名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認取り消し処分を違法として、国が翁長雄志知事を相手に起こした代執行訴訟の第1回口頭弁論が2日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。翁長知事は意見陳述で、過重な基地負担を強いられた沖縄の歴史に言及。政府が辺野古移設反対の民意にかかわらず移設を強行していることに「米軍施政権下と変わらない」と批判、「日本に民主主義は存在するのか」と訴えた。国側は取り消しは違法として、迅速な処分取り消しを求めた。次回の弁論は来年1月8日で、次々回は同29日。
翁長知事は戦後70年を経たにもかかわらず、「海上での銃剣とブルドーザー」をほうふつさせる日本政府の行為によって、「耐用年数200年ともいわれる基地が造られようとしている」と指摘。米軍基地が集中する沖縄に新基地建設を強行する現状は、米軍によって強制的に土地を接収された米軍施政権下と変わらないと指摘した。
国側は主張の要旨を読み上げ、「基地のありようにはさまざまな政治的意見があるが、(法廷は)議論する場所ではない」と指摘した。また、1968年の最高裁判決などを引用し、翁長知事の埋め立て承認取り消しが、行政処分を取り消す際の「極めて限定的な要件」を満たしていないと主張。安全保障や日米関係の信頼性が絡む事項については、知事に判断権限がないとして、取り消しの違法性を訴えた。
県側も主張の要旨を読み上げ、国の代執行手続きが地方自治法の定める「他に是正の手段がない場合」とする要件を満たしていないと指摘。知事が公有水面埋立法に基づいて判断する際、外交や国防といった要素は特別扱いされていないと反論した。
国側が持ち出した最高裁判例について県側は、国民に対する行政処分の取り消し基準を示したものであり、行政機関同士の「機関訴訟」には当てはまらないと反論した。
菅義偉官房長官は2日の会見で、翁長知事が口頭弁論で「日本に地方自治や民主主義は存在するのか」などと政府を批判したことに対し、「普天間問題では原点が違った。行政の判断は示されており工事は進める」と述べ、全面的に対決する姿勢をみせた。
■日本の民主主義問う 国の強硬姿勢批判
翁長雄志知事は2日夕、代執行訴訟で意見陳述した後、「思いは伝えられた。陳述は意味のあることだった」と意義を強調した。裁判の争点は「日本の地方自治、民主主義の問題が問われている」と位置付けた。国側の主張には「想定内。それぞれの担当大臣が辺野古が唯一、と強権的に押し進めてきたものが書面にも表れている」と述べ、政府の強硬姿勢の反映との認識を示した。県庁で記者団に答えた。
知事は「裁判は直接的には取り消しの訴訟なので、法律論がメーンであることは間違いないが、基地の問題は翻って考えると、日本の地方自治と民主主義という問題だ」と強調。「国民の皆さま方にも、この裁判に注目してもらいたい」と呼び掛けた。
陳述に対する法廷内の反応は「私(の陳述)が終わった後、裁判官から『大変分かりやすい話でした』という話もあった」と述べ、陳述の趣旨が理解されたとの認識を示した。
多見谷寿郎裁判長の印象は「真摯(しんし)な方だなと感じた。しっかり判断をしていただければありがたい」と述べ、県側の主張が理解されることへの期待感を示した。
国側の代理人が法廷で「政治的な意見を議論する場でない」とけん制したことには「政治的ということではなく、県民の心情を伝えた」と反論した。
☆
代執行訴訟を伝える昨日の地元テレビ各局の映像と興奮気味のアナウンサーから受ける印象は、あたかも沖縄全県民が翁長知事の応援団となっているよう報道だった。
そう、巨大な国の権力に立ち向かう悲劇のヒーローが翁長知事というわけ。
裁判の勝ち負けはともかく、判官贔屓の心情に訴えるという意味では、昨日の翁長知事のパーフォーマンスは一応の成功だったのだろう。
今朝の沖縄タイムス合計10面を使って翁長知事支援団体のコマーシャルペーパーとなった印象である。
見出しを一部引用して紹介しよう。
■一面トップ
知事、民意尊重訴え
