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基地と振興はリンク!by琉球新報

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米軍基基地と北部振興事業がリンクしていることは小学生でもわかること。

新聞報道の「飴とムチ論」で、政府もメディアの「リンクしない論」を黙認してきた。

だが、米軍基地が何らかの形で県民に「被害」をもたらすことは、基地反対派、賛成派の両者のいずれも認める事実。

ならば、「リンクする」と素直に認め、「基地被害」に見合う振興費を堂々と要求してもおかしくはないはずだ。

平成12年の琉球新報は、当時の岸本名護市長が辺野古移設を受諾する代償に、「経済振興策とリンク」と大見出しで報じている。

翁長知事が辺野古移設を取り消すなら、これまで経済振費として国が交付してきた1000億円を返却すべき・・・これが以下に引用する万国津梁機構・一般社団法人 仲里嘉彦理事長の論である。

取り消しなら1000億円返却を 普天間基地移設 経緯の検証と提言(1)

万国津梁機構・一般社団法人 仲里嘉彦理事長

 沖縄県の翁長雄志知事は、普天間飛行場の移設先名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消し表明をしたことで政府との対立を深めている。だが、政府は辺野古への移設条件としてすでに平成12年度から同21年度までの10年間に1000億円弱を北部振興事業に投入した。もし翁長知事が承認を取り消すとすれば、信義上からも倫理上からも問題がある。そこで普天間基地移設問題に関する経緯を検証しつつ、提言をしたい。

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 なかざと・よしひこ 昭和13年、沖縄県本部町生まれ。国士舘大学政治・経済学部中退。37年、産業新聞入社。同社那覇支局長。48年、沖縄産業新聞創刊社長。57年、㈱春夏秋冬社創立社長に就任。58年、月刊「自治新報」創刊。平成23年、万国津梁機構・一般社団法人設立理事長に就任。著書に『仲里嘉彦が描く沖縄のグランドデザイン』ほか多数。

 橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使との共同記者会見が行われたのは平成8年4月12日だった。普天間飛行場を5年~7年の間に沖縄県内の既存の米軍基地に移設することを条件に、全面返還することを表明した。この日米合意から来年4月には20年を迎える。

 ところが現在でも、日米両政府が普天間飛行場の移設先を名護市辺野古としているのに対し、沖縄県側は県外を主張し、両者は真正面から衝突する事態となっている。

 普天間飛行場の移設候補地については、これまで各地域で活発な誘致運動も展開されたが、平成11年11月22日、稲嶺惠一沖縄県知事(当時)は移設候補地として、「キャンプ・シュワブ水域内沿岸域」とすることを表明した。

 稲嶺知事の移設受け入れ条件としては、周辺地域の振興や地域住民の生活および自然環境の影響に十分配慮し、代替施設は軍民共用空港とし、施設利用については15年の期限を設けることなどだった。

 さらに同年12月27日には岸本建男名護市長(当時)が普天間飛行場の代替施設受け入れの表明を行った。受け入れの条件としては、安全性の確保や位置の選定に当たっては自然環境への配慮、日米地位協定の改善、基地使用協定、基地の整理・縮小等を掲げた。

 その翌日の28日、政府は普天間飛行場の移設に関する政府方針を閣議決定。それを受け政府、沖縄県、北部12市町村の3者が移設先となる北部地域全体の振興のあり方を協議する中で、振興事業実施の必要性が認められたのである。

 具体的には、北部振興事業は平成12年度から公共事業、非公共事業とも年それぞれ50億円とし、年合計100億円を平成21年度まで行うことになった。10年間で1000億円が投入されることになったのだ。しかも、非公共事業の補助率は90%で、残り10%は交付税で措置された。また、公共事業の補助率は各公共事業の沖縄県のかさ上げされた高率の補助率が適用された。

 つまり、この支援目標を掲げて事業が進められてきたのだが、この10年間で公共事業は364億1300万円、非公共事業は545億6400万円、合わせて909億7700万円にとどまった。

 このように、県知事および北部12市町村長が政府と協議し、普天間飛行場の名護市辺野古への移設を受け入れる条件で北部振興事業が実施された経緯からすると、現知事が県外移設を主張するなら当然のこととして、これまで北部振興事業に投入された事業費は国庫に返却するのが筋ではないか。

