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承認「撤回」は「取り消し」より困難!県関係者

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明けましておめでとうございます。

今年も宜しくご支援のほどお願い申し上げます。

なお、当日記はコメント欄の方が本文より面白い、という意見もあり心強く思っております。

コメントは、たとえ異なる意見でも、論理的説明であれば歓迎しますが、感情的に罵詈雑言を並べるだけのコメントは荒らしと認定、削除させていただきます。

今年の日付で既に2回も記事をアップしていますが、昨年のうちにタイマー設定したものであり、実質上は今回が今年初めてのエントリーになります。お屠蘇で朦朧気味のエントリーです。

当日記はメディア批判、特に沖縄2紙の批判に焦点を当ててきましたが、今年も沖縄タイムスの元日号で筆慣らしです。

                 ★

実際には大晦日に配達されるが新聞の元旦号は、ずっしり重いページ数の割りに読むべき記事が少ない。

その分厚い沖縄タイムス元日号の中から基地関連の記事を拾って紹介しよう。

■第一集 3面トップ

【政府との闘い「第二ステージ」】

辺野古阻む決意

防衛局、年明け着工

【知事権限】

承認「撤回」の時期 焦点

 

名護市辺野古の新基地建設で、翁長雄志知事は埋め立て承認の取り消し以外でも、「あらゆる手段で阻止する」と明言してきた。承認取り消しを巡る違法確認訴訟で、最高裁は埋め立て承認した仲井真弘多前知事の裁量を幅広く認め、県敗訴の判決を言い渡した。翁長知事は行政処分に対する知事の裁量を「後押しした」と受け止め、今後の「撤回」や変更承認申請への判断で、プラスに働くと楽観視する。特に承認「撤回」は、工事を止めるには有効と位置づける。 翁長知事は、前知事が承認した2013年12月以降生じた「新たな事由」を洗い出し、「撤回」の理由となり得るか、どうかを法的に判断する。

専門家の間では県民投票を実施し、「辺野古反対」の民意を改めて示す必要があるという声もある。3月末で期限を迎える岩礁破砕許可の延長、埋め立て予定地のサンゴを別の場所に移植するサンゴ採捕許可、埋め立て本体工事設計変更申請の三つは、工事に大きく影響すると見ている。 そのほか、土砂など六つの権限行使も検討している。 国は県や名護市長の許可や承認を得ずに工事を進めるため、両者の権限行使を回避する儀獣的な検討に入っている。

記事から受ける印象は、新垣勉弁護士や元裁判官の仲宗根勇氏が進める承認「撤回」が一番有力な国に対する対抗手段としている。

そして「撤回」の根拠を民意に求め、民意を明確化するために「県民投票の実施」を新垣勉弁護士は主張する。

だが、12月24日付沖縄タイムスには、次のような県関係者と代理人の意見を紹介している。

ある県関係者は「撤回は取り消し以上にハードルが高い」と打ち明ける。 埋め立て承認や許可といった行政行為の成立に瑕疵があった場合、行為の取り消しができる。 一方で撤回は、行政行為の成立後に新たな事情が発生したことを理由に、将来に効力を失わせる措置だ。

県関係者は「辺野古の場合の『新たな事情』は、民意の変化くらい。 新たな法的問題を指摘できるか」と考え込む。 工事を進める上で必要な複数の変更申請に対する判断でも「変更の部分が大きく、自然に与えるダメージが大きいことを立証できるかが問題だ」と語る。

「あらゆる手段で新基地建設を阻止する」と訴える知事の「次の一手」に注目が集まる中、代理人の1人もこう語った。『知事の手法はあくまで『合法』でなければならず、権限行使には自然科学や行政法の専門家の意見も聞く必要があるだろう。われわれはブレーキになることはあってもアクセルになることはない」(社会部・国吉聡志)

