■軍事専門家にも学者ばかがいた。
民主党政権時代、学者(拓大教授)から防衛大臣に抜擢された森本敏氏の発言が話題になっている。 森本氏の退任間際の発言が、次のように一人歩きし、左翼陣営の「海兵隊不要論」の根拠となった。 元沖縄タイムス記者の屋良朝博氏などは、森本氏の発言を論拠に、海兵隊が沖縄に存在する地理的優位論は「嘘だらけ」(【おまけ】参照)として、あたかも米海兵隊が沖縄に存在しても「抑止力はない」かのような印象記事を書きまくっていた。 森本発言を安全保障の専門家である学者の発言として、稲嶺名護市長も「県外移設」の根拠に引用してきた。 学者バカの森本大臣も、発言に気をつけるべきだった。 森本氏は、見事に言葉尻を捕らえられ「海兵隊が沖縄に存在しても無用の長物」と発言したかのように報道されてきた。 5月30日放映の朝まで生テレビに森本敏氏と屋良朝博氏が出演すると聞いて森本発言の真意を探るべく、眠いのを我慢して見た。 【朝生・動画】朝まで生テレビ 2015年5月30日 150530 沖縄基地問題と日本 番組中、森本氏が自身のかつての発言の本旨を説明し、流布している「海兵隊不要論」を否定した。 会場の学生風の若い男性から、屋良氏に対し「沖縄における米海兵隊の抑止力」について質問があった。 「在沖米海兵隊不要論」の急先鋒といえる屋良氏が、森本氏に真っ向から反論するかと思ったが、意外なコメントが返ってきた。 ちなみに森本氏は、「米海兵隊の抑止力は沖縄がベストだが、沖縄に近い九州のどこかなら抑止力が多少は落ちても移設は可能」という発言していた。 つまり海兵隊を沖縄に置くか南九州に置くかの抑止力の違いは、100%かゼロかの議論ではなく、ベストかベターかの議論だというのだ。 ところが屋良氏は「抑止論にはいろいろある」などと最初から及び腰。 結局、「抑止力の有無は神学論争」などと逃げてしまった。 屋良氏は通常、軍事オタク丸出しで、軍事用語の羅列で相手を煙に巻くのを得意にしている。 ところが、軍事専門学者の森本氏が相手では逃げるが勝とでも考えたのだろう。 そこで昨日の沖縄タイムスの記事である。 在沖海兵隊「九州でも抑止力」森本元防衛相2015年6月18日 10:51 森本元防衛相が、海兵隊の抑止力は沖縄以外でも機能すると説明 沖縄がベストとする一方、軍事的に「九州でもやっていける」 普天間の県外移設が難しいのは政治的理由と明かした【東京】森本敏元防衛相は17日、日本記者クラブで会見し、在沖米海兵隊の抑止力について、対中国を念頭に「沖縄に(海兵隊基地が)あることがベストだが、九州の南や西半分のどこかであれば抑止機能は落ちるが何とかやっていける」と述べ、沖縄駐留の軍事的合理性を否定した。
森本氏は、長崎県の佐世保基地など九州の南西地域を念頭に、米海兵隊の(1)地上部隊と揚陸艦(2)飛行部隊(3)後方支援部隊-の三位一体の戦力が発揮できる場所であれば抑止機能は維持できると説明。
戦略的に沖縄は効果的な場所だとした上で、「沖縄の隣の鹿児島なら抑止力にならないというのは、軍事的にはナンセンスだ」と述べ、政府が従来説明する抑止力維持のためには「辺野古が唯一の選択肢」との説明を間接的に否定した。戦略的な効果は落ちるものの適地はほかにもあるとし、「沖縄でなければならないという理由はない」とも述べた。
一方、自身が民主党政権で防衛相を務めた際に、移設候補地として検討した徳之島案は「政治的に無理だった」と話した。「日本は報道が出ると反対者が出てつぶされる。政治的に無理というのはそういう意味だ」と述べ、沖縄駐留は軍事的な必要性ではなく、県外で受け入れてくれる場所がないためだとした。
一方、安倍政権がほかの候補地を探す政治的な努力をしているか、との問いには答えなかった。
☆
>、在沖米海兵隊の抑止力について、対中国を念頭に「沖縄に(海兵隊基地が)あることがベストだが、九州の南や西半分のどこかであれば抑止機能は落ちるが何とかやっていける」と述べ、沖縄駐留の軍事的合理性を否定した。
さすがの沖縄タイムスも屋良元記者の「地理的優位論は嘘だらけ」には同意しないが、ここでも捏造記事を書いている。
記事を読む限り、森本氏は「沖縄駐留の軍事的合理性を否定」してはいない。
いや、むしろ軍事的にはベストだと発言している。
九州の南でも沖縄より抑止力は落ちるが、19年も模索した結果受け入れる場所がないので、政治的には辺野古しかない、と言っているに過ぎないのだ。
琉球新報も大同小異だが沖縄タイムスのようなあからさまな捏造記事は書かず、印象操作に止まっている。
琉球新報 2015年6月18日 7:31