「米軍施政権下と同様」
辺野古訴訟で初弁論
高裁那覇支部
■二面トップ
政府、適法性に自信
基地集中 扱い焦点
国防か環境か
知事「県民の重い胸に」
弁論前 激励集会に2000人
■三面トップ
知事、歴史軸に熱弁
沖縄への誤解に反論
辺野古訴訟 国 強権イメージ回避
■第二社会面トップ
花道 県民エール
2000人結集「一人にしない」
やまない声援 集会熱気
■社会面トップ
知事、沖縄を代弁
3500字に民意「未来開いて」
国側、法律論を前面に
菅官房長官の談話にもあるとおり、辺野古移設の原点を「普天間の危険性の除去」と考える政府に対し、翁長知事は「終戦後の占領期までさかのぼって」おり、問題は当初から噛み合っていない。
翁長知事は、歴史論を法廷に持ち込んだ。
法律論で戦うのが法廷闘争のはずであり、翁長知事の歴史論は法廷ではお門違いだと書いた。
沖縄タイムスの記者にも法廷で歴史論をぶち上げる翁長知事に違和感を持つものがいた。
今朝の沖縄タイムスコラム「大弦小弦」の冒頭で、安里記者が正直に胸の内を吐露している。
[大弦小弦]歴史を語ることから始めなければ… 沖縄タイムス 2015年12月3日 06時00分歴史を語ることから始めなければいけないのか。辺野古代執行訴訟の翁長雄志知事の意見陳述を読んで思った。裁判で沖縄の歴史を説く必要があること自体に、本土との深い断絶を感じる ▼基地が沖縄のためになって... 続きを読む
翁長知事が冒頭陳述で歴史論をぶち上げたことを聞いた瞬間、「(知事は)世論を味方に付け戦う戦略。 つまりは、そこしかよりどころがないということだ」「図らずも、法的瑕疵のなさを県が認識していることが表に出た」と、防衛省関係者がほくそ笑んだという。(沖縄タイムス)
大田元知事のときの代理署名拒否訴訟では、国が提訴した後3ヶ月で県の敗訴が確定した。
今回の代理執行訴訟も提訴後約二週間で第一回口頭弁論が行われ、第二、第三回の弁論も来年の一月以内に行われる。 場合によっては1月29日の第三回口頭弁論で結審の可能性も有るとのこと。
ということは、2月中の判決が期待される。
どちらが勝訴でも最高裁への上告があるだろう。
だが、これまでの裁判の迅速さから判断し、最高裁は門前払いの上告却下の可能性が高い。
当日記が予測していた通り「秒殺」で翁長知事の全面敗訴が確定することになる。
県側は国が想定外の代執行訴訟に持ち込んで早期決着を覚悟したことに対し、慌ててしまった。
そして急遽、国に対し抗告訴訟に持ち込むことを検討し始めた。
防衛局が国交省の執行停止の決定(県の取り消しの取り消し)を根拠に工事を進めているが、県はさらに決定の効力停止をすることで、工事を止める狙いがある。
ただ、行政事件訴訟法では、県が国を相手に抗告訴訟を提訴できるという法律上の明文はない。
さらに国交省決定の根拠となる行政不服審査法の第43条で「裁定は関係行政庁を拘束する」と規定されている。拘束される関係行政庁とは、ここでは沖縄県のこと。 つまり県は国交省の裁定に拘束される。
決定も同様で、今回のケースで県が国交省の決定の取り消しを求める訴訟は、原則的に提訴できないと解釈するのが一般的だ。
翁長知事よ、これ以上無駄な悪足掻きは止めて欲しい。
すでに貴殿は「秒死」している!
沖縄県、国提訴へ8日に県議会提案 沖縄タイムス 2015年12月2日 08時30分沖縄県は1日、名護市辺野古の新基地建設をめぐり、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しの効力を停止した石井啓一国土交通相の決定を違法として、国を相手取った抗告訴訟を提起するため、8日に県議会へ関連議... 続きを読む
翁長知事は国の「秒殺」により、ほぼ「秒死」が決定している。
後は、愚かな支援者のエールを背に受け、悲劇のヒーローとして「名誉ある辞任」をして、再度更なる大きな民意を獲得するしか道はない。
沖縄県にとて「悪霊」といわれる翁長知事を、悲劇のヒーローに仕立て上げてはならない。
翁長知事に残された道は名誉ある「辞任」ではなくい。
リコールによる解任である!
