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今朝の沖縄タイムスは一面トップ及び第一、第二社会面にはそれぞれ次の大見出しが踊っている。
尖閣衝突映像 流失元石垣海保・11管か
石垣海保 重い沈黙
徹夜調査集まる目
まるで犯人探しに躍起になっている菅内閣の意思を体現しているようである。
証拠ビデオの「ネット流失」について、昨日の沖縄2紙が揃って社説を書いた。
全国紙も同じテーマを社説で取り上げているが、論調は概ね二つに分類できる。
一つは、朝日に代表されるように、政府の情報管理のズサンさを強調し、公務員の守秘義務違反は由々しき問題だと指摘し、専ら「情報管理」に焦点を当てている論調。
そしてもう一つは、産経に代表されるように、批判されるべきは情報管理の問題というより「非公開」にした政府の対応そのものだ、とする論調である。
当日記は前のエントリーで、本件には内部告発の要素があり、守秘義務違反を適用するには大きな問題があると述べた。
で、沖縄タイムスはどうか。やはり朝日と同じで「守秘義務違反」に重点を置いた論調、さすがは小朝日といわれるだけのことはある。
では琉球新報はどうかと読んで驚いた。何と、当日記の論調と全く同じで「守秘義務違反より、政府の非公開が問題だ」と叫んでいるではないか。
◆琉球新報 社説
衝突映像流出 なぜ公開できないのか
2010年11月6日
尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件の状況を撮影したとみられる映像がインターネット上で公開された。事件を撮影したビデオは那覇地検や石垣海上保安部などに保管されている。前原誠司外相は「海上保安庁が撮ったものと思う」と明言しており、何らかの原因で流出した可能性が大きい。
ビデオが外部に流れたこと以上に衝撃的なのは映像の中身だ。中国漁船が意図的に巡視船にぶつかってきた様子が分かる。「論より証拠」だ。
これほどあからさまな違法行為を現認しながら船長を処分保留で釈放したのは、法治国家としてあるまじき対応だ。ぶつけてきたのが日本人であれば、捜査途中で釈放するなど、まずあり得ない。
中国の手前勝手な要求に逆らえず、政治的な配慮から法秩序をねじ曲げた日本政府の卑屈な姿勢が鮮明になってきた。
不可解なのは事ここに至るまで、衝突事件のビデオ映像を一般に公開してこなかったことだ。刑事訴訟法は、事件の証拠を初公判前に公開してはならないと規定しているが、「公益上の必要性」がある場合は除かれている。
中国外務省は船長の帰国直後に、謝罪と賠償を求めてきた。映像を公開することは公益を守る観点から是認されるはずだ。まして船長は超法規的措置によって釈放された。帰国した際、英雄のような扱いを受けている。今さら「公判」も何もあったものではない。
表に出さないのは、中国人船長を釈放した日本側の判断ミスが白日の下にさらされるからか。軍事管理区域を撮影したとして身柄を拘束されていた日本人の釈放が遅れることを恐れていたのか。何らかの裏取引があったのではないかと疑いたくなる。
日本政府は、ビデオ映像が流出したことを問題視し調査に乗り出している。論点のすり替えに躍起になっているようにも映る。
証拠資料が外部に出たこと以上に問題なのは、公表した方が国益にかなうであろう映像を内外に開示せず、中国側の理不尽な言動を助長したことだ。
政府が真っ先になすべきなのは、この間の対応のまずさを深く反省し、海上保安庁が撮影したビデオ映像をすべて国民に公表することではないか。
同時に、映像漏出の原因を突き止め、再発防止を図るべきだ。 ◇ ◆沖縄タイムス 社説 [尖閣ビデオ流出]一体どうなってるんだ
2010年11月6日
尖閣諸島沖の漁船衝突事件の現場映像が、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に流出した。政府は映像の真偽確認と原因究明に着手したが、本物の可能性が強い。 政府はこれまで外交への影響に配慮して事件のビデオ映像を一部の国会議員に限定的にしか公開していない。流出したビデオは当局しか持ち得ない証拠品だ。それが不用意にネット流出する事態は由々しい問題で、危機管理のずさんさがあらわになった。 当局者が確信犯的にビデオを公開したとすれば、守秘義務違反で刑事訴追されることも覚悟の上だったことになる。真相を明かす「内部告発」なのかどうかを含め原因究明を見守りたい。 つい先日も国際テロの捜査情報がネット上に流出した。警視庁公安部のテロ対策専門部署が策定した内部資料で、2008年の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)開催に伴うテロ対策資料や捜査協力者の個人情報、米連邦捜査局(FBI)の要請に基づく聴取計画、テロ組織と接点のある在日外国人の捜査記録などが含まれていた。 13日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が迫る中の最悪のタイミングで2件も立て続けに起きた情報漏洩(ろうえい)事件だ。国際社会がテロへの警戒を強めているときに、日本に極秘情報を提供すると外部へ漏れてしまう、と思われては安全保障上の深刻なダメージとなる。 政府は危機感を持って一刻も早く流出事件の真相を明らかにすべきだ。(略) ◇ 両紙の主張の違いは一目瞭然。わざわざコメントする必要もないが、それにしても、琉球新報の論調が朝日に背を向け、産経新聞と同じなのは驚きである。
