よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします やっと「菅・翁長会談」が実現した。 だが、大方の予想通り話は平行線のまま終わった。 ここで注目したいのは両者の意見の相違ではない。 会談を報じるメディアの報道姿勢である。 とりあえず着色強調部分に注目しつつ沖縄タイムスの記事を読んでいただきたい。 翁長知事「新基地できないと確信」 菅官房長官と初会談
沖縄タイムス 2015年4月5日 10:35
翁長雄志知事は5日午前、来県中の菅義偉官房長官と那覇市内のホテルで会談し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「辺野古の新基地は建設できないと確信している」と強調した。
その上で、菅氏が辺野古移設を「粛々と進める」と繰り返す表現に対し「問答無用と感じる。上から目線の言葉であり、使うほど(県民の)怒りが増幅するのではないか」と批判した。
一方、菅氏は「辺野古移設は、普天間の危険性除去と抑止力維持の双方を満たす唯一の解決策と政府は考えている。断念すると普天間の固定化にもつながる」と述べ、辺野古移設を推進する考えに変わりのないことを強調した。
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沖縄メディアは昨年の県知事選の前から、従来の「辺野古移設」から「辺野古への新基地建設」と文言を変えて報道し始めた。まるで申し合わせでもしていたように。
19年前の日米合意による普天間飛行場の移設は代替地が条件の「普天間移設」である。
その目的達成のため日米合意で決まった代替地が「辺野古移設」である。
したがって沖縄メディアが声を合わせて「新基地建設」と報じると、事情知らない人は誤解をする。
基地のない辺野古に新たに「新基地建設」をすると誤解する。 実際、今朝の「菅・翁長会談」を伝えるRBCテレビの「町の声」でも、「新たな新基地建設は許さない」とコメントする60歳代の男性がいた。
沖縄2紙を筆頭に沖縄メディアは「辺野古移設」と報道する代わりに、「辺野古への新基地建設」という全く違う概念の文言を使用。
「辺野古移設」に対するマイナスイメージを作ることに成功した。
その結果「新基地建設反対」の翁長氏が当選したことは周知の通りである。
上記沖縄タイムスの記事で、翁長氏の発言を「新基地」と記しているのはともかく、地の部分でこれまで喧伝してきた「新基地建設」ではなく「辺野古移設」と先祖帰りした理由は一体何か。
念のため琉球新報も併せて検証してみよう。
菅氏と翁長知事が初会談 官房長官「辺野古断念は普天間固定化」 知事、首相との面談要請t
琉球新報 2015年4月5日
菅義偉官房長官と翁長雄志知事の会談が5日午前、那覇市内のホテルで行われた。両氏の会談は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する翁長知事が昨年12月に就任後、初めてとなった。会談は冒頭部分のみが報道陣へ公開され、残りは非公開となった。冒頭の公開部分では、辺野古移設の是非をめぐり、互いの主張をぶつけ合った。
冒頭で菅官房長官は「辺野古移設を断念することは普天間飛行場の固定化につながる」と述べ、辺野古移設を推進する考えを強調した。また垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練移転などの負担軽減策、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の沖縄進出にも触れ、沖縄振興に注力すると強調し、移設への理解を求めた。
これに対して翁長知事は「(菅官房長官が言う)『粛々』という言葉が、かつての沖縄の自治は神話だと言った(米軍統治下の)キャラウェイ高等弁務官の言葉と重なる」と指摘した。その上で「辺野古に移設できなければ、世界一危険と言われる普天間飛行場が本当に固定化されるのかぜひ聞かせてほしい」と反論した。
また翁長知事は「安倍総理との面談の手配をお願いしたい。辺野古の建設を中止し、しっかりと話し合って基地問題を解決していただきたい」と首相との面談も求めた。【琉球新報電子版】
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沖縄2紙は、菅官房長官の発言の引用部分のみならず、地の文章でも「辺野古移設」と正しく、報道しているのがわかる。
では、何ゆえ知事選の前から選挙期間中にかけて、沖縄メディアが一斉に「新基地建設」と報道しておきながら、菅氏との会談の報道では「辺野古移設」と正確に報道したのか。
それは、沖縄2紙の望む知事が当選したので、これ以上読者の判断を誤誘導する必要がないと考えたからである。
>これに対して翁長知事は「(菅官房長官が言う)『粛々』という言葉が、かつての沖縄の自治は神話だと言った(米軍統治下の)キャラウェイ高等弁務官の言葉と重なる」と指摘した
これは米軍統治下の沖縄で最も悪名の高いキャラウェイ高等弁務官を例に出して、菅官房長官を「翁長知事を苛める」非情な独裁者として印象つけるための翁長知事の情緒作戦である。
次に引用する琉球新報記事を見れば、あれほど声高に叫んだ「新基地建設」の文字が完全に消えているのには驚かされる。
琉球新報 2015年4月3日
【東京】菅義偉官房長官は2日の記者会見で、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画について「辺野古移設に反対する人もいれば、逆に普天間の危険性除去、一日も早く解決してほしいという多くの民意もある」と述べ、移設に賛成する意見の方が多いかのように主張した。上京中の翁長雄志知事が同日、菅氏との会談をめぐり、辺野古移設反対を菅氏に伝達する考えを述べ「民意を理解していただく」などと語ったことに反論する形で答えた。世論調査や昨年の選挙結果でいずれも移設反対意見が多く、菅氏の発言は事実誤認だとの指摘が上がっている。
琉球新報が一昨年12月から昨年11月までに実施した3度の世論調査では、7割以上が辺野古移設反対と答えている。昨年、辺野古移設が争点となった名護市長選や知事選、衆院選では、いずれも辺野古移設に反対する候補が当選している。
翁長氏も選挙結果を念頭に、移設反対が「民意」だと明言しているが、菅氏は賛成が「民意」として、事実と異なる見解を示している。
翁長氏はこの日、山口俊一沖縄担当相と会談後、都内で記者団に対して、昨年の県知事選で掲げた辺野古移設反対を堅持する意向を強調。米軍基地が戦後に強制接収されたことなどを説明し「沖縄県は自ら基地を差し出したことは一度もない」と訴えた。さらに「日本の安全保障は国民全体で考えてもらいたい」と沖縄の米軍基地の過重負担を訴えた。
翁長氏と菅氏の会談は5日午前、那覇市内のホテルで開かれる予定。菅氏は4日に来県し、キャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区の返還式典や、自民党県連の大会に出席する。関係者によると、経済界や仲井真弘多前知事との会食なども調整している。
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