沖縄2紙が翁長知事批判の封印を解いた瞬間である。
これまで翁長知事を支えてきた「オール沖縄」に亀裂が入り、沖縄2紙が翁長支援を見限ったのだ。
これまで沖縄2紙と対立する論調で翁長知事批判を続けていた世界日報が、安慶田「口利き」疑惑を要領よくまとめてくれた。
県教委、安慶田副知事の口利き認める 「翁長知事は事実隠蔽か」自民党県連が追及へ
沖縄県の安慶田光男副知事が教員採用試験への口利きや県教育庁幹部人事へ介入した疑惑について、平敷昭人教育長は24日午前、諸見里明前教育長から口利きや人事介入の事実を認める文書が22日に提出されたことを公表した。
この文書を受け、県教委員は23日、当時の県教育庁幹部に聞き取り調査をした結果、事実関係を認める複数の証言があり、「働き掛けがあったと考えざるを得ない」と結論付けた。翁長雄志知事には22日中に文書が届いてることを報告し、詳しい内容については翌日に説明したという。
翁長氏は24日午後、安慶田氏は「全面的に否定していた」とした上で、「改めて問い直したい」と述べ、県教委と協議する意向を示した。県教委の事実認定については言及しなかったものの、「私からすると任命責任があるということで重大に受け止めている」と、自身の責任に言及した。
これらを受け、自民党沖縄県連は同日午後、記者会見を開き、22日に前教育長が文書提出したにもかかわらず、23日の記者会見で翁長氏が事実認定しなかったことについて照屋守之会長は、「事実の隠蔽と受け止められても仕方がない」と批判。「もし、教育長が知事に伝えなかったとすれば、それも問題」と述べた。
安慶田氏の辞任について、照屋氏は「説明責任を放棄してはいけない」と強調。県議会の百条委員会と2月定例会で徹底追及するとともに、翁長氏の任命責任についても追及していく構えを示した。
諸見里明・前沖縄県教育長の文書(要約)
先日、指導統括監から電話があり、「この件については、依頼などなかったとしてよろしいですか」という問いに「はい、それでよい」と回答したが、その後、知事の「事実ない」、副知事の「関与否定」という記者会見後に、やはり事実は事実として知らせるべきだという結論に達した。
私が最初、「それでよい」と回答したことは、知事の困惑も私が口を閉じればそれで収束するからとの思いだった。
しかし、あえて修正すべきだとする結論に達したのは、次の理由からだ。
①知事、副知事の記者会見後、私のもとに多くの電話が殺到した。その中で、大先輩や友人たち及びマスコミなどから「事実はどうなのか。事実と違うならばぜひ真実を表明して欲しい」という強い意見に心が揺れた。
②「教育の中立性」だけは絶対に確保すべきであるという信念。
③マスコミが独自取材を経てここまで報道していながら、前教育長(諸見里)が事実を隠蔽して良いのかという、道義的責任を強く感じ、後々、後悔することになると痛感した。
④副知事の「絶対否定」に「これでいいのだろうか」と大きな違和感を覚えた。
<採用依頼について>
2015年に実施された教員の1次採用試験の合格発表後、2次試験が行われる8月中旬頃から末頃の間、安慶田副知事から副知事室に来るようにとの電話があり、部屋に入ったところ、メモ用紙を渡された。それには3人の受験番号、教科、氏名が記入されており、「よろしくお願い」「無理しなくてもいい」と言われた。
持ち帰って自室に戻ると、しばらくして幹部Aを呼んで、副知事からの採用依頼があったことについて協議。「こんなことは絶対にできない」とお互いに同意を得た。その後、幹部Bとも確認した。
副知事には、採用試験の最終合格発表を確認した後、副知事室に出向き、当該3人の氏名を確認しながら合否を報告した。そのうち、1人は不合格だったが、副知事は私をじっと見たまま何も答えなかった。
また、10月末日頃、副知事から電話があり、学校事務職員採用試験1次合格者の受験番号と名前を告げた後、「よろしく頼む」と言われた。学校事務は県教委の所管ではなく県人事委員会の所管だと説明すると、「そうか、分かった」と言って引き取った。
副知事から渡されたメモ用紙は、副知事に報告後、シュレッダーにかけて消去しており、手帳などにも残していないことから受験番号も名前も覚えていない。
<人事異動への介入について>
2015年1月中旬頃、副知事室に呼ばれ、教育庁幹部Cの異動先を指導統括監にするように副知事から指示された。しかし、当時の指導統括監がまだ就任1年目であることを理由に固辞した。2~3日後に再度呼び出され、今度は県立総合教育センター所長に統括監級として異動するように指示された。この件はむげに断る理由もないことから、持ち帰って幹部Aと幹部Bを呼んで協議したところ、絶対駄目だと確認した。
この件について後日、県教委の委員に事情を説明したところ、異動させないようにとの意見で一致し、その旨を副知事に伝えた。その際、激しく恫喝されたのを覚えている。
また、同時期に、小学校校長Dを義務教育課長か那覇教育事務所長に登用するようにも迫られたが、当時の人事配置事情から断ったところ、この件は了承された。
2016年1月の中旬頃、前年度に名前が挙がった校長Dを義務教育課長か那覇教育事務所長に異動配置するよう指示されたが、再び固辞したところ、厳しい恫喝を浴びせられた。
☆
ここで疑惑の対象として炙り出されてくる人物は、安慶田副知事1人だけではない。
当初、ずさんな調査で「口利き」を否定していた平識教育長や、諸見里前教育長だって実名報道にいたる過程に不信感が募る。 そして最終的には、論功行賞を指揮した翁長知事の仮面を引っ剥がすまで、調査を徹底させるべきだ。
そう、安慶田疑惑でトカゲの尻尾切りで済ましてはいけない。
本命は翁長知事だ!