両紙の社説の違いの理解には次の論考が参考になる。
◆日本を襲う死の病、全共闘、弁護士、社会主義 これで韓国、中国に勝てると言うのか! 2010.11.06(Sat) 川嶋 諭
(前略)
さて、国家がひた隠す事実が日本でもネットに流出した。
11月5日の未明に尖閣諸島での中国漁船による海上保安庁の巡視船への体当たり事件を撮影したビデオが、ユーチューブで白日の下にさらされてしまったのだ。
ウィキリークスと違い、日本政府の抗議を受けユーチューブを運営するグーグルは約10時間後に同映像を削除してしまったようだが、既にあとの祭。次々と動画のコピーがネット上に出回っている。
5日朝のテレビ番組は、ほぼこの話題で独占されていた。専門家に映像を細かく分析させて、船の軌跡やエンジンの出力の具合などから、明らかに中国船が意図を持って巡視船へぶつかってきたことを解説している番組がほとんどだった。
しかし、面白いことに、午後になって夕刊の紙面でビデオ流出の記事を読んでみると、トーンがすっかり変わっていることに気づく。情報がどうして漏れたのか、海上保安庁と検察庁の危機管理問題に焦点がすり替えられているのだ。
もちろん、中国船がぶつかってきたことは書いてある。しかし、紙面の多くは危機管理のずさんさに移っている。とりわけ、検察庁の不正をスクープした朝日新聞にその傾向は強く見られる。
既に第1報が流れた後で、記事に付加価値を付けたいという記者の心意気は理解できるにしても、そのために物事の本質を見誤ってしまっては本末転倒ではないか。
日本にとっての問題はビデオの流出なのか非公開なのか
何しろ、政府は誰が見ても非が中国にあるこのビデオの公開をひたすら拒否し続けてきたのである。ビデオが流出して、なぜ弱腰の外交しかできなかったかの批判が巻き起こるのは避けたい。そのために危機管理の問題に挿げ替えたいのである。
その意図に丸乗りするような報道では、いくら記事の付加価値を高めたいとはいえ、報道機関の独立性が問われるべきだろう。
何より、危機管理の問題に挿げ替えることで漁夫の利を得るのは中国である。だとすれば、本当の意味で危機管理が問われるのは政府自身であり、マスコミではないのか。自己弁護のために国益を損ねてどうするのか。
しかし、そうした本質的な日本の危機管理には現政権にも大手マスコミにも全く弱いようである。将棋や囲碁の世界で言えば、プロなら1手先、2手先どころではなく、10手先、20手先を読んで当たり前なのに、1手先を読むのにも汲々としているようにしか見えない。
国益を損ないたくないなら、言葉巧みな後講釈は要らないから、とにかく命を懸けて外交に取り組んでほしいものだ。それにしても、今回流出したビデオのような内容をなぜ頑なに公開できなかったのか。国民は完全にバカにされているとしか思えない。 ・・・続きを読む・・・ よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします ブログセンターランキングへクリックで応援願います。
ビデオが外部に流れたこと以上に衝撃的なのは映像の中身だ。中国漁船が意図的に巡視船にぶつかってきた様子が分かる。「論より証拠」だ。
これほどあからさまな違法行為を現認しながら船長を処分保留で釈放したのは、法治国家としてあるまじき対応だ。ぶつけてきたのが日本人であれば、捜査途中で釈放するなど、まずあり得ない。
中国の手前勝手な要求に逆らえず、政治的な配慮から法秩序をねじ曲げた日本政府の卑屈な姿勢が鮮明になってきた。
不可解なのは事ここに至るまで、衝突事件のビデオ映像を一般に公開してこなかったことだ。刑事訴訟法は、事件の証拠を初公判前に公開してはならないと規定しているが、「公益上の必要性」がある場合は除かれている。
中国外務省は船長の帰国直後に、謝罪と賠償を求めてきた。映像を公開することは公益を守る観点から是認されるはずだ。まして船長は超法規的措置によって釈放された。帰国した際、英雄のような扱いを受けている。今さら「公判」も何もあったものではない。
表に出さないのは、中国人船長を釈放した日本側の判断ミスが白日の下にさらされるからか。軍事管理区域を撮影したとして身柄を拘束されていた日本人の釈放が遅れることを恐れていたのか。何らかの裏取引があったのではないかと疑いたくなる。
日本政府は、ビデオ映像が流出したことを問題視し調査に乗り出している。論点のすり替えに躍起になっているようにも映る。
証拠資料が外部に出たこと以上に問題なのは、公表した方が国益にかなうであろう映像を内外に開示せず、中国側の理不尽な言動を助長したことだ。
