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法廷闘争、窓の外は漆黒の闇!

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普天間移設をめぐる県と国が法廷闘争へ突入することは時間の問題と見られていた。

国は、法律論では「秒殺」する自信が有ったが、県を支援する沖縄メディアの世論操作で「弱い県を苛める悪玉の国」などと書き立てられるのを危惧し、先に県に訴えさせて「身に降る火の粉を払わにゃならぬ」という態度で法廷に立つ、と予測されていた。

従って、県側は、国交省の「取り消しの執行停止」は想定内であり、次の打つ手は第三者機関の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る方針であった。

ところが、ここで国は想定外の行動に出た。

それが閣議決定による「代執行」の決意だ。

「出る所へ出て勝負しよう!」ということだ。

公有水面の埋め立ての権限を有するのは本来国交省の管轄だが、国交省は埋め立て権限を県に委託しているにすぎない。 

県は行政手続き法に則って、手続きに瑕疵の有無を検証し、瑕疵がなければ県知事は承認せざるを得ない。

これを覊束裁量という。

覊束裁量とは、知事の治的判断の入る余地がほとんどない形式裁量という意味だ。

2013年、防衛局の埋め立て申請を当時の仲井真知事は、覊束裁量により承認した。

ところが、県のトップが翁長知事に変わったら、県の判断は違法だとして、前知事の埋め立て承認を取り消した。 

取り消しの根拠は7月に出された第三者委員会の「法的瑕疵あり」という結論だ。

第三者委員会のいかがわしさについてここでは立ち入らないが、承認をした最高責任者である仲井真前知事への事情聴取を欠いたまま、同委員会が「瑕疵あり」の結論を出した事実だけを見てもこの委員会のいかがわしさは明らかである。

国側の代執行という想定外の行動で、「国の強権発動」というマイナスイメージは仕方がないとしても、これで国は翁長知事の取り消しを法廷の場で木っ端微塵に粉砕する覚悟をしたことになる。

国と県との対決は大きく分けて「行政手続きの戦い」と純然たる「司法の場での戦い」に分類できる。

沖縄タイムスの御用識者である五十嵐法政大学名誉教授が国の代執行に関し、こんなコメントを掲載している。

 

【識者評論】国の代執行、沖縄県に希望/五十嵐敬喜・法政大学名誉教授

沖縄タイムス 2015年10月30日 13:50

五十嵐敬喜・法政大学名誉教授

五十嵐敬喜・法政大学名誉教授

(略)

  正直言って県には、行政手続きだけでは勝利がなく、公平・中立な「裁判所」が必要である。県側から国の工事を差し止めるという「民事訴訟」を提起するという手段もあるが、今回はその土俵をわざわざ国が設定してくれた。重要なことは、そこでは国が「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められること」を証明しなければならないということである。この土俵の中で、県は「他の手段」、すなわち国外あるいは県内移転さらには辺野古の移設の当否、あるいは「公益」、すなわちジュゴンをはじめとする貴重な自然、沖縄県民の総意、そして、差別された沖縄の歴史の総体のすべてを争点とすることができ、しかもこれが国内だけでなく世界中の人々に発信できるのである。

 「窓は開いた」。希望が見えてきたのである。(公共事業論)

               ☆

五十嵐氏は正直に「行政手続きでは、(県に)勝利がない」と吐露しているが、公平・中立な「裁判所」の判断に委ねれば、県にも「希望が持てる」というのだ。

だが五十嵐氏は、第三者委員会を公正・中立な第三者委員会と勘違いしているらしい。

>県は「他の手段」、すなわち国外あるいは県内移転さらには辺野古の移設の当否、あるいは「公益」、すなわちジュゴンをはじめとする貴重な自然、沖縄県民の総意、そして、差別された沖縄の歴史の総体のすべてを争点とすることができ、しかもこれが国内だけでなく世界中の人々に発信できるのである。

五十嵐氏は法廷での論点をずらして御用識者の役目を果たそうとしているが、法廷での争点は、上記のような恣意的、感情的なものではない。

争点は、翁長知事が前知事の承認を取り消した根拠である「法的瑕疵の有無」だけに掛かっている。

県側のかく乱作戦も公正で中立な裁判の場では、いかがわしい第三者委員会が出した「法的瑕疵あり」の結論など秒殺されるのがオチだろう。

御用識者のコメントは、多少の無理を承知でも新聞社の主張を支援するもの。

その御用識者の五十嵐氏が「行政手続きだは勝ち目がない」と慨嘆し、司法判断に一縷の希望を見出そうとしている。

 >「窓は開いた」。希望が見えてきたのである

残念ながら、窓は開いたが窓の外は漆黒の闇が広がっている!

