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普天間移設の「アメとムチ」

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 ブログセンターランキングへクリックで応援願 普天間問題は一にもわが国の国防・安全保障上の問題であり、これを「ゴミ処理場」などと同じ視点で論じる愚をこれまでも再三述べてきた。 だが当事者の地域住民が迷惑を被るという点では、「ゴミ処理場」も「米軍基地」も同じである。 だとしたら被った迷惑を何らかの形で補償するのは政府の責務である。 補償としてカネの問題が出てくるのは自然の成り行きである。 ここで「アメとムチ」の問題が出てくる。 沖縄タイムスは普天間基地に関する「アメとムチ」を卑劣な手段だと批判するが、それを与えないと聞くと、今度は与えないのが卑劣だと騒ぎ出す。 それに、その昔「ムチ」の話があった米軍統治時代はともかく、現在は専ら「アメ」だけの話である。 読者のとおるさんが面白いたとえをしておられる。 沖縄左翼タイムズによると、次のようになるのでしょうね。
・アルコール依存症の人には、ムチ(禁酒)よりも、アメ(アルコール)を与えよう!
・薬物依存症の人には、ムチ(薬物禁止)よりも、アメ(薬物)を与えよう!
・麻薬依存症の人には、ムチ(麻薬禁止)よりも、アメ(麻薬)を与えよう! 同じく読者の石原昌光さんは「アメとムチは思考停止をもたらす」とコメントされているが、「アメとムチ」が県民に弊害をもたらすという点では、筆者も同意見であり、異論とは認識しない。 だが、政府が「アメとムチ」の代わりに、県民に国防を自覚させ、愛国心を育てるよう説得することが先決だという主張には総論としては同意しても、国防音痴の民主党政権では荷が勝ち過ぎ、日暮れて道遠しの感がする。 石原さんの「国防・愛国者論」についてはここでは深入りせず、次稿で詳述したい。   さて、沖縄タイムスの間違いは、「北部振興交付金」と「再編交付金」を意識的?に混同し今回の再編交付金に「アメとムチ」という因縁をつけていることだ。 北部振興交付金とは、1999年12月、沖縄には思い入れの深かった小渕恵三元首相の肝いりの閣議決定で、翌年から2009年までの10年間、「普天間移設先及び周辺地域の振興」「沖縄県北部地域の振興」として組まれた「特別な予算措置」のことである。 ところが周知の通り普天間移設は実現しないままに北部振興交付金は毎年約100億円が支払われこれまでこれまでおよそ800億円近くの税金が名護市には投入されている。 そして本土側からはこのような意見も出始めた。 「政府は沖縄に悪い癖を付けてしまったね。 何も進まなくてもカネをやるという、悪い癖をつけてしまったんだよ」。(諸井虔・太平洋セメント相談役−守屋武昌著『「普天間」交渉秘録)』) その一方で沖縄側マスコミからはこの北部振興交付金をさして「アメとムチ」だという批判が起きてきた。 そもそも普天間移設の火付け役である橋本元首相は、北部振興策をどのように考えていたのか。 普天間移設に一貫して関わってきた守屋武昌元防衛事務次官が最近書いた『「普天間」交渉秘録』には、北部振興策と「アメとムチ」に関して次の様な記述がある。 「普天間移設を受け入れてもらうのだから、地元の要望である北部振興策を、国が特別に財源を用意して実施するのだ」というのが橋本内閣の考えであった。 この考えは沖縄では、沖縄県民に普天間飛行場の代替施設の受け入れを強制というムチを打ちながら、地元を黙らせる北部振興策というアメをあたえるもので、政府の方針は「アメとムチ」だとの批判が浴びせられた。(略) 沖縄では、基地問題と振興策がセットになっているという政府の方針に、反発する声があがっていた。 基地建設による沖縄の自然だけでなく、沖縄の心を失ってはいけないいう「ヌチドゥ宝(命こそ宝)」の格言とともに、政府の二つの施策はまったく関係ないもんであることを確認したいと、沖縄県や市町村に求めてきたのである。それを受けて「その二つは関係ない」というのが、小渕総理のときに定められた閣議決定だった。(守屋武昌『「普天間」交渉秘録』新潮社) このように沖縄側からは「アメとムチ」で沖縄の心を分断すると批判が出るが、その一方で本土側からは普天間移設は14年も停滞したまま北部振興費は垂れ流しだという批判の板ばさみにたった。  政府側が、恣意的的判断(リンクしない)を除外した交付金が、2007年の再編交付金の実施である。 つまり北部振興費の交付に政府側の「沖縄への特別配慮」といった恣意的判断が入り込む余地を除いたのが、再編交付金である。(リンクする) 米軍再編交付金制度(べいぐんさいへんこうふきんせいど) 政治-2007年11月25日