政府が真っ先になすべきなのは、この間の対応のまずさを深く反省し、海上保安庁が撮影したビデオ映像をすべて国民に公表することではないか。
同時に、映像漏出の原因を突き止め、再発防止を図るべきだ。 ◇ ◆沖縄タイムス 社説 [尖閣ビデオ流出]一体どうなってるんだ
2010年11月6日
尖閣諸島沖の漁船衝突事件の現場映像が、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に流出した。政府は映像の真偽確認と原因究明に着手したが、本物の可能性が強い。 政府はこれまで外交への影響に配慮して事件のビデオ映像を一部の国会議員に限定的にしか公開していない。流出したビデオは当局しか持ち得ない証拠品だ。それが不用意にネット流出する事態は由々しい問題で、危機管理のずさんさがあらわになった。 当局者が確信犯的にビデオを公開したとすれば、守秘義務違反で刑事訴追されることも覚悟の上だったことになる。真相を明かす「内部告発」なのかどうかを含め原因究明を見守りたい。 つい先日も国際テロの捜査情報がネット上に流出した。警視庁公安部のテロ対策専門部署が策定した内部資料で、2008年の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)開催に伴うテロ対策資料や捜査協力者の個人情報、米連邦捜査局(FBI)の要請に基づく聴取計画、テロ組織と接点のある在日外国人の捜査記録などが含まれていた。 13日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が迫る中の最悪のタイミングで2件も立て続けに起きた情報漏洩(ろうえい)事件だ。国際社会がテロへの警戒を強めているときに、日本に極秘情報を提供すると外部へ漏れてしまう、と思われては安全保障上の深刻なダメージとなる。 政府は危機感を持って一刻も早く流出事件の真相を明らかにすべきだ。(略) ◇ 両紙の主張の違いは一目瞭然。わざわざコメントする必要もないが、それにしても、琉球新報の論調が朝日に背を向け、産経新聞と同じなのは驚きである。
両紙の社説の違いの理解には次の論考が参考になる。
◆日本を襲う死の病、全共闘、弁護士、社会主義 これで韓国、中国に勝てると言うのか! 2010.11.06(Sat) 川嶋 諭
(前略)
さて、国家がひた隠す事実が日本でもネットに流出した。
11月5日の未明に尖閣諸島での中国漁船による海上保安庁の巡視船への体当たり事件を撮影したビデオが、ユーチューブで白日の下にさらされてしまったのだ。
ウィキリークスと違い、日本政府の抗議を受けユーチューブを運営するグーグルは約10時間後に同映像を削除してしまったようだが、既にあとの祭。次々と動画のコピーがネット上に出回っている。
5日朝のテレビ番組は、ほぼこの話題で独占されていた。専門家に映像を細かく分析させて、船の軌跡やエンジンの出力の具合などから、明らかに中国船が意図を持って巡視船へぶつかってきたことを解説している番組がほとんどだった。
しかし、面白いことに、午後になって夕刊の紙面でビデオ流出の記事を読んでみると、トーンがすっかり変わっていることに気づく。情報がどうして漏れたのか、海上保安庁と検察庁の危機管理問題に焦点がすり替えられているのだ。
もちろん、中国船がぶつかってきたことは書いてある。しかし、紙面の多くは危機管理のずさんさに移っている。とりわけ、検察庁の不正をスクープした朝日新聞にその傾向は強く見られる。
既に第1報が流れた後で、記事に付加価値を付けたいという記者の心意気は理解できるにしても、そのために物事の本質を見誤ってしまっては本末転倒ではないか。
日本にとっての問題はビデオの流出なのか非公開なのか
何しろ、政府は誰が見ても非が中国にあるこのビデオの公開をひたすら拒否し続けてきたのである。ビデオが流出して、なぜ弱腰の外交しかできなかったかの批判が巻き起こるのは避けたい。そのために危機管理の問題に挿げ替えたいのである。
その意図に丸乗りするような報道では、いくら記事の付加価値を高めたいとはいえ、報道機関の独立性が問われるべきだろう。
何より、危機管理の問題に挿げ替えることで漁夫の利を得るのは中国である。だとすれば、本当の意味で危機管理が問われるのは政府自身であり、マスコミではないのか。自己弁護のために国益を損ねてどうするのか。
しかし、そうした本質的な日本の危機管理には現政権にも大手マスコミにも全く弱いようである。将棋や囲碁の世界で言えば、プロなら1手先、2手先どころではなく、10手先、20手先を読んで当たり前なのに、1手先を読むのにも汲々としているようにしか見えない。
国益を損ないたくないなら、言葉巧みな後講釈は要らないから、とにかく命を懸けて外交に取り組んでほしいものだ。それにしても、今回流出したビデオのような内容をなぜ頑なに公開できなかったのか。国民は完全にバカにされているとしか思えない。 ・・・続きを読む・・・ よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします ブログセンターランキングへクリックで応援願います。