希望は幻だった!

残念。

これが法廷闘争の実態である。

 

【おまけ】

宜野湾市民12人が翁長知事を提訴 承認取消は「パフォーマンス」

 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾〈ぎのわん〉市)の移設問題で、同市民12人が20日、移設を故意に遅らせることで市民の生存権が脅かされるという理由で沖縄県と翁長(おなが)雄志(たけし)知事を那覇地裁に提訴した。同知事は複数の那覇市民にも訴えられていて、裁判の行方次第では一気に県民の信頼を失う可能性がある。(那覇支局・豊田 剛)

中国の脅威無視を批判 那覇市の2訴訟でも被告に 800-1

記者会見した平安座唯雄氏(中央)と徳永信一弁護士(右から3人目)ら原告団=20日午後、沖縄県庁

 翁長知事がキャンプ・シュワブ沖(名護市辺野古)への移設に伴う公有水面埋め立て承認をこのほど取り消した。その結果、元宜野湾市議の平安座(へんざ)唯雄氏を団長とする原告12人は、同飛行場が固定化し「人格的生存権の侵害の永続を招く」との理由で、沖縄県と翁長知事に対し、取り消しの無効確認と1人当たり1000万円の損害賠償を求めた。

 原告代理人の徳永信一弁護士は、同飛行場のキャンプ・シュワブ沖への移設に伴う公有水面埋め立て承認を取り消したことの理由として翁長氏が「安全保障上の合理性がないこと」を第一に挙げたことを問題視する。

 徳永氏は20日、県庁で行われた記者会見で、「日米合意に基づいた安全保障は政府の権限に属するもので、地方自治体が本来口を挟むものではない」と主張。中でも、知事の取り消し処分の理由の中で、普天間飛行場がなくても抑止力は維持されると書いておきながら「尖閣諸島をはじめとする八重山諸島の防衛や現在進行形の中国の脅威に一切言及されていないことは不誠実極まりない」と述べた。

 また、「環境影響評価、環境保全措置については、仲井真弘多(ひろかず)前知事が厳格かつ慎重に審査をした」と説明、防衛局が専門家を踏まえて再評価書を出したものを県職員が慎重に審査した結果、承認に至ったのであり、瑕疵(かし)があったとは考えられない」と強調。「法的瑕疵の不在を十二分に知りながら政治的パフォーマンスを目的として取り消した」と批判した。

 仲井真氏は、ラジオ番組の中で「県庁の担当が一生懸命仕事して、大勢でかちっとしたのを作った。瑕疵なんかあろうはずがない」と述べた上で、翁長知事の言動は「いちいちしゃくにさわる」と不快感を示した。

 平安座氏は「19年前のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意以来、政府は県や地元の理解を得ながら返還を進めてきたが、翁長知事に代わって後ろ向きになってしまった。一日も早く基地をどかしたい」と述べた上で、「目の黒いうちに移設問題を片付けたい」と痛切な胸の内を語った。

 記者会見では共同通信記者から「基地を“たらいまわし”にすることについてどう思うか」という質問があった。

 それに対して徳永氏は「軍事基地が街の真ん中にあることがおかしいもので、それを日米両政府が何とかしようということで移設を決めた」という原点に返る必要性を訴えた上で 「県民の多くは基地周辺住民の被害に向き合っていない」と率直な感想を述べた。

800-2

学校など市街地に囲まれている普天間飛行場(米海兵隊ヘリから撮影)

 今後、移設問題をめぐって国と県との法廷闘争になる見通しになることについて平安座氏は、「宜野湾市民が置き去りにされてはならない」と警鐘を鳴らした。

 年内には原告は100人以上集まる見通しだ。その場合、損害賠償総額は12億円余になる。請求先は県と知事だが、県に負担させる場合には議会の承認が必要となる。将来的には、翁長氏が県から訴えられることに発展する可能性も否定できない。

 それに加え翁長氏は、那覇市長時代の市政運営で、久米至聖廟と社会福祉法人に対して不適切な支出を行った疑いで複数の那覇市民から提訴されている。

 久米至聖廟問題では、那覇市が松山公園の一部を久米崇聖(そうせい)会に無償で貸し出し、久米至聖廟(孔子廟および明倫堂)の設置を許可していることが政教分離に違反すると指摘されている。今後、便宜を受けた久米崇聖会が証人尋問でどのような反論をするのかが注目される。

 社会福祉法人問題では、那覇市障害者福祉センターの指定管理を受ける社団法人那覇市身体障害者福祉協会への委託料の5年分1億6675万円を不当に市が支払ったとし、翁長氏に返還を求めている。同訴訟はすでに結審しており、12月9日に判決が下される。

 

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