「県民投票、進むべきか中止すべきか」の二択。
行く先は、いずれも地獄が待っている。
有力自治体が次々と県民投票の不参加を表明し、このまま実施したら有権者の約32%、実に約46万人もの県民が県民投票に不参加という事態に陥る。 この有様では県民投票で民意を問う、という意義は空中分解してしまう。 このまま実施したら、県議与党から批判の声も上がる、と沖縄タイムスはすでに、デニー知事の支持母体であるオール沖縄の分裂を予測するくらいだ。(13日付社説) デニー知事は、対抗策としては不参加自治体への是正勧告を実施、これに従わない自治体には「是正要求」と脅しにかかっている。 だが各保守系首長は、「是正要求」を拒否しても罰則規定がないため、なんの痛痒も感じていない。 不参加を表明した桑江沖縄市長は「是正勧告を受けたが、是正要求を受けても考えは変わらない」,と余裕の態度である。 デニー知事や県側が地方自治法を捻じ曲げて解釈し、議会で予算案の再議で否決されても首長判断で予算執行できるという意味を、「予算執行しなければ違法である」などと脅している。 だが、保守系首長間の勉強会で「予算執行できる」とは「可能」の意味の「can」であり、「義務」の意味の「 must」ではないことをすでに学習済みのようである。 きのうの沖縄タイムスが一面トップでスクープした通り、地方自治法と県議会条例に関しては国会議員で弁護士の宮崎政久氏が後押ししている。 ⇒保守系の「勉強会」が予算否決を後押し 県民投票 地方議員、統一見解求める1月13日 14:33沖縄タイム
保守系首長が地方自治法や当面の課題の県民投票条例の勉強会をすることは、県民市民にとって喜ばしいはずなのだが、沖タイにとっては県側の歪曲解釈が露見するので腹立たしいらしい。「県民投票つぶしだ」などと臆面もなく怒りの報道をしている。 ⇒や「県民投票つぶしだ」保守系資料に憤る市民 「都合の悪い投票権は奪うのか」 1月13日 18:00沖縄タイムス
今日の沖タイの関連見出しはこうだ。
◆一面中段 普天間固定化挙げ反対 県民投票 宮崎議員資料に
◆二面トップ
迫る期限 打つ手は
告示まで1ヵ月 今後のシミュレーション
強制できず首長が判断
市の協力不可欠
課題山積
「自主投票」結果は参考値
結局、国民投票条例を改正して「二択」を「四択」に増やしたり、実施日の延期を考えても4月の衆院補欠選や7月の参院選を考えると日程的に困難だし、条例改正で県が自治体に代わって投開票事務を行うにしても、自治体側が個人情報秘匿を理由に選挙人名簿の提出を拒めば実施は不可能である。 八方塞がりのデニー知事だが、12日付沖縄タイムス一面トップの大見出しは「5市不参加でも投開票」「知事、条例改正を困難視」と、県民投票実施へ猪突猛進の勢いだ。 だがデニー知事の心境は「全県実施」のための手段はすべて塞がれ、残された手段は皮肉にも「二択」しかない。 一択は、38万人余の県民が不参加の県民投票を中止すること。 そして二択は、虫食いだらけの県民投票に猪突猛進し自爆して果てること。 今更中止では、与野党から批判の大合唱が起き、デニー知事の政治生命が尽きたことを意味する。 おそらくは、県民投票の体をなさない虫食い状態の実施に向かって突進し、今度は「無駄な県費の浪費」として県民による住民訴訟が提訴され、県庁は蜂の巣を突いた状態に陥るだろう。 この場合も、デニー知事と知事をそそのかした謝花副知事の政治生命は終わったことになる。 【おまけ】 自民国会議員、県民投票反対を「指南」 市町村議に資料「予算否決に全力を」 琉球新報 2019年1月14日 05:00 宮崎政久衆院議員(自民)が保守系議員を対象にした勉強会で配布した資料のコピー
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票を巡り、弁護士資格を持つ宮崎政久衆院議員(自民)が先月、市町村議会で投票事務予算を採決する前に、市町村議員を対象にした勉強会を開き「議員が損害賠償などの法的な責任を負うことはない」などと記した資料を配布して予算案の否決を呼び掛けていたことが分かった。宮崎氏の主張が市町村議会での否決に影響を与えた可能性がある。本紙が入手した資料には「県民投票の不適切さを訴えて、予算案を否決することに全力を尽くすべきである」と明記されている。
