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米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で、沖縄県の翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しに対する石井国土交通相の是正指示の適法性を審査している「国地方係争処理委員会」は17日、是正指示の適法性について明確な判断を示さず、国と県が協議すべきだとの勧告を決定した。
昨年の8月以来、国と県が協議しても結論に至らなかったので、係争処理委に審査を請求したのだが、審査請求に対し「協議せよ」の勧告では係争処理委が逃げた、といわれても仕方がない。
係争処理委としては、国、県のどちらに有利な判断をしても、県による高裁提訴が「想定内」であるため、当初から言われていた地方自治法の手続き論を、「仕切りなおし」のための審査だったもよう。
翁長知は、勧告を不服として決定の通知から1週間以内に是正指示の取り消しを求める訴訟を高裁に起こす見通しで、国と県は再び法廷闘争に入るとみられる。
是正指示と係争委の審査は、国と県の代執行訴訟で3月に成立した和解条項に基づく手続きの一環である。
国が、地方自治法245条の7項にある是正指示の協議を(県はどうせ拒否すると判断して)省略していきなり8項の「代執行訴訟」に持ち込んだ。
県は国の7項省略を「強権的」と批判していた。
裁判長は県側の「国は強権的」との批判を口封じするため、県の「判決には従がう」との言質をとったうえで、和解勧告をし、代執行訴訟を取り下げさせ、係争処理委の審査を地方自治法245条の第7項から仕切り直しをした。
さて、本日の沖縄タイムスから関連見出しを抜粋しよう。■一面トップ
係争委、適否判断せず
辺野古 承認取り消し是正指示
国・県に協議促す
■二面トップ
決定 実効性に疑問
国の姿勢 暗に批判
調停委 明示する必要
【電子号外】辺野古是正指示、係争委は判断示さず 国と県に協議促す 沖縄タイムス 2016年6月17 日 18:46電子号外をビューアで見る 【東京】沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、総務省の第三者委員会「国地方係争処理委員会」(係争委、小早川光郎委員長)は17日、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しに対する石井啓一国交相の是正指示の適否を審査したが、地方自治法上の適法性の判断を示さないとの結論を発表した。期限の21日までに県と国の双方に決定書で通知する。
係争委は、是正指示に至った双方の関係を「国と地方のあるべき関係から乖離(かいり)している」と指摘。普天間飛行場の返還問題の方策に関し「双方で議論が深める基盤作りが不十分ななかで、地方自治法に適合するか否かを判断すべきではない。真摯(しんし)に協議し納得する結論が出るよう協議することが求められる」と結論づけた。
翁長知事による係争委への審査申し出は、国と県とが合意した代執行訴訟などの和解条項の手続きの一環として進められてきた。
国是正指示、適否判断せず 辺野古移設で係争処理委
相原亮
2016年6月17日22時38分
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題をめぐり、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」は17日、翁長雄志(おながたけし)知事による辺野古埋め立て承認取り消しの撤回を求めた石井啓一国土交通相の是正指示について、適正か否かを判断しないことを決めた。委員会が適否を決めても政府と県の対立関係は改善しないと判断し、両者が協議するよう呼びかけた。
特集:沖縄はいま委員会後、記者会見した小早川光郎委員長(成蹊大法科大学院教授)は判断を避けた理由について、「いずれの判断をしても、それが国と地方のあるべき関係を構築することに資するとは考えられない。結論を出すのが最善の道ではない」などと説明した。
一方、小早川氏は辺野古移設をめぐる政府と県の対立について「議論を深める共通の基盤づくりが不十分なまま一連の手続きが行われてきたことが、国と県の紛争の本質的な要因だ」と指摘。その上で「普天間の返還という共通目標に向けて真摯(しんし)に協議し、納得できる結果を導き出す努力をすることが最善の道だ」と語り、政府と県が協議するよう促した。
委員会が適否の判断を示さなかったため、国交相の是正指示の効力は続く。このため、沖縄県は今回の結論を不服として、国を相手取り、新たな訴訟を起こすかどうか対応を迫られることになる。翁長氏は17日、都内で記者団に「今後は委員会の決定通知書を精査し、対応を検討していく」と語った。
委員会は3月から計9回開かれた。翁長氏は4月の意見聴取に出席し、移設計画について「米軍基地の集中による過重な負担、被害を将来にわたって沖縄県に固定化する」と主張。国交相の是正指示を「自然と生態系への破壊指示であり、地方自治の破壊そのもの」と批判した。
一方、政府は日米同盟の重要性と普天間の危険性除去を訴えた。政府側の代理人は、移設計画の停滞について「米国との信頼関係が確実に損なわれる」と主張。翁長氏の埋め立て承認取り消しを「裁量権を逸脱し、乱用したもので違法だ」と断じた。
普天間飛行場の移設問題では今年3月、政府が翁長知事を訴えた代執行訴訟が和解し、政府と県がそれぞれ起こしていた訴訟をすべて取り下げた。国は埋め立て工事を中断し、委員会が審査していた。(相原亮)
☆
係争委は合計9回行われたが、県側が申請していた安全保障の識者ら8名の証人を却下していた。
屋良朝博元沖縄タイムス記者、我部政明琉球大学教授ら風船テロリストが安全保障の専門家として名を連ねているだけで、証人却下は正解だと思っていた。
国と県の対立は係争委の審査で、遠回りした感が有るが再度県による高裁への訴訟が予定されており、「急がば回れ」で結局「和解勧告」により、国と県の対決は当初より早く終結を迎えると思われる。
沖縄タイムス二面には小早川委員長の一問一答が載っているが、こんな質疑もあった。
ーー議論の基盤がないまま進んで対立したからこそ、係争委に持ち込まれた。 判断しないという結論とどう結びつくのか。
「国の関与の適否を判断し、当事者に伝えることで国と地方の対立、紛争を適正に解決するというのが判断の趣旨。 今回のケースは、そのような対応をしても結果は得られないというのがわれわれの判断」
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