玉城デニー知事は、筋書きのきまったドラマ「撤回物語り」を熱演中である。
「翁長前知事の後継者」を辞任するデニー知事は、四年前に翁長氏が演じて大失敗したドラマ「取り消し物語」をタイトルと主演者を夫々「取り消し⇒撤回」、「翁長⇒デニー」に変更しただけで、シナリオは全く同じという手抜き芝居だ。
翁長氏主演の旧作「取り消し物語」は、概略次のように進行していく。
取り消し⇒防衛局、国交省審査請求⇒国交省、撤回執行停止⇒県、国県係争委⇒却下⇒県、提訴⇒最高裁、県敗訴確定⇒県、「取り消し」を取り消し
つまり「取り消し物語」の結末は、最高裁の敗訴確定で、「取り消し」を主演者自ら取り消すという自爆で終わる。
デニー知事も、最高裁敗訴まで縺れ込み、「撤回」を自ら撤回して終わるのが筋書きだ。
デニー知事は翁長氏が演じた旧作をシナリオ通り忠実に演じているが、幕間に「米国旅行」とい息抜きまで忠実に演じる魂胆らしい。 翁長前知事の遺志を後継するのが公約なので、県費でアメリカ旅行をしてカチャーシーを踊って帰っても公約違反にはならないのだろう。
翁長氏の演じたシナリオによると、米国訪問は大失敗だったが、これを報じる沖縄タイムスと八重山日報の報道の肯定的か否定的か、ニュアンスの違いを読み取っていただきたい。
夫々、両紙の一面トップの記事。
沖縄タイムス+プラス ニュース 玉城デニー知事、11日から訪米 辺野古反対を発信へ 2018年11月6日 05:00
玉城デニー知事は5日、名護市辺野古の新基地建設に反対する考えを米政府や米議会の関係者などに直接伝えるため、11日から訪米すると発表した。ニューヨーク大での一般人向けの講演やワシントンでの政府、議会関係者との面談を調整している。帰国は16日の予定。
翁長雄志前知事の初訪米は就任から約6カ月後で、玉城知事の訪米は就任約1カ月と異例の早さ。
玉城知事は5日、県庁で記者団に「講演では沖縄の現状や私の考える民主主義のあり方を伝え、米国民に『私たちの問題と共通点がある』と理解してもらいたい」と意義を語った。
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訪米も打開策見えず 玉城知事「内憂外患」 八重山日報 2018/11/6米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で、玉城デニー知事が11日から訪米して反対を訴える意向を表明した。6日には菅義偉官房長官との面会も予定されており、日米両政府への直接的な働き掛けを強める。ただ、こうした反対行動は翁長雄志前知事の時代から何度も繰り返されており、玉城氏独自の戦略や打開策は見られない。知事が辺野古反対の公約に邁(まい)進していることをアピールするためのセレモニーと化しているのが内実と見られる。
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八重山日報は沖縄2紙には見られない秀逸なコラムで、読者の要望を満たしているが、特に下記コラムの最後の文言をジャーナリストとして胆に命じてほしい。
>メディアを牽制できるのは別のメディアしかいない。
八重山日報 2018/11/6
サウジアラビアの記者ジャマル・カショギ氏が同国当局者に殺害されたと見られる事件は凄惨だ。記者は拷問を受けた上、切断された遺体は酸で溶かされたとの報道もある。独裁国家がジャーナリストに向ける憎悪を改めて浮き彫りにした◆民主主義と健全なジャーナリズムは切り離せない。世界のジャーナリストは死の危険を冒して独裁国家と戦う。中国や北朝鮮のような国では、そもそもジャーナリストが存在し得ない◆私たちがふだん、空気や水のように享受している日々の報道は、長い積み重ねの末に人類がようやく獲得した権利であり、世界でも、まだまだ貴重だ◆しかし成熟した民主主義国家では、逆にメディアが国民から批判の対象となることもある。2016年の米大統領選では、トランプ氏が自己に不利な報道を「フェイク(偽)ニュース」と指摘した。日本でも「トランプ叩き」報道が流行のようになっている光景を見ると、政権批判を名目にメディアが暴走しているのではないかと思わざるを得ない◆メディアに権力を牽(けん)制する役割が求められているのは当然だが、メディアを牽制できるのは別のメディアしかいない。複数の異なる言論の存在は民主主義を豊かにするだけでなく、不可欠でもある。