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Channel: 狼魔人日記
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  【国際情勢分析 矢板明夫の目】 中国 南シナ海強硬策に潜む権力闘争 2012.7.7 12:00 (1/4ページ)[国際情勢分析中国とフィリピンがともに領有権を主張する中沙諸島のスカボロ礁(中国名・黄岩島)周辺で監視船などを対峙させている問題で、北京のフィリピン大使館近くで抗議の横断幕を掲げる中国人。「中国の堪忍袋の緒は切れる寸前だ」などと書かれ、軍事的手段による解決も辞すべきではないと訴えている=5月11日(AP)   中国政府が最近、南シナ海の離島に対する支配を強めている。6月下旬に東南アジア諸国と領有権争いをしている地域で新しい市を設置したほか、ベトナムの近くで資源開発の方針も決定した。一連の強硬措置の背景には、今秋の党大会を控え、政権内の権力闘争が激化した事情があると指摘される。東南アジア諸国は反発を強めており、南シナ海情勢は再び緊迫してきた。

 ■三沙市に格上げ

 中国政府は6月21日夜、南シナ海の西沙(英語名パラセル)、南沙(英語名スプラトリー)、中沙の3諸島に設置していた連絡事務所を統合し市に格上げすることを発表、「三沙(さんさ)市」と命名した。民政省の報道官は国営新華社通信の取材に対し、この地域を市に格上げした目的は「行政管理」「開発建設」「海洋環境の保護」の三分野でさらなる強化を図るためと説明している。中国メディアによれば、三沙市は中国で最も面積が広く人口の少ない市である。中国国防省の耿雁生(こう・がんせい)報道官は6月28日の記者会見で、新設された三沙市に言及し「わが国は行政区画に応じて軍事施設を設置している」と語り、軍を配置する可能性を示唆した。

 これに先立ち、中国の大手国有企業の中国海洋石油は6月27日、ベトナム近くの南シナ海海域で、資源開発を実施する方針を発表した。この海域は自国ののEEZ(排他的経済水域)に属していると主張するベトナム政府は直ちに「違法行為だ」と抗議した。発表を受けて、ベトナム国民の対中感情はさらに悪化し、1日に、ハノイ、ホーチミン両市で数百人規模の反中デモが発生した。

 ■軍トップポスト

 中国当局はこれまで、南シナ海問題で外国との対立を避ける方針をとっていた。ここに来て突然、挑発行為に出た背景には、国内の権力闘争があると共産党筋は指摘する。今秋、5年に一度の党大会が開かれる予定で、習近平(しゅう・きんぺい)国家副主席(59)が最高指導者の党総書記に選出される見通しだ。

 胡錦濤(こ・きんとう)国家主席(69)=党総書記、温家宝(おん・かほう)首相(69)ら「定年」の68歳を超えた現役指導者たちが党内の役職から引退することはすでに既定路線。しかし、一つだけ流動的な人事がある。軍の最高指導者である党中央軍事委員会主席のポストを、胡氏が習氏に引き渡すかどうかが注目されている。このポストは本来ならば総書記が兼任することになっている。しかし、10年前、江沢民(こう・たくみん)前総書記(85)が引退する際に、「周辺情勢が不安定だ」との理由で任期を2年間延長した。

 今春の党内抗争で、元高級幹部子弟で構成する太子(たいし)党の有力者、薄煕来(はく・きらい)・前重慶市党委書記(63)を失脚させた胡派は今、政局の主導権を握っており、江氏にならい、胡氏は軍事委主席に少なくとも数年間留まりたいというのが本音だ。そのため、周辺国との緊張関係を敢えて高め「不安定な情勢」を作り出しているようだ。

 常万全(じょう・まんぜん)・総装備部部長(63)ら軍内の胡派の将軍らは5月末に連名で「経験豊富な胡主席にもう数年指揮をとってもらいたい」との内容の手紙を党中央に送ったという情報がある。

 ■現行路線を支持

 もっとも、胡錦濤政権の10年は、国際協調派の温首相が外交を主導したため、軍や党内の保守派などから「弱腰」と批判され続けた。胡氏には、任期の最後に強硬路線に転じることでこうした不満の声を払拭し、人事などを有利に進めたいとの思惑もありそうだ。

 軍と親密な関係にある習氏は、こうした強硬策を支持する姿勢を見せてきた。このため、習政権発足後、今の路線をそのまま継続する可能性が高い。

 習氏は今秋、最高指導者になった後、南シナ海問題のほか、石原慎太郎東京都知事(79)による尖閣諸島購入問題への対応をしなければならない。その際、軍の意向を受けてさらに強く出てくる可能性がある。軍艦、または、民間の漁船を大量に動員して尖閣諸島を囲むなどの対応措置が考えられるほか、経済面のさまざまな嫌がらせをしたり、北朝鮮やロシアと連携して日本に対抗してくるかもしれない。

 日本は東南アジア諸国の中国への対応を参考にしながら、しっかりと準備する必要がある。(やいた・あきお 中国総局) 新疆ウイグル自治区

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