本日予定されている安慶田氏の記者会見でも、安慶田氏は強気の構えだという。
仮に、疑惑を否定し続けたら沖縄2紙によるバッシングに「火に油」になるだろう。
疑惑を認めたら「誰の指示でやったか」と翁長知事追及の矢が迫ってくる。
引くも地獄、進むも地獄。
これが安慶田氏の現在の心境だろう。
下記の沖縄タイムスを読めば県庁内が翁長・安慶田体制により、腐敗と不信の伏魔殿と化している様子が分かる。
沖縄タイムス+プラス ニュース 翁長知事の対応を疑問視する声 沖縄県幹部は教育庁に恨み節【深掘り】2017年1月25日 14:06沖縄県教育委員会が24日、安慶田光男前副知事の働き掛けを認めた一方、翁長雄志知事は安慶田氏を擁護する姿勢を見せた。こうした状況に県内部からは、知事の対応を疑問視する声や、外部調査による事実解明を求める声が高まっている。
沖縄タイムス+プラス プレミアム 【記者の視点】知事の言動、県民に不信も
2017年1月25日 12:29
安慶田光男前副知事による一連の疑惑で、翁長雄志知事は24日、疑惑を事実と認めず「疑念」との表現にとどめた。安慶田氏という盟友への「情」を重視した対応に見える。ただ、前教育長から疑惑を裏付ける核心的な証言が文書で示されていることもあり、知事の言動は安慶田氏を過度に擁護している印象を拭えない。
【おまけ】
本日予定の安慶田氏記者会見を予測してみた。
記者「口利きや人事介入はなかったのですか」
安慶田「断じてない。疑惑を否定する」
記者「何か否定する証拠がありますか」
安慶田「私の顔を見て、悪事を働く顔に見えるか」
記者「見える!見える!」
安慶田「む・む・む・・・・」
安慶田「では俺の目を見よ。嘘をつく目に見えるか」
記者「見える!見える!血走っている」
安慶田「お前らの目は節穴か!会見は終了だ!」
安慶田「夜道の一人歩きは気をつけろよ!」
記者「そのように恫喝したのですか」
安慶田「・・・・・」
社説[前副知事の介入認定]これで幕引きとならぬ 沖縄タイムス 2017年1月25日 10:00
安慶田光男前副知事が教員採用試験や教育庁の幹部人事に介入したとされる問題で、平敷昭人教育長は24日、「前副知事から働き掛けがあったと考えざるを得ない」と事実であることを認めた。
当初、電話による元幹部らの聞き取り調査に基づき、全面否定していたのを180度覆す結論である。
状況を一変させたのは、諸見里明前教育長が22日、実名で平敷氏宛てに提出した詳細な告発文書である。
県教委は諸見里氏を含む元幹部らと直接面談して事情を聴き、告発を裏付ける証言が得られたと判断した。
諸見里氏は電話聴取では「知事の困惑も私が口を閉じれば収束する」と疑惑を否定していたが、「副知事の絶対否定に大きな違和感を覚えた」と告発に踏み切ったという。
介入の具体的な証言が報じられていたにもかかわらず、県教委の調査は電話での聞き取りという安易な方法で、早々に打ち切る方針を示していた。問題を矮(わい)小(しょう)化し、早期に収束させたかったと受け止められても仕方がない。
平敷氏は22日、翁長雄志知事に告発文書の概要の一報を入れたが、文書の全容を報告することができたのは23日の知事会見後。翁長知事は会見で「一貫してやっていない」との安慶田氏の主張を受け入れ、疑惑を否定した。当時の教育行政トップが告発した概要を知りながらなぜ、これに触れなかったのだろうか。
その後、安慶田氏は辞任したことを明らかにした。教員採用試験や幹部人事への介入を一切否定したまま「県政運営に混乱と停滞を招いている」ことを理由に挙げた。
不可解で不誠実な対応だ。
■ ■
告発文書で諸見里氏は、人事介入が実現しなかったため安慶田氏から2度にわたって「厳しい恫喝(どうかつ)を浴びせられた」ことを明らかにしている。
副知事の威光を背景にした不当な介入にほかならない。
要職の副知事を務めた安慶田氏には辞任後であっても説明責任がある。
安慶田氏は辞任に当たって正式な記者会見を開くことなく、県庁ロビーで記者団の取材に応じた。事の重大さとはあまりにかけ離れた説明の仕方だった。
翁長知事の任命責任も免れない。自身も「県民に不安を抱かせ、任命責任を大変自覚している」と認めている。安慶田氏には調査に協力するよう促し、解明を続ける考えだ。当然である。
だが、県教委の内部調査には限界があることを自ら露呈している。