2007年5月の国会で成立した「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」に盛られた自治体への交付金制度。同法は06年5月に日米両政府で合意した在日米軍再編計画の着実な実施を後押しするための法律で、17年3月末までの10年間の時限立法である。アメリカは在日米軍の再編を実施することを発表しており、そのために政府は「抑止力を維持しながら、基地が集中する沖縄県の負担を軽減させる」と説明し、沖縄県の基地に対する負担を軽くするために、米軍基地を受け入れてくれる地方自治体を探すことにしている。そこで新しい訓練や施設建設を受け入れた地方自治体に対して段階的に交付金を出す新制度をこの法律で創設した。初年度となる07年度には51億円を計上している。最終的には総額1000億円規模になる見込みである。新しく再編の米軍基地を受け入れ、協力することを表明した地方自治体に交付されることになっており、(1)受け入れ表明、(2)環境影響評価に着手、(3)施設整備に着手、(4)再編の実施、と受け入れの進み具合に応じて金額が増える仕組みとなっている。
  再編交付金は、法に従って粛々と交付する、というきわめて当たり前の話である。 したがって、政府が、普天間移設を拒否したのを理由に、再編交付金が支給中止になったことは順法的にはきわめて当然の措置である。 一月の稲嶺市長の当選を受けて、基地反対派市長をを迎える名護市役所では、再編交付金の中止を予測し既に2月の時点で、今年度の予算からはずしている。 ⇒名護市10年度予算 再編交付金計上せず 2010年2月24日 当日記では沖縄タイムスの「アメとムチ論」のいい加減さを批判しておいたが、昨日(26日)は社説で因縁をつけてきた。 [名護交付金凍結]米軍統治と似た手口だ
 政治  2010年12月26日 08時49分        米軍による異民族支配の歴史を思い起こした。名護市に対する米軍再編交付金の支払い停止問題と、あのころの圧政がダブる。  防衛省は米軍再編推進法に基づく再編交付金について、名護市への支払いを保留していた2009年度の繰り越し分約6億円と10年度分約9億9000万円を交付しないことを決めた。  普天間移設に非協力なのでバルブを閉める。あからさまな「アメとムチ」で、税金の使い方としておかしい。  09年度分には、12年度開学予定の小学校敷地整備も含まれている。事業の公共性を認めた国側には予算の適正執行義務があるはずだ。防衛予算で出せないのなら、政府は他省庁予算に付け替える措置も検討すべきではないか。  米軍基地を金で押し付けるやり方がいつまでも続くと思うのは誤りだ。  そもそも野党時代の民主党は再編交付金について、「自治体の受け入れ表明を交付の条件とすることが想定されており、国民の税金の使い方として問題があると言わざるを得ない」と反対していた。  しかも今年1月の名護市長選で移設反対の稲嶺進市長を民主党は推薦した。政権を取ると公約も理念もそっちのけに名護市を締め上げるなんて、支離滅裂だ。(略)                                                      ☆ 先ず、社説ではあいまいにしているが、「アメとムチ」とは今回の再編交付金に対して言われてきたものではなく、小渕元首相が1999年12月に、閣議決定した「北部振興策」に対して言われてきたものである。 今回の再編交付金は、同じ交付金でも北部振興交付金とはその出所は違っており、社説ではミソもクソも一緒の扱いをしているが、再編交付金は法律で米軍再編に協力した地域に公布されると明記されている。 >そもそも野党時代の民主党は再編交付金について、「自治体の受け入れ表明を交付の条件とすることが想定されており、国民の税金の使い方として問題があると言わざるを得ない」と反対していた。 >しかも今年1月の名護市長選で移設反対の稲嶺進市長を民主党は推薦した。政権を取ると公約も理念もそっちのけに名護市を締め上げるなんて、支離滅裂だ。 確かに野党時代の民主党が再編交付金に反対していたのは事実だし、 名護市長選で民主党が移設反対派稲嶺市長を推薦していたのも事実である。 その点から言えば菅内閣が「公約も理念もそっちのけ」で名護市を「締め上げる」のは論理的に支離滅裂である。 ところが、その支離滅裂、それも特に国防・安全保障については支離滅裂な民主党を支持する大キャンペーンを張って政権交代の先棒を担いだのは、他ならぬ沖縄タイムス等のサヨクマスコミではなかったのか。 国防に無知な鳩山前首相が「最低でも県外」という妄想から醒めて、「学べば学ぶほど抑止力の重要性が云々」と言い出したのが、全ての混乱の元ではないのか。 「アメとムチ」が県民を愚弄するものとの自覚があるなら、今回の再編交付金の中止は、政府に言われるまでもなく、自ら拒否すべきではないのか。  よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします 
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