼藉行為は、資源問題といい、領海問題といい東シナ海でわが国が直面している問題であり、あすはわが身の喫緊のもんだいである。
ベトナムでは2週続いた異例の抗議デモに続いて、南シナ海における中国への対抗措置としてついに実弾演習に踏み切った。
同じく中国の狼藉に悩むフィリピンでは、米軍との共同訓練を実施し中国軍に対抗すると言う。 「米軍基地反対」で追い出していながら何を今更というむきもあるが、背に腹は変えられないというのが現在のフィリピンの心境なのだろう。
さて、ベトナムの実弾演習やフィリピンの米軍との共同演習に対し、中国が何らかの対抗策で更なる圧力を加えてくることは、充分考えられるが、だからといっていきなり全面戦争に突入するとは考えにくい。
中国はかつて自分が支援するカンボジアのポル・ポト政権を巡ってベトナムに「制裁をする」と言う名目で戦争を仕掛けたが、アメリカ軍を相手に実戦慣れしたベトナム軍に簡単に蹴散らされ、「人民解放軍は張子のトラである」という事実を世界に晒し大恥をかいた経緯があるからだ。
中国は大軍を誇示し、それで恫喝することで自国に有利な条件を引き出すことを外交の一環と考えており、よっぽどのことがなければ全面戦争は避けるだろうが、ベトナムへの対抗上実弾演習くらいやらなければ軍事大国としての面子は地に落ちるだろう。
一方、わが沖縄が位置する東シナ海の現状はどうなっているのか。
尖閣諸島の領有を主張する中国が、合計11隻の軍艦を連ねて宮古海峡を2年連続で横断して入るというのに、沖縄タイムスは一度も自分のペンで中国への抗議の記事を書いていない。
それどころか、今朝の紙面を大見出しで飾っているのは「米軍基地出て行け」の記事が満載で、南シナ海や東シナ海の緊張はまるで別世界のような能天気振りである。
沖縄マスコミに限らず、日本のマスコミ全体が、「中国は平和勢力」という「戦後民主主義」のトラウマをできない現状で、当日記のように沖縄2紙のみを攻撃するのは酷なのか、と時々考えたりもする。
いや、「中国は平和勢力」 という「戦後民主主義」のトラウマは日本のマスコミだけではなくい。
日本の政治家や官僚機構そのものにも、深くその影を落としている
つぎの産経記事が参考になる。
沖縄近海に中国空母の「影」 防戦・日本に政治主導の「陰」
2011.6.12 07:00
昨年7月、沖縄本島と宮古島の間を、太平洋側に向けて航行していた中国海軍のミサイル駆逐艦(上)とフリゲート艦(防衛省提供)
中国海軍が東シナ海で動き始めた。8、9両日、計11隻の海軍艦艇が次々に沖縄本島と宮古島の間を通過していった問題だ。
艦艇は3グループに分かれて航行した。第1グループは潜水艦救難艦や補給艦など3隻。第2グループはミサイル駆逐艦やフリゲート艦など5隻。第3グループはフリゲート艦3隻。
いずれも沖縄本島南端と宮古島の中間地点の公海上を南東に抜け、太平洋に向かった。潜水艦救難艦が含まれているため、潜水艦も周辺で息をひそめているのだろう。
日本政府が艦艇の動向を公表すると、間髪入れず中国国防省は6月中下旬に西太平洋で演習を行う予定であると明らかにした。「年度計画内の演習」と強調し、遠洋訓練の常態化をアピールすることも忘れなかった。
プレゼンスを誇示
一方、長期的にみると中国側の別の狙いも浮かび上がる。ある日本政府高官は指摘する。
(1)台湾海峡有事や尖閣諸島(沖縄県)・先島諸島侵攻での米軍の介入阻止に向け、太平洋でのプレゼンスを誇示する(2)プレゼンス誇示の究極的目標ともいえる空母完成を見据え、米軍を待ち受ける際に空母のエスコート役となる艦艇に海域を習熟させておく−。
沖縄近海に中国軍の空母の「影」が、ひたひたと忍び寄っているわけだ。
艦艇の太平洋展開と歩調を合わせるように中国系香港紙「商報」は7日、中国軍の陳炳徳総参謀長が「空母を建造中」と述べたと報じた。軍の最高幹部クラスが空母建造を対外的に認めるのは初めてだという。
艦艇の行動と高官の発言は周到に計画され、すべて一本の糸で結ばれているかのようだ。
これに対し日本側の対応はどうだったか。
むろん自衛隊のオペレーションにぬかりはない。海上自衛隊の護衛艦とP3C哨戒機がマークし、警戒監視を続けている。P3Cは中国海軍の艦艇を写真におさめ、護衛艦から撮影した動画もある。
日本政府は右往左往
問題はそこから先だ。艦艇の動向を国民に公表するという単純極まりないオペレーションで、政府は右往左往した。
防衛省は第2グループの艦艇が沖縄近海を通過した1時間後の8日午後1時ごろ、事実関係を公表する手はずを整えていた。だが、報道各社にペーパーが配られたのは午後5時ごろになってからだ。
防衛省→外務省→首相官邸。ペーパーはそのルートをたどり、4時間かけて回覧され、民主党政権の検閲を受けていた。動画の公表にいたっては、それから丸1日たった9日午後5時半だった。政治主導により、中国を刺激しないよう賢明な判断を働かせていたのだろう。
現段階ではどこで時間を浪費したのか定かでない。ただ、昨年9月の中国漁船衝突事件で中国側に翻弄され、胡錦濤国家主席を前におどおどとメモを読んだ菅直人首相と彼の意をくむ官邸スタッフは、判断をためらった疑いがある。
外務省の“前科”
外務省も疑ってかかるべきだ。中国への過剰配慮の“前科”があるからだ。
平成20年7月、中国は東シナ海のガス田「樫(中国名・天外天)」で新たに掘削を行っていたことが判明した。日中両政府は同年6月、ガス田問題の協議で樫については共同開発の合意に至らず、継続協議の対象にした矢先だった。
現状維持すべきところを掘削したことは、中国側の明確な合意違反で、その不当な行為を確認したのは海自のP3Cだった。
当時、中国側は樫をはじめガス田周辺でのP3Cの飛行をやめるよう日本側に激しく抗議してきていた。「なぜ軍の航空機を飛ばし敵対的な行動をとるのか」という論理を振りかざした。
P3Cの飛行は正当な警戒監視活動であり、中国側の言い分に理はない。このため、防衛省も資源エネルギー庁も監視の強化を検討していた。
しかし、外務省だけは違った。「P3Cの飛行を控えるべきだ」。外務省は防衛省にそう迫ってきたというのだ。「こともあろうに中国の意をくむとは…」。当時の防衛省幹部は絶句したものだ。
中国が東日本大震災発生に配慮し抑制気味だった日本への「示威行動」を活発化させたことは明白だ。対峙する日本は民主党政権のもと、中国に対し過剰に配慮する姿勢が強まった。まかり間違っても、中国軍ににらみを利かせる自衛隊の運用に暗い影を落とさないことを願うばかりだ。
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