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巨大津浪の教訓!「辺野古移設は不可」

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普天間「嘉手納統合を」 レビン委員長ら提案

2011年5月13日      

米議会で、普天間飛行場を統合する案が持ち上がっている米空軍嘉手納基地=2009年3月27日
 米上院軍事委員会のカール・レビン委員長(民主党)と共和党のジョン・マケイン筆頭委員らは11日(米現地時間)、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を「実行不可能」とし、米空軍嘉手納基地への統合を中心とする新たな移設案の検討を国防総省に求めたとする声明を発表した。今月6日(同)、ゲーツ国防長官らに提案した。予算決定権限を持つ米議会の重鎮が党派を超えて反対姿勢を明確にしたことで、辺野古移設は極めて困難になった。新たな嘉手納統合案に周辺市町村長や県民から強い反発が上がっている。
 声明は普天間飛行場を辺野古に移設する現行計画について、2006年の合意時から総費用が膨張し、政治状況も変化したことを挙げ「非現実的で、実行不可能で、費用負担もできない」と指摘。東日本大震災を受けた日本の厳しい財政状況にも配慮する必要があるとしている。
 知日派で声明に名を連ねた同委のジム・ウェッブ委員(民主党)は11日の記者会見などで「資金をつぎ込んで新たな代替施設を造るより、普天間飛行場に所属する海兵隊の嘉手納基地移転について、実現可能性を検証すべきだ」と表明、沖縄の負担軽減に努める必要性も強調した。レビン委員長らが先週、ゲーツ長官に送った書簡では、嘉手納弾薬庫について「グアムに既にある二つの弾薬庫(8千エーカー=32・37平方キロ)を考慮すれば、嘉手納基地の約6千エーカーの弾薬庫は潜在的に規模の縮小が可能である」としている。
 今回の声明に関し米国防総省の報道担当者は「(現在の)日米合意が沖縄県民や日本、日米同盟にとって望ましいものだ」と述べた。北沢俊美防衛相は12日、「重く受け止めるが(レビン氏は)米政府の代表ではない」と述べ、現行案の履行に影響はないとの考えを示した。

             ☆

 5月15日の祖国復帰の日、「沖縄県祖国復帰三十九年記念大会」と平行して行われた労働団体主催の「県民大会」は祖国復帰を祝賀する国旗の代わりに赤旗に赤鉢巻のプロ市民が怒りのシュプレヒコールを繰り返せたと書いたが、プラカードで目立ったのは「辺野古移設反対」の文字だった。

だが、実は「辺野古移設」に対する怒りの拳に肩透かしを食らわすようなビッグニュースが2日前の沖縄2紙を飾っていた。

米有力議員や元政府高官が立て続けに来沖し「辺野古移設は不可能」と発言し、嘉手納統合案を再び持ち出してきたのである。 あれほど日米合意に拘って、「辺野古移設」を主張していたいた米国側の突然の豹変はどうしたのだ。

一体米国側何が起きたのか。

米国側は色々理屈をこねているが、豹変の謎を解く鍵は「東日本大震災とトモダチ作戦」にある。

■東日本大震災の教訓は「普天間は沖縄一安全な基地」

米軍が「トモダチ作戦」として空前の大部隊を被災地救援に動員したのは勿論一義的には日米同盟の友情を示すためであったが、彼らはただ被災地を訪れて肉体労働をしたがけではなかった。彼らの綿密な調査の目は、巨大地震や大津波が内陸部の堅固な建物を木っ端微塵に打ち砕いた状況を決して見逃さず、「敵軍の来襲」という視点で検証していた。 沖縄戦当時の彼らの記録を見れば彼らは戦闘をするだけではなく膨大な戦闘の記録を残し、それを後の実践に応用するため些細なことでも記録に残している。

そこで想いだすのが福島原発の現地調査をした青山繁晴さんの次の言葉である。

「津浪の本当の恐ろしさは津浪の高さではなく、核兵器攻撃でも及ばないほどの強力な津浪の持つ破壊エネルギーである」。

つまり津波はじわじわと水量が増え町を水浸しにするのが怖いのではなく、水の塊が直撃砲弾のような破壊エネルギーでもって強固な建造物を破壊してしまうのが恐ろしいのである。

映像では原発の防波堤になっていた海側の堅固な建物が破壊され瓦礫の山にっているところを映し出していた。

被災した東北各地に真っ先に駆けつけた米軍兵士の目に映ったものは、攻撃兵器としての巨大津浪の恐るべき破壊エネルギーだったに違いない。

敵軍の攻撃は先制攻撃なり迎撃ミサイルで対処できても、巨大津浪の攻撃を防ぎようがないのである。

報告を受けた米軍首脳ははとっさに「辺野古移設」のことを考え、プロ市民に感謝したことだろう。 よくぞこれまでテント村まで作って反対してくれたと。  

キャンプシュワブは海岸に隣接しており、辺野古移設は海岸の一部を埋め立てて飛行場を作るのであるから、巨大津浪の破壊エネルギーを避けることはできない。

沖縄戦では鉄の暴風と言われるほどの物量で日本軍を圧倒し全島を制覇した米軍は、沖縄統治のためコンセットというかまぼこ型の兵舎を次々建設した。 だが、その年の夏沖縄を襲ったグロリア台風の直撃で兵舎は木っ端微塵に破壊され、日本軍の攻撃にも勝る自然の猛威の前には、さすがの米軍もなすすべを知らなかった。

そして、こんな恐ろしい台風が頻繁に直撃する「台風銀座の沖縄」を撤退すべきと弱音を吐く者もいたくらいである。

辺野古が津浪危険地帯なら、まだ内陸部にある)嘉手納基地に統合するほうが津浪の攻撃に対してはベターだと言うのだろう。 だが、これにも当然猛反対が予測され、米軍側が本気で嘉手納案を持ち出したわけではない。

米側が巨大津浪に破壊された東北各地の「現地取材」で獲た結論は、「沖縄で最も安全な飛行場は普天間飛行場である」という事実確認であった。

普天間飛行場は那覇空港のように海岸を埋め立てて造成した地震や津波に脆弱な飛行場ではない。

海抜75mの岩盤でできた丘を削り取って作った飛行場であるから、地震は勿論巨大津波の攻撃にも充分対応できる。

「辺野古反対」が、これまで再三反対されてきた「嘉手納統合案」を蒸し返し、新たな県民の反対運動を呼び起こしている。

普天間の嘉手納統合に抗議 嘉手納町議会沖縄タイムス2011年5月18日

だが、米側にとって嘉手納町民の反対運動は想定内のことである。

「辺野古反対!」そして「嘉手納反対!」

かくして「普天間移設」はめでたく、当初の「沖縄一安全な普天間基地」に固定化することになるのである。

今度の東日本大震災で考えたことは、もし沖縄に同程度の大震災がおきたら、那覇空港や那覇新港などの埋め立てて造成した空港・港湾は真っ先に巨大津浪の破壊エネルギーで木っ端微塵になるだろう。

だとしたらたちまち陸の孤島どころか本物の孤島となった沖縄で物資の輸送を期待できるのは飛行場は、防災に強い普天間飛行場しか考えられないことになる。

そして普天間基地を兵站基地にしてヘリで各離島へ食料等を運ぶこともできる。

安全保障とは敵国の来襲に備えることだけではない。

敵の攻撃にも勝る大自然の猛威にも備えることである。

これは、東日本大震災が我々に与えた大きな教訓である。

 

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