翁長知事のリコールについてはこの動画の最終部分を参照。
【動画】【沖縄の声】翁長知事誕生から一年を振り返って、石垣漁師の本当の声・海を荒らす中国船の恐怖[桜H27/11/25
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【おまけ】
まるで特定団体のコマーシャルペーパーと化した琉球新報・沖縄タイムスの沖縄2紙とは対照的に、産経新聞が代執行訴訟について冷静かつ客観的な記事を書いているので引用する。
やはりサンマは目黒に限るし、沖縄の真実は本土紙に限る!
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普天間移設の代執行訴訟 沖縄県弁護団を裁判長が一喝する場面も ざっくり言うと 普天間をめぐる代執行訴訟で、沖縄県の翁長雄志知事が意見陳述した 県弁護団は知事に法廷闘争を丸投げされ、裁判長との会話がかみ合わなかった 許可もなく政府側へ質問を続け、裁判長から「やめてください」と一喝された 【普天間移設・代執行訴訟】翁長知事「銃剣とブルドーザーだ」 辺野古移設を土地強制接収になぞらえる 裁判長は県弁護団を一喝 2015年12月2日 20時18分「銃剣とブルドーザー」を彷彿させる行為だ-。
沖縄県の翁長雄志知事は米軍普天間飛行場移設をめぐる代執行訴訟の意見陳述で、法律に基づく辺野古移設を米軍の土地強制接収になぞらえた。法廷闘争にあたっては筋が通らない発言も際立ち始めており、勝訴より政治的プロパガンダ発信を優先させようとする狙いが透けてみえた。
「県民は人権、自己決定権をないがしろにされてきた」
翁長氏は冒頭の意見陳述を求められると、顔を紅潮させながら、用意した文書を読み上げた。訴訟の本旨である自身の埋め立て承認取り消しの正当性を訴える言葉は一つもなく、陳述を終えると2時間近くひとごとのようにやり取りを聞いていた。
この間、法廷闘争を丸投げされた県弁護団は、裁判長との会話がほとんどかみ合わないまま。裁判長の許可もなく政府側への質問を続け、裁判長から「発言をやめてください」と一喝される場面もあった。
翁長氏は陳述で、仲井真弘多前知事が辺野古の埋め立てを承認する際に政府に要請した普天間飛行場の5年以内の運用停止について「着実に前に進めるべきではなかったか」と訴え、運用停止の実現だけは求めていく考えを表明した。
これには、県幹部からも「仲井真氏が行った承認を取り消しておきながら、運用停止の要求だけは引き継ぐというのは国民の理解が得られないのではないか」との声が漏れた。
また、翁長氏は代執行訴訟に当たり、主張をまとめた答弁書で、普天間飛行場移設について「(移設)工事をぜひとも続行しなければならない緊急性は存しない」と明記。訴訟で政府の訴えを却下したとしても、「(普天間飛行場返還合意から)19年間にわたって(移設が)実現しなかった状況に新たな変更が生じない、というだけだ」と強調している。
そうした姿勢は、住宅密集地にある普天間飛行場の危険除去を軽んじていると受け取られかねない。
さらに、準備書面では「わずか数年前には県外移設が既定路線であった」と記述している。鳩山由紀夫政権時代のことを指しているとみられるが、県外移設を検討したのは8カ月にすぎず、その後、辺野古移設に回帰した鳩山氏の迷走を既定路線というのも明らかな誇張といえる。
防衛省が辺野古沖で投下したブロックがサンゴ礁を傷つけたかどうか県が調査した結果に関し、11月17日の記者会見で「岩礁破砕がなされたかについては残念ながら判断できなかった」とも述べた。「サンゴ礁の損傷を期待していたと発言したに等しい」。別の幹部は耳を疑ったという。(半沢尚久)
【おまけ】民主主義を叫ぶ翁長知事。
だが、県知事が外交・安全保障事案に介入するのは憲法違反!
第5章 内閣第73条 【内閣の職務】
内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
1号 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
2号 外交関係を処理すること。
3号 条約を締結すること。 但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
4号 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
5号 予算を作成して国会に提出すること。
6号 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。 但し、政令には、 特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
7号 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
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