予算案が否決された場合の対応についても「議会で否決された事実を前に、これに反して市町村長が予算案を執行することは議会軽視であり、不適切である」などと断定している。
宮崎氏は本紙の取材に対し「議員が時々の政治課題について勉強会などを通じて意見交換し、互いに知見を持つことは大切だ」とコメントし、党本部の指示はないとした。
本紙が入手したのは、宮崎氏の名前が入った先月5日付の「県民投票条例への対応について」と題した資料など2点。条例の対応についてでは、1枚目には県民投票の問題点として「普天間飛行場の危険性除去について何ら配慮、検討がされてない」「固定化リスクが高まるばかり」「県民の意思は賛否二択に集約できない」「客観的かつ中立的な情報提供が実現できない」など6点を挙げている。
2枚目では「市町村議会において問題提起を行うタイミング」として「1 県民投票に反対する意見書の採択」「2 投票事務に必要な予算案を否決する」ことを提案している。実際に市町村議員が議会での予算案を巡る反対討論や反対の意見書で指摘した内容は、宮崎氏の主張と一致している。現在、投票事務を拒否している市長らの見解とも重なっている。
別の資料は「県民投票条例への対応に関する地方自治法の解釈」と題する。その中では「議会運営の方法論としては、採決するまでに議論が熟さず、当該予算を審議未了で継続もしくは廃案にするということも考えられないか」などと提起している。
県民投票「全県実施で真の民意を」 署名活動の若者ら訴え 琉球新報 2019年1月13日 06:00 「みんなで沖縄の未来について話そうよ」と呼び掛ける與那覇沙姫さん(右)と普久原朝日さん=11日、那覇市泉崎
名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う2月24日の県民投票を巡り、宮古島、宜野湾、沖縄、石垣の4市の首長が不参加を表明するなど全市町村での実施が困難な状況になる中、実現に向け署名活動に奔走してきた若者たちは有権者を置き去りにしたまま投票日を迎えることに危機感を募らせている。11日、「辺野古」県民投票の会と共に活動してきた普久原朝日さん(24)ら若者の有志は急きょ、全市町村で実施するよう求める要請文を玉城デニー知事らに手渡した。若者たちは強く訴える。「全市町村で等しく公平に実施されてこそ意義がある」
「連日報道されている県と反対自治体の攻防は、私たちの意図や本質から少しズレている」。普久原さんはこう感じてきた。10日夜、署名活動に取り組んできた仲間らとの飲み会では、話題が県民投票に集中し、抱えていたもどかしさが爆発した。2月24日の期日にこだわらず、全有権者が参加し、真の民意を問う場にしてほしい―。自分たちの声を届けようと、要請文をまとめた。「LINE(ライン)」で情報を拡散し若者グループに呼び掛けると、真夜中にもかかわらず60人以上から賛同の返信が届いた。賛同者の思いを預かり普久原さんは玉城知事と県議会の各会派に要請文を手渡した。
県民投票を求める署名は、辺野古埋め立てへの賛否を超えて9万筆以上が集まった。普久原さんは「沖縄の未来を自分たちで築き上げたいという思いは、県民の共通認識ではないだろうか」と投げ掛ける。実施に難色を示す自治体に「市民の思いを受け止め、原点に立ち戻って考えてほしい」と訴える。県に対しても「一人一人の参政権を大事にして。2・24ありきではなく最善策を模索し続けてほしい」と理解を求めた。與那覇沙姫さん(34)も「県民投票は自分たちの未来を決めるスタートライン。県民投票を成功させ、誰もが自由に意思表示し、対話できる沖縄をつくりたい」と強調する。沖縄の将来は県民全体で決めたいと、若者たちは行動をすることを諦めない。
(当銘千絵)
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