                ☆

■撤回は取り消し以上にハードルが高い

沖縄タイムスが言わんとすることは、翁長知事は一刻も早く承認「撤回」を実行し、辺野古移設を阻止してほしい、というものだ。

その具体的手段として昨年末に紹介した新垣勉弁護士が主張する「撤回と県民投票によるあわせ技」だ。

だが、法律の専門家による机上の空論は、論理的には成立しても実現性には問題がある。

その点、県の幹部と代理人は問題を現実的に直視しており「撤回は取り消し以上にハードルが高い」と認識している。

>埋め立て承認や許可といった行政行為の成立に瑕疵があった場合、行為の取り消しができる。 

>一方で撤回は、行政行為の成立後に新たな事情が発生したことを理由に、将来に効力を失わせる措置だ。

県が一旦承認した案件を「撤回」するにはよっぽどの事情がなければ、承認に関わる多くの利害関係者に迷惑を及ぼす。

>県関係者は「辺野古の場合の『新たな事情』は、民意の変化くらい。 新たな法的問題を指摘できるか」と考え込む。 

>工事を進める上で必要な複数の変更申請に対する判断でも「変更の部分が大きく、自然に与えるダメージが大きいことを立証できるかが問題だ」と語る。

沖縄タイムスは、「撤回は取り消しよりハードルが高いので、撤回による『辺野古阻止』は困難」と言いたいのだろうが、立場上困難とは断定したくない。

そんな思いを逆なでするような代理人の次の言葉が「撤回」の困難さを物語っている。

「『知事の手法はあくまで『合法』でなければならず、権限行使には自然科学や行政法の専門家の意見も聞く必要があるだろう。われわれはブレーキになることはあってもアクセルになることはない」

知事の阻止活動が「合法」であることはいうまでもないが、代理人や専門家の意見がブレーキになることはあっても、アクセルになることはない」とは、無駄な法廷闘争はもう止めにした方がよい、という意味ではないか。

アクセルがなく、ブレーキだけの車で走行するなど、どだい無理な相談だから。

 

【おまけ】

昨年の夏以来、翁長知事に批判の牙をむき出した平安名記者が、大晦日の記事でも知事に「撤回」を駆り立てている。

タイムス×クロス 平安名純代の想い風 知事は直ちに「撤回」を 政治的判断には説明責任[平安名純代の想い風] 沖縄タイムス 2016年12月31日 10:00   平安名 純代 平安名 純代(へいあんな すみよ) 沖縄タイムス米国特約記者

沖縄県那覇市出身。1995年渡米。日英両語のロサンゼルス日系紙「羅府新報」でカリフォルニア州議会やロサンゼルス市議会などの担当を経た後に副編集長。2010年12月から現職。米軍普天間飛行場の移設問題をめぐるラムズフェルド元国防長官との単独会見などの一連の取材で12年に第16回新聞労連ジャーナリスト大賞優秀賞を受賞。

 米ニューヨーク・マンハッタンの5番街にあるトランプ・タワー内のレストランで約2週間前、元米高官と会食した。同氏が推した人物がトランプ新政権に閣僚入りしたこともあり、新政権や対日交渉役の顔ぶれの変化などに関する話題がしばらく弾んだ。

 米軍再編に深く携わり、訪沖経験もある同氏との会話はやがて辺野古移設へと移り、高江のヘリパッドがもうすぐ完成すると告げると、遠くを見るような表情で「高江も辺野古も一つの大きなパズルのピース(断片)だ。辺野古を阻止しようというならば、パズルそのものを作り替える必要があるのだが…」と声を落とした。

 「沖縄は島全体がひとつの米軍基地だ」と語るその元高官は、米政府内にある沖縄の民意の尊重を説く声は、いつの時代も米軍にひっくり返されてきたと指摘し、「法廷で争える今がその構図をひっくり返す最大のチャンスだ。すべてのカードを使って最後まで闘い抜く必要がある」と強調した。

 翁長雄志知事は26日、辺野古埋め立て承認取り消し処分を取り消した。「新基地は造らせないと改めて決意を固めた」といいながら、自ら工事再開を復活させた言動の不一致を理解するのは難しい。

 米側では今後の展開について、工事再開後に県が埋め立て承認を撤回する場合、日本政府は撤回によって生じる不利益の補償を県に請求できるため、撤回の時期が長引くほど展開は沖縄にとって不利になると予想する。

 一方、県内では、知事はなぜ取り消しを急ぐ必要があったのかと指摘する声もある。

 うるま市具志川九条の会のメンバーら約100人は26日午前、県庁で抗議集会を開催。元裁判官の仲宗根勇共同代表は、「承認取り消しを取り消すならば、同時に撤回に踏み切るべきだ」と何度も強調し、埋め立て承認が復活すれば工事が再開され、後に撤回しても、裁判で勝つまで工事が続いていく危険性を指摘。同会議メンバーらも、翁長知事は承認取り消しでは第三者委員会を設置し時間をかけて検討したが、今回はなぜこんなに急ぐのかと疑問視。「現場に危機的状況を招かないでほしい」と訴えた。

 前述した元高官に、こうした状況を告げると「少数でも正論だ。戦略のない闘いに勝利はない。行動の遅さは致命的結果を招く」とと撤回の重要性に理解を示した。

 確かに沖縄は再び最高裁で敗れた。しかし、自信を持てばいいのだ。沖縄の自己決定権を主張するのに世論を恐れる必要はない。建設的な批判を尊重し、軌道修正して闘いを続ければいいのだ。そのためにもまず、翁長知事は今回の重大な政治的判断を巡る県民への説明責任を果たし、直ちに撤回を実行する必要がある。(平安名純代・米国特約記者)

 

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