 なお、平成22年度以降も新たな北部振興事業として、県が策定主体となり、国が支援する形で平成22年度、23年度はそれぞれ70億円、平成23年度、平成24年度、平成25年度はそれぞれ50億円、平成26年度および平成27年度はそれぞれ51億4000万円の予算が計上されているのである。

 

沖縄県北部振興事業の是非を論じよ

普天間基地移設 経緯の検証と提言(2)

万国津梁機構・一般社団法人 仲里嘉彦理事長

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辺野古移設が「経済振興策とリンク」と報じた琉球新報平成11年12月27日付夕刊

 普天間飛行場の返還合意後の経緯について触れたい。

 橋本首相が平成8年4月12日にモンデール駐日米大使と共同記者会見を行った際の内容は、沖縄に存在している米軍基地の中に、新たなヘリポートを建設するというものだった。

 それと同時に、①嘉手納飛行場に追加的な施設を整備し、現在の普天間飛行場の一部の機能を移し替え統合する②普天間飛行場に配備されている空中給油機、十数機を岩国飛行場に移し替える③岩国飛行場からは、ほぼ同数のハリアーという騒音で問題が多い戦闘機・垂直離着陸機をアメリカ本国に移す――などを条件に5~7年で普天間飛行場を全面返還するというものだった。

 この共同記者会見直後から米軍の既存施設以外でも数多くの移設候補地が挙げられた。または辺野古地先にメガフロート等各種の海上基地建設計画や埋め立て計画などが浮上したことなどから場所の選定に手間取り、普天間飛行場の全面返還が遅れる要因にもなった。

 さらに基地の移設問題が迷走し長期化した最大の要因は鳩山由紀夫氏が民主党代表時代の平成21年の衆議院選挙前に普天間飛行場は「最低でも県外」移設という表明をしたことだ。これにより、県民の鳩山氏に対する期待は一気に高まったが、同年9月、鳩山内閣が誕生したものの、1年も経(た)たずして県外移設を断念、辺野古へ回帰してしまった。鳩山氏はこの責任を取り、首相を辞任したが、県民の期待を裏切った。

 次に、県が基地の移設を条件に掲げている2点について触れておきたい。

 辺野古につくる空港について沖縄県は、15年の使用期限を移設受け入れの条件として挙げたが、沖縄駐留の米海兵隊の役割は極めて重要であり、国際情勢が変転極まりない状況下で、抑止力につながる米海兵隊基地を15年で沖縄から撤去することは考えにくい。従って、この条件は米軍としては受け入れ難いことである。

 もう1点は軍民共用の空港建設についても果たして利用価値があるか問われる。

 沖縄では軍民共用空港を念頭に置き、新空港が地元地域の発展に有意義なものになるよう、民間空港として利用するためのターミナル等空港利用施設の整備や、空港関連産業の育成、誘致および空港を活用した諸産業の発展のための諸条件の検討に早期に取り組み、その結果に基づいた事業展開を図ることが謳(うた)われている。

 だが、人口の少ない陸の孤島とも言われている過疎地域の辺野古に軍民共用の空港ができても利用者が少なく旅客輸送としての機能を十分発揮することができず、軍民共用としての価値も極めて低いと言わざるを得ない。

 この北部振興事業は基地とのリンク論がさまざまな形で議論されてきたが、政府や北部広域市町村圏事務組合がまとめた北部地域戦略策定業務報告書などの文言を見ると、小学校高学年生でも、基地と北部振興事業がリンクしていることが十分判断できるはずだ。

 ところが、昨年1月の名護市長選挙や同年11月の沖縄県知事選、同12月の衆議院選挙などにおいて普天間飛行場の代替施設受け入れを条件として実施された北部振興事業の是非について、選挙の争点にはならなかった。そればかりか、県民の間で話題になることもほとんどなかったのである。

 この北部振興事業については、沖縄選出国会議員数人と県議数人に対して資料を提示した上で苦渋の選択として受け入れざるを得ないと思うがと水を向けて回答を求めてもあいまいな返事で愕然(がくぜん)としたものである。

 

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