やはり第三者の目を入れた外部の調査委員会の立ち上げが早急に必要だ。
■ ■
教員や公務員の採用、異動、昇任を巡っては口利きやコネが存在するのではないかとのうわさを聞くことがある。
この機会に、県教委や県は今回以外にも議員を含めた政治家からの不当な介入がないのか、調査する必要があるのではないか。
県教委は不当な介入を受けた場合の取り扱いを定める要綱を整備する方針だ。不正行為を根絶する制度設計にすることが不可欠である。
<社説>安慶田副知事辞職 疑惑の徹底解明が先だ 知事は決然と対応を 2017年1月24日 06:01 安慶田光男副知事が教員採用試験と県教育庁人事への介入疑惑の責任を取り、辞職した。
公正な県政運営に対する県民の信頼を大きく損ない、翁長県政が掲げる米軍普天間飛行場の辺野古移設阻止など基地問題のほか県政全般への影響は計り知れない。
安慶田副知事は「報道の事実はない」と否定しながら辞意を表明した。到底、納得できない。任命者の翁長雄志知事は、安慶田副知事の関与が疑われる問題を徹底的に洗い出す責任がある。事実関係を明確にした上で制度の改善を含め万全の再発防止策を講じ、県政の信頼回復を図るべきだ。
市長選での影響回避か
安慶田副知事は重ねて疑惑を否定しつつ、「県民に不安を与え、県政を混乱させたことは重大」などと辞職の理由を述べた。口利きの事実がなければ辞める理由はない。辞意表明により疑惑はいっそう深まったと言わざるを得ない。
20日に会見した翁長知事、安慶田副知事は口利き疑惑の事実を全面的に否定した。そのわずか3日後に安慶田副知事が一転して辞職したのは不可解だ。
22日には宮古島市長選の投開票があった。知事とともに特定候補者を支援する同市出身の安慶田副知事が選挙前に辞意を表明すると投票結果に影響を与えた可能性がある。それを慮(おもんぱか)り、選挙後に辞職のシナリオがなかったか。知事、副知事のやりとりを含め、この間の経緯をただしたい。
安慶田副知事の関与の有無にかかわらず、県教育庁は不公正な教員採用、人事はなかったとしている。結果がそうだとしても疑惑は解明されねばならない。口利きの事実関係が不明なまま幕引きとしては、同様の口利きが繰り返される禍根を残しかねない。
県議会は与野党を問わず問題を厳しく追及すべきだ。安慶田副知事は誠実に質疑に応じる責任から逃れられない。県教育庁の複数の関係者が口利きを証言しており、教員採用、人事決定の経緯を詳細にただし、疑惑を解明してもらいたい。
副知事は県政の絶大な権力者だ。教育行政だけでなく、県発注工事の業者選定などへの関与も問いたださざるを得ない。この機会に、県政の全般にわたり県幹部の不公正な業務介入がないか、膿(うみ)を出し切る覚悟で徹底的に検証する必要がある。
特別職の副知事は「公平・公正」な職務執行を求める県職員倫理規定の対象外である。今回の疑惑の解明と並行して、特別職の副知事にも処罰を科す条例制定など厳格な再発防止策を講じてもらいたい。
県民の信頼揺らぐ
翁長知事は那覇市長から「辺野古新基地阻止」を公約に掲げて県知事に当選し、腹心として那覇市議会議長だった安慶田氏を副知事に起用した。2人は辺野古新基地反対の民意を担う保革を超えた「オール沖縄」県政の要である。
政府は「基地と沖縄振興のリンク」を公然化して県政への圧力を強め、警察や司法を従わせて辺野古新基地の工事を再開した。
不当な国の圧力に屈せず、沖縄の民意を訴え、正義を貫く。そのような姿勢で辺野古新基地問題の政府との交渉役の重責を担ってきたのが安慶田副知事である。安慶田副知事の疑惑と辞職は、基地問題に対する翁長県政の正義と公正さへの県民の信頼に大きなダメージを与えるものだ。
翁長知事は安慶田副知事の辞意を受けて記者会見し、辞職を発表した。しかし疑惑の真否が不明確なまま辞職を受け入れるのは釈然としない。政府の不当に立ち向かう毅然(きぜん)とした対応には程遠い。
翁長知事には真相追及の先頭に立つ決然とした対応を求めたい。知事が県政内部の疑惑解明に後ろ向きの姿勢では、副知事辞職で揺らぐ県政への信頼が決定的に失墜することを認識すべきだ。
安慶田副知事の口利き疑惑は、翁長知事の任命責任も同時に問われていることを指摘したい。
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