【東京】森本敏元防衛相は17日、日本記者クラブで会見し、米軍普天間飛行場の移設先について「九州の南、西半分のどこかにあれば、抑止力は落ちるが、何とかやっていける」と述べ、軍事上は県外移設が可能だとの認識を示した。森本氏はこれまで、海兵隊の陸上、航空、後方支援部隊をまとめたMAGTF(マグタフ=海兵空陸任務部隊)が「日本の西半分のどこかに、機能する状態ならば(普天間の移設先は)沖縄でなくてもよい」との認識を示していたが、より踏み込み、九州の南方と西方を移設可能な場所として初めて言及した形だ。
森本氏は「沖縄だったら抑止力だ、隣の鹿児島県なら抑止力にならない、そんなことがあり得るのか。軍事的にはナンセンスだと思う」と指摘した。九州の南方、西方への移設が軍事上可能な理由として「陸上連隊と揚陸艦、飛行部隊、後方支援部隊が三位一体となって戦力を発揮できる」とし「そこ(九州)から東側は明らかに中国から見たら(米軍が)引いていった、出てこないと思われる」との持論を展開した。
一方、民主党政権時に全国各地の候補地を検討したことを強調した上で、県内移設の利点として「抑止をするときに、戦略的に効果的な場所にある」との考えも示し、政治的な観点を含めると沖縄が効果的だとの考えも述べた。
防衛相在任中に移設候補先として上がった鹿児島県徳之島への移設について「報道が出ると反対者がどんどん出てきてつぶされる。だから政治的に無理だ」と説明した。その上で「政治的に円満に解決し、どうぞ使ってくださいという県があれば(県外移設の)交渉の余地がある」との考えを示した。
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東子さんのコメントを引用する。
「普天間移設先「九州の南、西は可能」 森本元防衛相が持論 2015年6月18日」
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-244450-storytopic-3.html
>米軍普天間飛行場の移設先について「九州の南、西半分のどこかにあれば、抑止力は落ちるが、何とかやっていける」と述べ、軍事上は県外移設が可能だとの認識を示した。
>九州の南方、西方への移設が軍事上可能な理由として「陸上連隊と揚陸艦、飛行部隊、後方支援部隊が三位一体となって戦力を発揮できる」とし「そこ(九州)から東側は明らかに中国から見たら(米軍が)引いていった、出てこないと思われる」との持論を展開した。
>県内移設の利点として「抑止をするときに、戦略的に効果的な場所にある」との考えも示し、政治的な観点を含めると沖縄が効果的だとの考えも述べた。
「普天間移設先『九州の南、西は可能』」の理由を述べても、なぜ「抑止をするときに、戦略的に効果的な場所にある」辺野古より、「抑止力は落ちるが、何とかやっていける」辺野古以外にしなければならないかの理由を述べていない。
理論上の可能性だけなら、憲法学者の「違憲」で、お腹いっぱいだわ。
理論を踏まえつつ、現実的な解決が求められるのが、政治家。
森本氏も翁長知事と会談したシャーツ米上院議員や米国務省に見習って、発言直後声明を発表して沖縄2紙の捏造報道に釘を刺すべきだった。
【おまけ】
2014/03/28 【大阪】元沖縄タイムス論説委員、米軍基地問題巡る「本土の言説」批判~「抑止論も地理優位論も嘘だらけ」
海兵隊配備先を「沖縄」に固執する本当の理由実際の有事では、長崎県の佐世保から航空母艦がやってきて、沖縄の海兵隊やオスプレイを運ぶことになる、と屋良氏。「政府が言うように、朝鮮半島や台湾海峡をにらんで、沖縄に米軍基地を置くのなら、地理的優位性がもっと高まる佐世保、佐賀、福岡に、なぜ、基地を移さないのか」。こう述べると、元防衛大臣の森本敏氏(拓殖大特任教授)が、2012年12月の会見で行った発言を、次のように紹介した。
「多分、記者から、沖縄に米海兵隊を置く理由を問われたのだろう。森本氏は『日本の西半分で、MAGTF(米海兵隊空陸任務部隊)が完全に機能する状態であれば、沖縄に配備しなくてもいい』としている」。
また、会見で森本氏は、こうも述べたという。「政治的に許容できる地域が、沖縄しかない。つまり、軍事的には配備先は『沖縄』でなくても構わないが、政治的には、沖縄が最適の地域である、という結論に達するのだ」。
屋良氏は、これら森本氏の発言を基に、日本政府の本音を、このように推察してみせた。「沖縄の米軍基地は、沖縄の人たちが許容したわけではないが、すでに存在する以上、移設しようとしても、移設先住民の反発に遭う。政府は『そんな政治的リスクを負うわけにはいかない』ということだろう」。【IWJテキストスタッフ・富田/奥松】
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